アルスト・ロメリア

海月

恋はしゃぼん玉のように

アオイ♀︎(16)


ユイ♀︎(16)


スグル♂︎(16)


ヒビキ♂︎(16)


約25分


________________


アオイM「その瞬間恋に落ちた。」





アオイM「次の瞬間恋が終わった。」


ユイ「あの人がね、私の好きな人。」





アオイM「青空のように透き通った音色が教室中に響いていた。」



__________



アオイM「4月」




___昇降口___


ユイ「…やったぁ。アオイ!同じクラスだよ!」


アオイ「うん、やったね」


スグル「お前らってほんと仲良いよな。」


ユイ「スグルは何組なの?」


スグル「2組。お前らと同じだよ。」


アオイ「また、皆一緒だね」


スグル「腐れ縁って奴だな」


__笑い合う__



ユイ「あ、そろそろ教室行こ!」


アオイ「うん」


スグル「はぁ、俺達もとうとう高校生かぁ。」


ユイ「早いよね〜。スグルはあんなにちっちゃかったのに、こんなにでっかくなっちゃって」


スグル「ユイだって、ちっちゃい時は、まだ可愛かったのに、今ではこんな口きくようになって!」


ユイ「(むすっとする)」


アオイ「……」


ユイ「アオイは変わんないよね!可愛くて、優しくて!」


アオイ「…え?そんなことないよ」


スグル「ユイもアオイを見習えよ。もっと女の子なんだから、お淑やかにさ」


ユイ「スグルは私のお母さんか!」


スグル「うるせぇ」


アオイ「…あ、ここだ、2組」


ユイ「着いた!わぁぁ教室ひろーい!」


スグル「変わんねぇだろ。」


ユイ「なんか言った?」


アオイ「まぁまぁ2人とも」


ユイ「私の席は……やった!後ろの窓際だ!青春特等席!」


スグル「俺はここだ。」


ユイ「えぇ、スグルが隣?」


スグル「文句あるかよ」


ユイ「別に〜。アオイは?」


アオイ「私は1番前だよ。」


ユイ「わぁ、最悪じゃん。」


アオイ「ふふ、そんなことないよ」


ユイ「アオイは優等生だもんね〜」


スグル「だな」


アオイ「…担任の先生どんな人かな」


ユイ「えー怖い人だったらどうしよう」


スグル「んなの誰でもいいよ。そんなことより、部活だよ部活!はぁ、どうしようかな。」


ユイ「えぇ、部活動紹介もまだなのに、気が早いよ……っていうか、サッカーじゃないの?」


スグル「えぇ、高校生だしなぁ、ゆっくりしてぇなぁって。」


アオイ「勿体ないよ。スグル君サッカー上手だし」


ユイ「そうだよ!小学生からしてるんでしょ?勿体ないよ!」


スグル「でもなぁ…」


アオイ「…私は吹奏楽にしようかな。」


ユイ「じゃあ、私も吹奏楽!」


スグル「ユイはいつもアオイと一緒だよな」


ユイ「え、そんなことないよ?ねー!」


アオイ「…え、うん。」



__________




___音楽室前___


ユイ「…ん、あれ?ここって音楽室だよね?男の子で吹奏楽部?楽器好きなのかな」


アオイ「さぁ」


ユイ「……ねぇ!赤い上靴ってことは1年生だよね?君も吹奏楽部入るの?」


ヒビキ「えっ」


ユイ「はじめまして!私達吹奏楽部の見学に来たの。私、2組のユイ!君は?」


ヒビキ「5組の…ヒビキです」


ユイ「よろしくね!私達も吹奏楽部入るんだ」


ヒビキ「僕は、ピアノを弾かせてもらいにきただけで…」


ユイ「…えっと、じゃあ、吹奏楽部希望じゃないの?」


ヒビキ「はい。」


ユイ「そっかぁ」


アオイ「ユイ、そろそろ行かないと、部活体験始まっちゃうよ?」


ユイ「あ!バイバイ!ヒビキ君!」


ヒビキ「あ、はい。」



__________



アオイM「5月」



___教室──文化祭の準備___



スグル「あちぃ、あぁ、そろそろ文化祭だな」


ユイ「初めての文化祭、楽しみだなぁ」


