第32話 もしかして神の一人って……
「……先ほど、大巫女が神託を授かりましてな」
ゴクリ、と俺達3人は息を呑んだ。
「正直……その解釈に戸惑っておるのです」
え?
「『放置推奨』『そのままで』と言う、非常に読み解きやすい神託なのですが……その分、解釈に我ら全員が困っております」
そういや神々が使うのって太陰文字なんだっけ。
当然、神託も太陰文字で出される訳だから、それを太陽文字に翻訳しなきゃならないんだ。
「ただし、『緊急性や危険性は無い』と言う点での解釈で間違いないとは見解も一致しております」
「……神々がそうおっしゃるのでしたら……」
リュケイオン学園の理事長が納得していない顔をする。
だけどフェニキア公爵夫妻とデボラは納得している顔だった。
「では諸君も明日から登園するように」
理事長はそう言ってヴァロを連れて先に帰ろうとしたけれど、フェニキア公爵がヴァロを呼び止めた。
「その、ヴァロ君も……まさか、娘のために?」
「しっているならおじいさまをせっとくしてくださいよ!どうせかえったらワガハイはまたおせっきょうです!」
「……何の話だ?」理事長が振り返った。
フェニキア公爵が理事長に近寄って、小声で何か話している。
「いや、まさか……そんな」
「しかし……」
「……」
「……」
理事長は半信半疑の顔をしていたが、俺にゆっくりと話しかけてきた。
「カイン君。一つ聞きたいことがある」
「なんでしょうか」
「どうやって知ったのだ?」
「ゆめをみたんです……おそろしいみらいのゆめでした」
この理事長も孫のヴァロを殺された件でカインを追求しようとして……返り討ちにされたのだ。
『……だがデボラの母上が幸せに生きている以上、俺は……誰も恨めないし殺せない』
『ガチ目のマザコン野郎め。デボラのおっぱいが未だに恋しいんだろ?』
『だ、黙れ!』
「そのゆめのなかではたくさんのひとがふこうになりました」
『……ついでに世界も滅ぼした』
『「ついで」で世界を滅ぼしてんじゃねえよ!』
「だから、ぜんいんしあわせにしたいんです」
その時神官が走ってきて、大神官に畏まって次の神託を告げた。
「『目指せウルトラハピエン』と……再びとても解釈に困る神託が……!」
……まさか。
ユーリ……なのか?
まさかこの世界の神様やってないよな?
流石に違うよ……な。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます