百円神様
ユメノ
第1話
幸せ。とはどう云うものなのだろうと、最近つくづく考える。
同じ
仕事が充実しているならば、それはそれで満足して暮らせるのかもしれないけれど、そんなことは無い。そもそも好きで入った職場ではない。入れたから入っただけで、全くもって愛着はなく、かと云って新天地を望む気概も無い。とにかく無いことばかりだ。
二十代も最後の年だから、今年こそは幸せになろうと決心して、張り切って初詣に出かけた。電車に乗って、毎年もの
それから四ヶ月経つけれど、ちっとも幸せのきざしは訪れない。自分はきっと、このままつまらない一生を送るのだと思うと、永遠にぬかるみの中をつめたく歩いているみたい。今朝、鏡を見たら、目元にうっすらとしたしみが出来ていた。
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友人に誘われて、
市は大盛況だった。日曜だけあって親子連れが多く、公園内は青空を覆うように明るい声で満ちていた。地元の農家や洋菓子店、フランクフルトなどの軽食を売る屋台の他にも、手作りのアクセサリーや古着と云った個人の出店もあった。
暇潰しに来ただけだったが、場の
「あ、可愛い」
思わず呟いて、立ち止まった。布のかかった販売用のテーブルの上に、小さな熊や兎のぬいぐるみのついたキーホルダーが展示されている。
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