第122話 神様の中の人

 「兄貴、兄貴!」

目が開かない、耳が、音が上手く聞き取れない。

「頼むよ……起きてくれよ兄貴……このままじゃ……」

手足に力が入らない。と言うか手足の感覚そのものが無い。

「このままじゃ……またこの世界がダメになるんだよ……っ!」

心臓が動いている気配さえしない。

「バッドエンドなんて俺もう嫌だよ……もう家族が死ぬのはうんざりなんだよ……!」

真っ暗闇の中にいるようだ。

「兄貴……このままじゃウルトラバッドエンドなんだよ……!」

意識が暗闇に、じわり、じわりと溶けるようにぼやけていく……。



「助けて、兄貴……助け、て……!」

 ――燃えて崩れゆく家の中から、確かに俺に助けを求める声が聞こえた。


 何かを考える前に、がむしゃらに手を伸ばしていた。

今度こそ、

今度こそ!

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