1116 素直ちゃんの隠していた本心

 真菜ちゃんの紹介は、なんとか上手くこなせた眞子。

それ故に、次は倉津君と素直ちゃんの問題の解決に向かうのだが、その頃、倉津君はと言うと……


***


 ―――サイド真琴。


素直と話をする為に、自室に招き入れてから30分程が経過。

この間、先程出た『素直が3Bを卒業する』っと言う話は、早くも堂々巡りを繰り返し、平行線のみを辿り始めていた。


俺が、素直に、HIS-GUILDを辞める理由が『安易』だと言うと。

素直は、それに反して、自分の意思は『安易』じゃないと言い返してくる。


勿論、感情的に成って言い合いをしている訳じゃないんだが、どうにも上手く話が噛み合っていない様子。


まぁなんと言うか。

もし素直が男なら、一発ぶん殴ってでも言う事を聞かせれば、話は一瞬にして終了するんだが。


如何せん素直は女。

そんな単純かつ、暴力的な解決策は使えない。


けど、このままじゃあ、お互いの意思をぶつけ合うだけで一向に話が進まないのも現実。


どうにか打開策を見い出そうとして、話を続けていた。



「なぁ、素直。頼むから考え直してくれよ。俺とバンドをしようなんて馬鹿な真似はせず、オマエは、このままHIS-GUILDに入って、もっと自分を生かし続けるべきなんじゃねぇのか」

「真琴君。何度も言ってますけど。僕は、真琴君と、どうしても一緒に演奏したり、ライブをしたりしたいんです。だから、HIS-GUILDに入る意思は有りません」

「だから、なんでなんだよ?一体HIS-GUILDの、なにが気に食わないんだよ?」

「・・・・・・」


そう……これを聞くと、必ず、返答がなにも返って来ないんだよな。


ホント、なんでなんだろうな?


まぁ敢えて、この反応に対しての回答があるすれば、HIS-GUILDに『不満は無い』って回答には行き着く訳なんだが……

でも、そうなると、この素直の判断は『安易』って話に成るんじゃねぇか?って、話にも成るんだよなぁ。


けど、こうやって素直が黙っちまうから、そこが、いまいちハッキリ見えねぇ。

それ故の堂々巡りを繰り返すばかりになってしまうんだよな。


なので俺は……



「なぁ、素直。そこを聞かなきゃ。この暴挙は納得出来無いってよぉ」

「暴挙じゃないです。僕は、僕なりに、一生懸命考えた上での結論なんです」

「いやよぉ、そこは解るけどよぉ。そんなんじゃ俺は、オマエと一緒にやりたいって気持ちにはなんねぇぞ」


いや……正直言えばな。

素直とは、また一緒にバンドをやりたいって意思が無い訳じゃないんだぞ。


ぶっちゃけ言えば、やりたい。


ただなぁ、例えそうであっても、ヤッパ、裏切り行為だけは良くねぇって思っちまうんだよなぁ。

今まで一緒に頑張ってきた仲間を、そんな安易な理由で裏切るのは良くねぇんじゃねぇか?



「……じゃあ、全部、正直に話しますから。僕を、真琴君のバンドに入れてくれますか?」

「いや、待てよ、素直。幾ら正直に言われてもよぉ。納得出来なきゃダメだろ」

「そんなのズルイですよ。僕だって、言いたく無い事だって有るのに……強引に聞いて置いて、それでダメじゃあ、酷過ぎますよ」

「いや、けどよぉ、素直。理由ってのは、そう言うもんだろ。それが嫌なら諦めるしかねぇんじゃねぇの」

「そんなの無いですよ。真琴君、僕を3B-GUILD入れて置いて、そんな言い方ってない」

「えっ?」

「僕が3B-GUILDに入っったのは、真琴君が喜ぶと思ったから入っただけなんですよ。それを今更、そんな言い方ってないですよ。僕は、自分の意思で辞める権利すらないんですか?……じゃあ僕は、なんなんですか?」


うぅ……そう言われると辛いよな。


3B-GUILDの結成自体が、最初は単純に『面白いかな』って思って作ったユニットだけに、素直のこの言葉には言い返す言葉が、なにも無い。



「でもよぉ。人気があるのに、ワザワザ、こんなおかしな道を選ばなくても良いじゃんかよ。それによぉ、由佳達に対しての仲間意識ってもんが有るだろうに。それを裏切るのは、流石に良く無いんじゃねぇか」

「……そんなの関係ないです」

「へっ?」


なっ、なに?


今……オマエなんつった?



「そんなの関係ないですよ!!元々僕は、3B-GUILDになんか、別に入りたくなかった!!僕は、真琴君が喜ぶと思ったから入っただけだもん!!仲間意識なんか、最初から無いもん!!」

「オイ……嘘だろ」

「嘘じゃないですよ。これが、さっき言いそびれた『僕の本音』です。こんな事を言いたくなかったですけど。さっきのままじゃ、いつまで経っても真琴君は、なにも解ってくれない。だからハッキリ言います。僕は、3B-GUILDには入りたくなかったし、アナタと、ズッとバンドをしたかったんです。……だから、そのチャンスを窺ってたのに……こんな仕打ちは無いですよ。そんなに僕が嫌いですか?だったら、もぅ、一層の事そう言って下さいよ。変に期待を持たさないで……」


……知らなかった。

素直が、そんな気持ちで3B-GUILDに参入してたなんて、全く知らなかった。


けど……これは知らなかったでは済まされない問題だな。


どうしたもんだ?

俺は、一体、如何すれば良いんだ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


とうとう素直ちゃんが自身の本音を倉津君に漏らしてしまいましたね。

そしてこの『倉津君への想い』こそが、彼女が敢えて3BーGUILDに在籍し続けた理由だった訳なのですが。

此処まで徹底して、自身の好きな異性の願望を叶えてあげられるのは凄い事だと思います。


ただまぁ、こう言った事と言うのは『基本的に相手側には自分の気持ちは伝わりにくい物』ですし。

それを常日頃から素直ちゃんの様に自然に行っていたのでは、尚更、これは相手には伝わり難い物になってしまうのかもしれませんね。


さてさて、そんな素直ちゃん本音を知ってしまった倉津君。


一体、どうするつもりなのでしょうか?

そして、素直ちゃんは、そんな倉津君の対応に、どう答えを返すのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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