1122 男・山中!!一世一代の告白!!

 素直ちゃんの片思いを諦めさせる為に、山中君の素直ちゃんに対する恋心を激白した眞子。

それ故に、山中君の計画は全てオジャンに成ってしまったのだが。

その眞子の行為を本人に倉津君が伝えた所、覚悟を決め『一世一代の告白』をする事に!!


***


「眞子ちゃん、アリス、入るで」


そう言って山中は、なんの戸惑いも、躊躇もなしに障子を開けて部屋に入っていく。


もぅ完全に覚悟は決まっているらしい。



「……山中君」


それに対して素直は、一瞬だけ山中の姿を確認した後、再び俯いてしまう。


見るからに、さっきの話でグツが悪いんだろう。

そんな素直を一瞥して、山中は、何故か眞子の前にドカッと座る。


俺は、そんな山中の態度とは裏腹に、無言のまま、それに従って座るしか出来なかった。



「ホンマ、よぉもやってくれたなぁ、眞子ちゃん。お節介も程々にしぃや。これはちょっと度が過ぎとるで」

「うん、そうだね。度が過ぎてるね。私もそう思うよ」

「フン。解ってやっとるんか。ほな、しゃあないな。……そやけどなぁ、これだけは言うとくで。眞子ちゃんが、どう思うてるかは知らんけどなぁ。俺はジックリと事を構えとったんや。それを自分の我儘を押し通して、此処まで無茶苦茶にしてくれたんやから。アカンかった時は、アンタの体で責任とって貰うで」


なっ!!



「ちょっと待てくれ、山中!!そんな事はダメだ!!許されねぇよ!!」


馬鹿な事を言ってんじゃねぇぞ。

コイツには、崇秀って彼氏が居るんだぞ!!

自分勝手な事をしたとは言え、なんで眞子が、そんな真似をしなきゃならないんだよ!!


責任なら俺が取る。



「……良いよ。なにをする気かは知らないけど。それで責任が取れるって言うなら、好きにすれば良いよ。自分でやらかした事の責任を取るのは、自分にしか出来ないしね」

「オイ、眞子!!オマエ、何言って!!」

「黙って。事がどうあれ、身内(倉津君)の仕出かしたヘタウチを、身内が補うのも当たり前の事でしょ。極道の世界じゃ、これも当たり前。それに、これは私が蒔いた種。自分がとった行動の責任位、自分で取る」

「馬鹿言うな!!そんな事、俺が許さねぇ!!」

「ゴチャゴチャうっさいよ!!そんな言葉は、自分で自分の責任が取れる様になってから言いなさい。なにも出来無い様な奴が、言葉だけで軽々しく責任を取ろうとするな」

「ぐっ」


山中の無茶な要求に、何とか阻止しようとしたんだが、逆に眞子に怒られてしまう始末。


それにしても、なんて覚悟なんだ。


コイツ……そんな覚悟を持って、この話に臨んでやがったのか。


考えられねぇ。


とても餓鬼の思考じゃねぇ。



「ほぉ、肝が据わってるこっちゃな。ほんだら、俺も自分自身の覚悟ちゅうもんを見せたるわ。……アリス」

「(びくっ)・・・・・・」

「もぉ今までみたいに隠し立てするのは無しや。ハッキリ言うで、俺は、オマエの事が好きや。マコの事は忘れて、俺と付き合ってくれ」

「えっ、えぇっと……」

「余計な事はゴチャゴチャ考えんでえぇねん。こんなもん、俺が好きか?嫌いか?だけの話や。オマエは、俺の事どない思っとるんや?」

「ぼっ、僕は……」


ヤッパリ、困ってるな。


急に、こんな事を言われても、心の整理がつかないのが当たり前だ。



「フッ、ちょっと早急過ぎるか?……まぁえぇ。ほんだら、直ぐに解答を出せとは言わへん。アリスが自分で納得出来たら、俺に直接解答してくれ。そやけど告白した以上、俺も長い事は、もぉ待たれへんで。期日は今週一週間。来週の日曜日までに解答を出してくれ。……ほなな」


それだけを言うと山中は、その場を立ち上がり、この部屋から立ち去ろうとする。



「待って山中君!!僕が断ったら、眞子ちゃんをどうする気なの?」

「はぁ……この期に及んで、人の心配かいな?」

「だって」

「そんなもん決まっとるやないけ。……なんもせえへんわ」

「えっ?」

「なんで俺が、俺の事を気ぃ遣ってくれた眞子ちゃんを傷付ける様な真似せなアカンねんな。そこまで人間落ちてへんわ」

「でも、だって、さっき、体で責任取れって」

「アリス。アホな事を言いなや。あれは、俺が、眞子ちゃんの覚悟を聞いただけの話や。ホンで眞子ちゃんは、自分で自分也の責任を取る言うた。これは立派な覚悟や。それだけで、十分俺には、眞子ちゃんの気持ちが伝わった。そんで十分なんや」


……そうだよな。

少し考えたら解る事だが、山中が、そんな下衆な事を考える筈ねぇよな。


コイツは、そんなセコイ奴じゃねぇもんな。


また……俺は見誤ってた。



「……山中君」

「まぁ、そやけど。お詫びのデート位はして貰うけどな。俺かて、振られたら、誰かに慰めて欲しいからな。……そう言うこっちゃから、もぉえぇかアリス?」

「待って!!……山中君。僕なんかの何所が好きなの?なんで僕なの?」

「男が女に惚れる理由なんか1つだけや。……『オッパイのでかさ』に決まっとるやんけな」

「えっ?おっ、おっぱい?」


はい?



「ははっ、ちょっとした悪い冗談やがな。そんな理由な訳ないやんけ」

「えっ?えっ?でも、なんで、どうして?こんな時に冗談なんか言う必要が?」

「なんでか?って。そんなもん、此処の雰囲気が余りにも雰囲気が悪いからやんけな」

「えっ?」

「こんな劣悪な環境で物を考えたら、絶対にネガティブな方向に思考が向くやろ。そんなん俺が損するだけやん」

「えっ?なにが?訳が解らないよ」

「まぁ、訳なんか解らんでえぇねん。大体なぁ。日本の人口の半分が知ってる様な3B-GUILDのリーダーであるアリスが、俺の告白なんかを、そんな深く考えんでもえぇねんて。もっと気楽で構へんで」

「あっ……」

「まぁそやけど。告白の返答が『友達から始めよ』だけは堪忍してや。元々友達やねんから、今更その言葉だけは無しやで。それだけは頼むで」


……カッケェ。


とても同い年とは思えない真剣な言動だな。


これも、十代の餓鬼の言うセリフじゃねぇ。


でも、なんでいっつも、俺と、コイツ等じゃ、こんなに差が出るんだ?

なんで俺は、いつまで経っても、こう雑魚のままなんだ?


山中が格好良く見える反面、自分が情けなくて仕方ねぇよ。



「あの……ごめんなさい」

「アカンか?……ヤッパリ、俺とは付き合えんか」

「あぁっと、そうじゃなくて。僕、まだ頭が混乱してるから、山中君の気持ちに対する明確な答えが出せないの。だから、ヤッパリ、あの、もぉちょっとだけ時間が欲しい」

「さよか。ほんだら、さっきは期限付きや言うたけど、無期限で待ったるわ。但しや。付き合う、付き合えへんは別として、告白の返答だけは、絶対に聞かせてや。……そやないと、俺も前に進まれへん様になるかならな。それだけは御免被るで」

「あぁ……うん」


今、素直の中で、なにか心境の変化があったのだろうか?

それとも心境が複雑に成りすぎて、なにがなんだか解らずに、状況が把握出来てないのだろうか?


眉を顰めて、俯いてるのに、顔は真っ赤になってやがる。



「ほなまぁ、そう言うこっちゃから。俺も言いたい事を言わして貰うて、漸くスッキリしたわ。俺等は大部屋に戻ろうぜ、マコ」

「いや、オマエ、この状況で……」

「オドレはアホか?アリスにも、向こうに戻るまでの準備ちゅうもんがあるんやろうがい。野暮ったい事、ワザワザ口に出して言うとんちゃうぞ」

「……そっか」


山中の言葉に従って、席を立つ。



「ほなまぁ、後の事は宜しゅうな」

「うん、任せておいて」

「……あぁ、それとやな。こんな機会設けてくれて、ありがとうな、眞子ちゃん。感謝してんで」

「なんの、なんの。少しでも、お役に立てて嬉しいよ」

「はぁ……ホンマ、かなんで、この子は」

「ははっ」


感謝する側と、受ける側の気持ちが一緒か。


スゲェなコイツ等……


結局、俺は、なにも出来ずに、また人に頼るだけで話が終わっちまった。


これはもぉ、情けねぇの極みとか、そう言う問題じゃねぇな。

なんの為に、こうやって生きてるのかさえ疑問に思っちまう程の情けなさだ。


けどまぁ、そんな中に有っても『山中と、素直の関係が上手く行けば良いのに』とだけは、心からそう思える。

まだまだ課題が多く残されている状況だろうけど、この2人の相性は、かなり良いと思えるからな。


俺は、そんな気持ちを密かに持ちながら、素直と、眞子の居る、俺の自室を後にした。


***


―――次回予告。


ヤナ事は、風呂に入れば、ある程度忘れられる。

私は悩みが有った時は、いつもそうして解決してきた。


だから、素直ちゃんの泣いた後の顔を元に戻す為にも、一度一緒に風呂に入る事を提案した。



そんな訳で、次回。


『Bath time』

「風呂での出来事」


……を、お送りします。


少しでも早く、みんなで幸せに成ろうね♪


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>

山中君の告白にて『第一章・第六十六話 Quest(難題)』はお仕舞になるのですが、如何でしたでしょうか?


それにしても、まさか『真菜ちゃんをみんなに紹介する会』が、素直ちゃんの問題に発展する事に成るとは、倉津君も夢にも思わなかったでしょうね(笑)

ただこの素直ちゃんの片思い問題も、思えば『序章の初期から続いてきた問題』

いい加減ハッキリとさせなきゃいけない問題でもあったので、今迄の様ななぁなぁな先送りをするではなく。

そろそろ此処で、キッチリとした解決に向かっていきたいと思いますです♪


さてさて、そんな訳で次回から始まる「第一章・第六十七話 Bath time(風呂での出来事)」では。

今、どうしていいか解らずに混乱する素直ちゃんを、眞子がお風呂場でフォローアップしてあげる話となります。


まぁ、人を集めて置いて、吞気にこんな事をするのもどうかと思うんですが。

一応、この事情を把握してる倉津君が宴会場の方に戻って行く訳ですから、そこはまだ、何とかなると思いますです。


ではでは、そんな感じではありますが。

良かったら、また次話も遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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