アオイ「そうだね」


ユイ「お化け屋敷だっけ?私、お化けやりたい!」


スグル「おー!ピッタリだな!」


ユイ「どういう意味よ!」


アオイ「私は、チラシ配りとかでいいかな」


スグル「えーせっかくの文化祭なのにそんなんで───」


ユイ「───じゃあ、私もチラシ配りにする!」


スグル「え?」


ユイ「アオイがチラシ配りするなら、私もそうする!」


スグル「お化け役するんじゃないのかよ」


ユイ「アオイと一緒がいいもん」


スグル「あっそ」


ユイ「アオイ!一緒にチラシ配りしよ!」


アオイ「え、うん……そうだね。」


ユイ「楽しみだね!文化祭!」


スグル「……」


__________




スグル「アオイ、ちょっといいか?」


ユイ「スグル、どうしたの?」


スグル「俺は、アオイに用事があるんだ。お前はさっさと部活行け」


ユイ「…なに?もしかして、告白?」


スグル「ちげーよ!さっさと行け!」


ユイ「はぁい」





___空き教室___



アオイ「どうしたの?スグル君」


スグル「アオイ、嫌じゃないのか?」


アオイ「ん?なにが?」


スグル「ユイだよ」


アオイ「?」


スグル「ユイ、いっつもお前の真似してるだろ。」


アオイ「あぁ……そうだね。」


スグル「最初は仲良いだけだと思ってたけど、程度ってもんがあるだろ。

中学の時だって、お前が髪の毛切ったら、ユイだって次の日切ってたし。

さっきだって。」


アオイ「……」


スグル「別に、お前が嫌じゃないならいいんだよ。」


アオイ「……嫌じゃ、ないよ。」


スグル「そっか…。なら、いいけどさ。」


___気まずい雰囲気___



アオイ「…私、そろそろ部活行くね。」


スグル「あぁ。……アオイ!無理すんなよ!」


アオイ「……」



__________




___教室──文化祭の準備___



ユイ「はぁ、あーぁ。雑用なんてやだよ!飽きたぁ。」


スグル「お前がチラシ配りがいいっつったんだろ。サボるな。」


ユイ「サボってないもん!休憩だもん!」


アオイ「まぁまぁ、2人とも」


ユイ「……アオイ早い。もうチラシ出来たの?」


アオイ「え、うん」


ユイ「さっすが〜」


スグル「お前もとっとと手を動かせ!」


ユイ「えぇ、私って、単純作業嫌いなんだよね」


スグル「そんなこと言ってたら日が暮れちまうだろうが!」


ユイ「まだ、日が暮れるまであと2時間あるもん!」


スグル「うるせーよ。……あ、黒の画用紙無くなった。」


アオイ「あ、じゃあ、私、図工室から持ってくるよ。」


スグル「あ、頼むよ。ありがとな」


ユイ「アオイが行くなら私も行く!」


スグル「お前は、まだ終わってないだろ!」


ユイ「休憩中だもん!」


スグル「休憩長すぎ!お前が終わんねーと、お化け役の奴らが困るんだよ!」


ユイ「えぇ」


スグル「さっさとするぞ」


ユイ「はぁい」


アオイ「じゃあ、取ってくるね。黒の画用紙だよね?」


スグル「あぁ、頼む」





アオイ「確か、図工室は音楽室の奥の突き当たりだったような……」


アオイ「……あれ?ピアノの音?どこのクラスも文化祭の準備中の筈だけど…」


アオイ「…先生かな」





アオイ「………えっ」





アオイM「その瞬間恋に落ちた。」



アオイ「こんなに綺麗な音色初めて聴いた………あ」



アオイM「いつの間にか、泣いていた。何故だか分からないけど、涙が止まらなかった。

まるで、厚い灰色の雲から一筋、光が差してるような。私はここに居る。そう訴えかけるような。そんな音色だった。」



___音楽室前___



ユイ「アオイ!いた!」


アオイ「あ、ユイちゃん、」


ユイ「…ん?どうしたの?泣いてる?」


アオイ「ん、目にゴミが入っただけだよ。」


ユイ「そっかぁ、大丈夫?」


