現代で紫式部は誤解を解きたい

南ノ 彗

第1話 記憶保持

最初に私の違和感に気づいたのは父だったという。

あまりにも早い言語の習得、小学校に上がる頃には漢詩の音読が趣味になっていた。

兄は平凡で、妹の私の事はちょっとした天才ぐらいに思っていたらしい。

母に関して言えば、私の娘凄い!で特に高望みもしなかったが、欲しがった本はほとんど買い与えてくれた。


何はともあれ、中学に上がる頃には全ての状況を一文でまとめることができるぐらいには、冷静な判断ができるようになっていた。

「紫式部と呼ばれている女官は著作の八割方を忘れた(ただの記憶力の問題)状態で、現代(2020年代)に転生した。」

それが私、藤原 彰奈あきなである。

奇しくも前世で仕えてた人の名前の漢字が入っているのは、父母に申し訳ないがなんか嫌である。


さて、紫式部の代表著作物

「源氏物語」「紫式部日記」であるが、いやまぁ今の時代の価値観に合わせたらやばい作品である。一言で言い表したらヤバいやつしかいない。そりゃ四桁の年数が経過してるから当たり前だが。それにしても現代的な視点で見たらマザコンロリコン浮気に監禁とえぐいやばい怖いの3段活用である。当時はこれがよかったんだよ、若者よ…とトホホと涙しながら、いやしかし現代に生まれた今の私からしたら恐怖だ。黒歴史と言っても良い。この黒歴史の怖いところは日本中に広まっているガチ史実ということである。


前世の記憶のおかげでか、成績はまぁなんとかどっこいである。


そんな平和な多分きっと普通な生活の中にイブツが入ってきたのは中学二年生のとある日のことであった。

なお、イブツとは異物と遺物をかけている。


もっと言えば大河ドラマで紫式部をやられたのはたまったもんじゃない。

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