第46話 俺はどうしてもマザコン

 「う……うう……っ」

デボラが呻いたので俺はディーンを抱き上げてデボラのベッドに連れて行った。

「おかあさま!おかあさま、うわあぁあああああああぁあああああああああん!!!」

「おきて、おきてよ!!!!」

「……あ……れ」

ぼんやりと開いた目が俺達を見た。

「カイン、ディーン?……ここは……?」

「ていこくじょうだよ!おかあさま、だいじょうぶ!?」

「そうだわ……馬車で……」ハッとデボラは目を見開いて飛び起きた。「あれから何があったの!?」

「おかあさまぁーーーーーー!!!」

ビャアアアアアアアアアアアッ!!!と安心して泣きわめくディーンを抱きしめてあやしているデボラに、俺は事情を説明した。

『デボラの母上がお元気なだけで、俺は……ああ、まだこの世界の存在と存続を許容できる……』

カインがやかましい。

「そうだったのね……」

デボラは頷いた。

「ねえ……おかあさま、あのね、あのね」

起きてくれて、良かった。

「おいで、カイン」

俺はディーンと一緒にデボラの腕の中に身を投げた。


温かい。

温かい。

ちゃんとデボラは生きている。


……それだけで酷く安堵して、そうしたら急に眠気と疲れが襲ってきた。

宮廷医師や色々な人が、デボラの診察や事情聴取にこれからやって来るだろうから、その前に……。

「ありがとうね、2人とも……」

ギューッと抱きしめられて頬ずりされて、そっと俺は目を閉じた。


今だけは、どうか俺のマザコンを許してくれ。

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