第13話 ◆旅行
剣聖杯が終わって大体一週間。
もう、ダメ…
色々と疲れたよ、
ギルドの仕事もしないといけないのに…
手があまり進まない。
貴族や王族との食事会。
鬱陶しいまでの勧誘。
もう揉まれに揉まれて、心身が疲れた気がする。
折角の食事会だったのにゆっくりできなかったし、味がしなかった。
リシア達も疲れていると思ったんだけど、ケロッとしている。
なんでだろ…
「アマネも近づくなって覇気と魔力放出すればいいんだよ!」
リシアはそのように言いうが…
僕が、それをやったらいくらか死人出るじゃ、
「あんな奴らあしらえばいいだろ?」
エヴァはぶっきらぼうにそう言う。
いやいや、人の話はちゃんと聞かないと僕のポリシーに反する。
「というか二人はなんで執務室にいるんです?」
書類にサインをしながら雨音は聞く。
あまりにも自然に部屋にいるもんだから、反応が遅れた。
「暇なんだよ、」
「ああ暇だ。」
「ええ……」
ギルドの依頼がたくさん溜まってるから二人にやってもらいたいけれど、やはり剣聖杯が終わったばかりだからゆっくりしたいのかな。
なんて考える雨音は、全く休むことなく、日課の剣舞もできずギルドマスターの仕事や、剣聖になってお祝いの手紙の対応などなど、一睡もせず働いていた。
『二人とも、アマネの邪魔はダメ。』
執務室に入ったスーザイはその光景を見るなりして、ソファでくつろいでいる二人に念話を送る。
『それから、これ…アマネ宛ての手紙。』
「ボクにですか?」
雨音はスーザイから手紙を受け取り、中を開く。
なんだろ、
_____________________
拝啓アマネ・レイヴ=ツルギ様
十代目剣聖であり精霊王である貴女に直接会わず、このような手紙で連絡することをお許しください。
貴女のお話はスーザイ教授から聞いております。
魔法の腕も大変凄いとか、
機会があれば是非【魔法国家リシュテイン】の名門大学ラファリアにいらしてください、歓迎しますよ。
大学院総長ケテル=ライゼンより
_____________________
「これは…」
『スーの、研究仲間。ケテル総長が、アマネに興味を持って…もしかしたら臨時講師に、させられるかも。』
スーザイは雨音にそう言う。
無理だよ…?
ただでさえこんなに忙しいのに。
『
雨音にそう言うスーザイ
いやでも、ユークリッドは結婚生活で楽しくやってるから迷惑なんじゃ…
「あいつ、イトラ商会長との自慢話がクソうざいんだよな。押し付けても文句言わねえだろ。むしろオレが言わせねえ。」
エヴァは眉間に皺を浮かべながらキレ気味に言う。
「アマネは休むべきだよ。折角だしリシュテインに行かない?」
リシアは雨音の頬をぷにぷにと触りながら言った。
みんなそこまで言うなら…
ユークリッドには悪いけれど休んでもいいかな、
雨音は羽ペンを棚にしまい、紅茶を淹れて飲む。
「じゃあリシュテインに行きましょうか。」
雨音とリシア、エヴァ、スーザイの四人は自分達の家を、家政婦を雇って任せる。
そして普段はどこに行くにも自分の足で走って向かうところだが、今回はゆっくりと観光するために、馬車に乗ってリシュテインまで向かった。
楽しみだなあ〜
リシュテインってどんなところなんだろ。
スーは最先端の魔道具なんかを生産しているって言っていたし相当発展しているところなのかな。
雨音はまだ見ぬ地に思いを馳せる。
「ねえ、あの人たちって…ウラクの、」
「剣聖様も他の子もめっちゃ、かわいい!」
「シッ、聞こえるよ!」
同伴している人たちは雨音達を見てヒソヒソと会話する。
だが四人は伊達にS級とX級じゃない。
普通に聞こえている。
リシアは剣聖杯ぎ終わってA級からS級に早々と昇格。
アマネに至っては剣聖になったことでS級からX級に昇格していた。
『馬車、貸切にすれば…良かった?』
スーザイは三人に思念を思念を送った。
「いえ、こういうのも新鮮で楽しいですよ。」
そう言う雨音だった。
「気持ちいい風ですねー!」
雨音は窓の外に顔を出し、風景を楽しむ。
久々の休暇にニッコニコの雨音だった。
やっぱり息苦しかったのもあったのかな、
仕事ばっかで羽を伸ばすこともできてなかったし、自分には苦手な部類なのだろう。
そんなことを考える雨音だった。
「お姉ちゃ、あそぼ。」
同伴していた親の子供だと見受けられる少女がキラキラとした目を浮かべ雨音に言う。
「ちょ、リーネ!すみません剣聖様、」
「いえいえ全然大丈夫ですよ。リーネちゃん、良ければ一緒に遊びませんか?」
雨音は笑顔で言った。
しかし、何も持っていないし、どうしたものか…
「ん…?」
武器を持っている人達が馬車の進行路を塞いで
待ち構えているような…
雨音の魔力感知に引っかかった。
