九二。葈耳
足を悪くした理由かい? 小さな娘がいてね。毎朝、足にしがみついて離さない。玄関まで連れてくと大喜び。多忙な中、唯一の触れ合いだった。娘が亡くなったのは、親権を取られた一年後。懐かしい重みを足に感じて泣いた。ひどい親だが、今は娘がいてくれて幸せなんだ。誰にも話さないでくれよ。
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