第2話 悪魔

「あいつは悪魔だ!みたいなセリフあるじゃん?」

 いつものように先輩が唐突に話しかけてくる。


「何かしらで見たことある気がしますね」


「でもアレってさ、たいてい『悪魔のような人間だ』って意味だよね。人間ならさ、極論、殺せるわけだし、悪魔に比べてあんま怖くない気がしない?」


 殺せても怖いものなんて、いくらでもある気がするのだけど。と、言うか、


「その極論を通すなら、悪魔だって祓えるって話になりませんか」


「確かに……。なら大丈夫か」


 なにかに納得した様子で先輩は黙り、私は「何なん?」という気持ちを抱えたまま、読書へ戻る。

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