「盗賊の奴らも運がねえな。」
エヴァは呟き、馬車を止めるように言った。
「盗賊、ですか…本来なら怯えるところですが剣聖様達がいる今は彼らの方が可哀想ですね。」
馬車に乗っている人々はその言葉に頷く。
護衛要らずと言うべきか、過剰戦力すぎる。
エヴァは馬車を降り、盗賊の目の前に現れた対峙した。
「おい女!良い身体つきしてんじゃねえか!」
「うひゃーこりゃ上玉だ!」
盗賊達はエヴァの身体を舐め回すように吟味する。
「馬車の中にいるあの三人も超絶美少女じゃん、黒髪の子は特に好みだ!」
その言葉にスーザイは引いた。
『
その盗賊は生粋のロリコンだった。
そんな盗賊の男は馬車に入ろうとしその瞬間、
スーザイの魔法を浴びせ跡形もなく消し去った。
「おい、今何が…」
「魔法だ、魔法使いがいるぞ!気をつけ…」
二人の盗賊がエヴァの大剣で斬り刻まれ絶命する。
まるで虐殺。
アマネは馬車に乗っている子供の眼に手を被せ耳を魔法で塞ぐ。
この光景は見せられない。
「ちょ、やめ…助けてくれ!」
盗賊たちは泣き叫ぶように懇願する。
助けてくれ、と…
しかし、その想いは届かない。
「ん?なんか言ったか?」
「ひぃ!!!」
最終的には有無を言わさず殺される盗賊。
結局、盗賊達は全滅。
死体もスーザイの魔法で消し炭になってしまった。
「あれが白銀と破天…」
冒険者の男は身震いしながらエヴァとスーザイを見てそう呟く。
ただ、それは仕方のないことなのかもしれない。
「ありがとうございました、」
「おかげで死ななかったよ。」
「本当にありがとう。」
他の乗客達は各々感謝の言葉をエヴァとスーザイに言う。
それにしてもこの子があの光景を見なくて良かったよ。
流石にあれは眼に毒すぎる。
「お姉ちゃ、どうしたの?」
「いえ、なんでもないですよ。」
とりあえず、ここは何か楽しいことをしよう。
雨音は水魔法で簡易的な海を創り出す。
魚や珊瑚礁、貝やカニ、鮫や鯨などなど、馬車の近くの空一面を、魔法で塗り替えた。
「わー綺麗!凄い凄い!」
喜んでもらえて良かった。
「剣聖様はこんなこともできるのかよ…」
「すっご…」
「これ全部魔法なのか?」
乗客たちは口々に言う。
雨音は精霊王だ。
彼女にとってはこんなもの造作のないことだった。
雨音、凄い…
もう自分と遜色ないレベルになってる。
スーザイは雨音の魔法を見てそんなことを思った。
あまりに精密に描かれ、それを絶えず変化させ続けている。
何よりこれだけ大規模な魔法は、膨大な魔力を消費するはずなのに、雨音は全く魔力を使っていない。
雨音はもうすでに、魔力操作の極地に足を踏み入れていたのだ。
「娘と遊んでくれて本当にありがとうございます。」
「いえいえ、ボクも楽しいので。」
何度もお礼を言われる雨音。
そんな恐縮されてもなぁ…
とりあえず雨音は王都ハルアに着くまで魔法を使い続けた。
「では、ボク達はこれにて失礼します。」
「お姉ちゃ、またねー!」
馬車を降りる四人。
雨音達に向けて乗客達は手を振った。
いい子だったなあ。
「じゃあ、港に行きましょうか。」
「そうだね。」
魔法国家リシュテインは海の向こうに位置する国。
別の大陸にあるから、気候とかもだいぶ違うのかもしれない。
港まで歩き、美味しそうな串焼きを買う雨音一向。
ついに港まで到着し、そこにあった大きな船に驚かされた。
「すっごく大きな船ですね!これに乗るんですか?」
雨音はそう聞くとスーザイはこくりと頷く。
初めて乗る船に、雨音は胸の高鳴りが抑えられなかった。
チケットを受付の人に渡し、大型船に乗る。
エントランスの中には大きな水槽があって魚が泳いでいるし、シャンデリアや多彩な装飾に雨音とリシアは目を引かれるばかりだった。
王族などもこの船に乗ることが多く、世界で有名な豪華客船として知られていると言う。
しかもスーザイ達は何度もこの船に乗っていて、VIP会員証を持っていた。
『アマネ達も、VIP会員になってる。』
「「え?」」
どうやら知らぬ間に偉いことになっていたらしい。
自分たちの部屋はどこだろ…
雨音達はVIP専用の道を進み部屋を探す。
「ボクとリシアはこっちですね。エヴァとスーとは隣みたいです。」
「じゃ、また後でな。」
雨音とリシアは部屋に入る。
それにガラス張りで海が見えた。
それにしても、凄い部屋が広い。
お風呂もあるし、いたせりつくせりと言うべきか。
ふかふかのソファ。
あ、これは人を駄目にするやつだ…
僕は精霊だけれど。
それにお風呂……か、
屋敷にはお風呂が設置されているけど使ったことがない。
そもそも、魔法で身体はずっと綺麗なままだし入る意味もあまり感じられなかった。
いい思い出がないんだよね。
