十六。満潮*

 彼女と海に行った日のことです。足を洗えず帰った彼女は、靴の砂を玄関に捨てたそうです。その後、幾度掃除しても砂は増え続け、土間は何故か水浸し。高層階なのに波の音がすると電話口で怯えていたんです。彼女が死んだのはその翌朝でした。死因は溺死で、無数のカニが群がっていたそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る