アオイ「うん。…それより、作業は?終わった?」


ユイ「んーん、アオイが全然帰ってこないから心配で、…スグルから逃げてきたの!」


アオイ「そっか?」


ユイ「あれ、音楽室に誰か…あ!ヒビキ君だ!綺麗な音色だね〜」


アオイ「うん。そうだね。ほんとに、綺麗。」


ユイ「……」


アオイ「ユイ?」


ユイ「アオイってさ、好きな人、居る?」


アオイ「好きな人?!居ないよ!」


ユイ「…ふーん。」





ユイ「私はね、居るよ。好きな人」


アオイ「…そっか」





アオイM「次の瞬間恋が終わった。」




ユイ「あの人がね、私の好きな人。」


アオイ「えっ」





アオイM「その恋は、しゃぼん玉のように一瞬で。」



ヒビキ「……あ、ユイさん」





アオイM「一筋の光を放った音色は教室中に響いていた。」



ユイ「ヒビキ君!やっぱりピアノ上手だね」


ヒビキ「ありがとう」


アオイ「…」


ヒビキ「そちらは、確か…」


アオイ「あ、えっと。アオイです」


ヒビキ「そうだ、アオイさん。いつも、トロンボーンの綺麗な音が聴こえるよ。」


アオイ「あ、えっと」


ヒビキ「よく、ここにピアノを弾きに来るんだ。」


アオイ「あ、そうなんですね」


ヒビキ「そうすると、いつも吹部の部室から綺麗な音色が聴こえてくるから、気になって覗いたら、アオイさんのトロンボーンだったから…。初めて聞いた時びっくりしたよ」


アオイ「え?そんなこと…」


ヒビキ「そんなことあるよ。芯が通ってる。誰よりも綺麗だし、心がこもってるから、吹くの好きなんだなって伝わってくる」


アオイ「あ、ありがとうございます!」


ヒビキ「敬語じゃなくていいよ!同学年なんだし!」


アオイ「あ、はい!」


ヒビキ「僕はヒビキ。よろしくね」


アオイ「よろしく!」


ユイ「……」


ユイ「…あれ!なんでヒビキ君はここでピアノを?」


ヒビキ「あぁ…僕、文化祭のステージでピアノを弾くことになったんだ」


アオイ「え、すごいねヒビ───」


ユイ「───ヒビキ君すごいね!頑張って!」


アオイ「……」


ヒビキ「ありがとう。2人とも。……それで、先生に特別に練習させてもらってるんだ。」


ユイ「そうだったんだ!私ヒビキ君の弾くピアノ好きなの!」


ヒビキ「ありがとう、ユイさん」


ユイ「私、ヒビキ君のピアノもっと聴きたいなぁ。あ!ねぇ、放課後ピアノの練習聴きに来てもいい?」


ヒビキ「え?まぁ、それはかまわないけど。」


ユイ「やったぁ。じゃあ、明日は部活休みだから、明日の放課後!」


ヒビキ「あ、うん。…アオイさんは?」


アオイ「私も───」


ユイ「───アオイは明日塾じゃなかった?」


ヒビキ「あ、そうなの?……じゃあ、ユイさん。明日の放課後ね」


ユイ「うん!」


アオイ「……」


ヒビキ「…あ、そういえば、2人はこんなとこで何してたの?」


アオイ「あ!画用紙!」


スグル「遅せぇよ!2人とも!」


ユイ「スグル!」


スグル「いつまで待たせんだよ!ほんとに日が暮れるぞ!」


アオイ「ごめんね」


ユイ「まだ1時間はあるもん!」


スグル「はぁ……えっと、その人は?」


ユイ「…私の彼氏!」


スグル「はぁ?!」


ユイ「うそだよ〜!」


スグル「てめぇ!」


アオイ「まぁまぁ、落ち着いて」


ヒビキ「あ、えっと、5組のヒビキです。」


スグル「俺は、2組のスグル。よろしくな」


ヒビキ「よろしく」


スグル「さて、と。ほら行くぞ!作業が終わらねぇ!」


ユイ「はぁい。バイバイ!ヒビキ君!また明日!」


ヒビキ「うん。また」


__________



アオイM「6月」


___2組前廊下___



ヒビキ「アオイさん!ちょっと」


アオイ「ヒビキ君」


ヒビキ「明日の文化祭なんだけど、もし良かったら、一緒にまわってくれないかな?」