前世では一度お風呂に入ったけど溺れて死にかけた。
それからはシャワーだけ。
でも、今なら入ってみたい。
お風呂入らないと人生の一割は損してるって優に言われたっけ、
よし、入ってみよう。
魔力で作られた衣装を解除して…と、
「ちょ、え…アマ、ネ?」
リシアは顔を真っ赤にして、アマネを凝視した。
艶々の肌。
初めて見る雨音の裸を見て、リシアの心臓の鼓動が早くなる。
雨音は湯船に浸かり、息を吐いた。
「すっごい気持ちいい…」
まさに極楽。
リシアの心境を知らない雨音は、身体を柔らかく伸ばしたり、濡れて滴る髪をかきあげたりして、リシアの目を引いていた。
それがなんとも美しく淫らに見えるリシア。
落ち着け私…ダメ、
大好きな雨音に変なことを思っちゃ…
しかしリシアはムッツリだった。
自分も脱いでお風呂に入ったら、どさくさに色々なことができるんじゃ、
リシアの頭に天使と悪魔が現れる。
『襲ってはいけませんわ。貴女の大切な方なんでしょう?』
『やっちまえよ。お前もあの子の崩れた表情が見たいんだろ?』
うう、雨音の悶えて恥ずかしがる表情が見たい…でも、
嫌われちゃうかも。
苦渋の決断の上、リシアは服を脱ぎお風呂に入った。
「あれリシア、鼻血が…」
雨音はリシアに近づき心配する。
一方リシアはといえば、
「あ、アマネ。マッサージしてあげるよ。」
煩悩に塗れていた。
「え、でも肩凝ってないですよ?」
しかし雨音は普段とてつもなく姿勢が良いため、胸がC異常あっても肩が凝ることもない。
それにストレッチを欠かさないからどこも柔らかい。
しかし、それでもリシアは諦めなかった。
「え、ちょ…」
むにっ
そんな擬音が出るほどに柔らかい。
リシアは無意識に雨音の胸を触っていた。
「あの、んっ…」
雨音は乳首を触られて声が漏れる。
初めて味わった感覚、なんて表現したらいいのか分からないけれど…ピリッてするような、
雨音は口に手を当てて声が漏れないようにする。
何故そうしたかは自分でも分からなかったけれど、そうしなければいけない気がした。
「アマネのおっぱい…凄い柔らかい、」
リシアはリシアで途轍もないことを口走っていた。
そういえば、リシアはよく僕のほっぺとか触っていたし柔らかいもの好きなのかな。
リシアが喜んでくれるなら、いくらでも触らせてあげよ…
少しピリッとして、身体が一瞬飛び跳ねそうになるけど、これくらいなら大したことない。
雨音はそんな風に考えていた。
そう、雨音は…そういう知識が全く無い。
皆無と言っても良い。
師匠に育てられ、剣術や人情以外は必要最低限しか学んでいない雨音にとって、性知識は全く持って未知の領域。
故に、別に男に胸を触られようが全く問題なかった。
たまに雨音はギルドで稽古をしていて、
倒れそうになったユオンを支えるようとした時、事故だったとはいえ胸を鷲掴みにされたことがあった。
ユオンは怒られるかと身構えたが、雨音にとってはなんでそんな顔を強張らせているんだろ、なんて呑気なことを考えていた。
純粋も、行き過ぎは毒になるのだろう…
他にも雨音はストレッチをするとき、ストレッチ用の服に着替える。
それはとても薄く、体のシルエットが強調される。
あまりにも、眼に毒なのだ。
そんな雨音は男は勿論のこと、その圧倒的な可愛らしさと美しさは女さえも魅了していた。
「ねえアマネ、ここ自分で触ったことある?」
もはや止まることのできないリシアは、雨音の後ろに周り、雨音のあそこを手で撫でるように触る。
「ひっ!?」
思わず声を上げる雨音。
お腹がゾクってするような、そんな感覚が広がる。
なに、これ…
「さ、触ったことないです。」
雨音はそう答えると、リシアの指が、チュプっと音を立てて中に入っていく。
「ねえアマネ、気持ちいい?」
そう聞かれるが、よく分からない。
なんていうか腰が浮きそうになる。
もしかしてこれってマッサージの一瞬なのかな、
せっかくリシアが気持ちよくしてくれるのなら…
「気持ちいい…です。」
身を委ねた雨音はそう答えた。
_____________________
後書き
あ、えと…
弁明は無いです。
だって、仕方ないじゃ無いですか!
書きたかったんですもん!!(落ち着け)
と、いうわけで…R指定入りそうなので、設定で性描写有りの項目を入れさせていただきました。
もし、そういうのをこの作品に求めてないんだっていう方が居るのならば、もうそれはそれは健全なものにしていこうかなと思っております。
◆がタイトルに付いていたら、そういう描写がされているんだなと思ってもらって大丈夫です。
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