アオイ「え───」


ユイ「───えぇ、私は?ヒビキ君!」


ヒビキ「え、あ、ユイさん」


ユイ「呼び捨てで呼んでって言ったでしょ?」


ヒビキ「あ、ごめん、ユイ。」


ユイ「ねぇ、私、アオイとまわるって約束してるから、私も一緒にいい?」


アオイ「えっ?」


ヒビキ「あぁ、うん。大丈夫だよ。」


ユイ「ほんと?ありがとう!」


ヒビキ「うん。」


ユイ「明日楽しみだなぁ!ね!アオイ!」


アオイ「あ、うん」



__________



___女子トイレ___



ユイ「ねぇ、アオイ。」


アオイ「ん?なに?」


ユイ「前も言ったようにね、私ヒビキ君が好きなんだぁ」


アオイ「へぇ〜、そっか。」


ユイ「ヒビキ君優しいんだ。あれから放課後によくピアノ聴きにいくんだけどさ、遅いからって家まで送ってくれるの!」


アオイ「…良かったね」


ユイ「ねぇ、アオイってさ、ヒビキ君のこと好きだったりする?」


アオイ「え?!あ、そんな事ないよ!」


ユイ「良かったぁ、親友のアオイと同じ人好きになったらどうしようかと思ったよ!」


アオイ「…うん」


ユイ「ならさ、私の恋、応援してくれるよね?」


アオイ「…え?」


ユイ「…応援してくれないの?」


アオイ「そんなことないよ!応援する、よ。」


ユイ「ありがとう!私、頑張るね!」


アオイ「…うん。頑張れ。」


__________


ユイ「おはよう!ヒビキ君!」


アオイ「おはよう」


ヒビキ「おはよう2人とも」


ユイ「さぁ!たっくさん楽しむぞ!」


ヒビキ「そうだね」


ユイ「さっ、行こ!」




ユイ「ヒビキ君!あれ楽しそう!」


ユイ「ヒビキ君!たこ焼き食べたい!」


ユイ「ヒビキ君、こっちこっち」


ユイ「ヒビキ君!ヒビキ君!」





アオイ「……」


ユイ「あぁ〜さっきの射的楽しかったぁ!次は〜、綿菓子食べたい!行こ!」


ヒビキ「うん。アオイさん、行こ?」


アオイ「…私、お腹痛いから、ちょっとトイレ行ってくるね。」


ヒビキ「え?大丈夫?保健室一緒に───」


アオイ「───大丈夫だよ!1人で行ってくる。2人でまわってて。」


ユイ「はぁい!ヒビキ君、行こ!」


ヒビキ「……」


__________



アオイM「心が痛い。心がチクチクする。……でも、ユイだから。だって、親友だから。だから…だから!」



___息切れ___



アオイ「はぁはぁ、……音楽室。」


アオイ「……はぁ、何してるんだろ。私、ヒビキ君のこと───」



__________



ヒビキ「ユイ、ちょっと僕、アオイさんのこと見てくるよ。」


ユイ「え、でも、アオイなら大丈夫だよ。」


ヒビキ「…でも。」


ユイ「大丈夫大丈夫!あの子しっかりしてるし、それより、綿菓子食べよ!」


ヒビキ「……やっぱり見てくる!」


ユイ「あ!ヒビキ君!」





ユイ「はぁ…」


スグル「…1人で何してんだよ」


ユイ「なんだ、スグルか」


スグル「なんだとはなんだ!」


ユイ「別に」


スグル「アオイは?一緒じゃねーのか?」


ユイ「うん」


スグル「ヒビキともまわるって昨日廊下で騒いでたろ?2人は?」


ユイ「知らない」


スグル「あっそ。」


ユイ「……」





スグル「なぁ、お前なんでアオイの真似してるだよ」


ユイ「は?してないし」


スグル「してるだろ。」


ユイ「……スグルには、関係ない」


スグル「関係あるよ。これでもお前らとは腐れ縁だからな」


ユイ「……」


スグル「なぁ、お前はアオイのこと嫌いなのか?」


ユイ「…別にそんなんじゃ」


スグル「じゃあなんで、あんな事すんだよ。ヒビキとわざとらしく仲良くしてんのだって、アオイが、ヒビキのこと好きだからだろ?」


ユイ「……」


スグル「アオイのこと嫌いじゃないんだろ?ならなんで───」


ユイ「───スグルにはわかんないよ!!」


スグル「は?」


ユイ「スグルには私の気持ちなんかわかんないよ…」


スグル「……あっそ。わかんねーよ。」


ユイ「……」


スグル「友達を傷つけるやつの気持ちなんか分かりたくもねーよ!!」





ユイ「友達を傷つける…か。そんなつもりなかったのに…。」


__________



___音楽室___



ヒビキ「───アオイさん!……大丈夫?保健室にもいないから心配したよ!どこかで倒れてるんじゃないかって」


アオイ「ヒビキ君!どうしたの?ユイちゃんは?」


ヒビキ「それより、お腹は?痛くない?大丈夫?」


アオイ「あ、うん。大丈夫。」


ヒビキ「良かった。後でユイに、謝っとかないと。」


アオイ「え?」


ヒビキ「ユイのこと、置いてきちゃったから」


アオイ「ヒビキ君…戻ってもいいよ」


ヒビキ「え、でも…」


アオイ「私ね、仮病なの。お腹痛くない」


ヒビキ「え?」


アオイ「ユイちゃんはね、ヒビキ君の事が好きなんだって。」


ヒビキ「……」


アオイ「だから、2人きりにしてあげようと思って。…ごめんね、嘘ついて」


ヒビキ「…うん。いいよ、謝らなくても」


アオイ「でも、そういう事だから、戻ってあげて。ユイちゃん、きっと悲しんでるからさ。」


ヒビキ「そんなの……」


アオイ「…?」


ヒビキ「そんなの、僕には関係ないよ!」


アオイ「え?」


ヒビキ「例え、ユイが僕のこと好きでも関係ない。僕はアオイさんが好きだから」


アオイ「え?」


ヒビキ「だから、良かったら、僕と付き合ってください!」


アオイ「えっと…。あの、でも…ユイちゃんが───」


ユイ「───はぁ、いいよ。アオイ。」


アオイ「ユイちゃん!」


ユイ「ごめんね、アオイ。私がヒビキ君のこと好きって嘘だから。」


アオイ「え、どういう…」


ユイ「あーぁ、もうちょっと先の話だと思ってたのに。」


アオイ「…えっと?」


ユイ「ほら、アオイ!返事してあげなよ」


アオイ「え、でも…ユイ…。」


ユイ「好きなんでしょ?ヒビキ君のこと。わかり易すぎ、もぉ、もたもたしてないで、自分に正直になりなよ。

私怒ってないし、ヒビキ君のことほんとに好きじゃないから」


アオイ「……よろしくお願いします。」


ヒビキ「…ありがとう、アオイさん。嬉しいよ。」


アオイ「…私も、です。」


ユイ「…はぁあ、初々しいね。妬けるよ。」


アオイ「…ごめんねユイち───」


ユイ「ヒビキ君に」


ヒビキ「…僕に?」


ユイ「あーぁ、一瞬だったな。まだ、3ヶ月なのに。」


アオイ「……えっと、3ヶ月?ユイちゃん?なんの話?」


ユイ「んーん!なんでもない!…ヒビキ君!アオイのこと幸せにしてよね!泣かしたら私が怒るんだから!」


ヒビキ「……ぁ、なるほどね。もちろん!幸せにするよ。…君の分もね」


ユイ「…うわぁ、その言葉刺さる。酷いなぁ。」


アオイ「…?2人ともさっきからなんの話?」


ヒビキ「アオイには関係ないよ」


アオイ「え、今、アオイって…」


ユイ「んーもう!アオイ、文化祭は私とまわるよ!ほら行くよ!」


アオイ「え、あ、うん!」


ヒビキ「え、ちょっと!アオイは僕の彼女なんですけど!」



__________


ユイM「その瞬間、恋に落ちた。」


アオイ「ユイちゃん!私達ずっと親友だよ!約束!」





ユイM「次の瞬間、恋が終わった。」


アオイ「こんなに綺麗な音色初めて聴いた…。」





ユイM「恋はしゃぼん玉のように消えていった。」

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アルスト・ロメリア 海月 @harusame_hau

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