ペんの大冒険ぺン!
まよつな
第1話 一匹のスライムぺん!
◆ ◇ ◆
「グオォォォオオオアアアア!!!!」
マーラ姫が今まで旅をしてきて出会ったすべての仲間の意思を一つにして放った閃光の一撃をくらった魔王は『ズシンッ!』と大きな音をたて……その場に倒れた
「……はぁ…はぁっ!!……これでようやく……終わった……の……?」
「えぇ…………えぇっ!!ついに魔王を倒したのよっ!やったわ!マーラ!」
「ったく…………この俺様がこんなに手こずるなんてなぁ……うっ……」
「……ふふっ…ガスタークったらそんなに怪我して……!こんなときでもまだ虚勢をはって……!プッ…あははは!!やっぱりドワーフは強がりだなぁ!アイラっ…!直してあげてよ……!あははっ!」
「うるせぇよマーラ…!これでもドワーフの中では長生きしてるんだからな……!
もっと年寄りをいたわれ……!……っ!いたたたたた!!」
「ああぁっ!ちょっとガスタ〜〜!動かないでよ〜!私だってつかれてるんだから回復魔法が失敗して爆発したらどうすんのよ〜!」
「わかったっ!!わかったから爆発だけはやめてくれ!!!今の状態で食らったら洒落にならねぇ!!」
「あはははははははははははっ……はぁっ……はぁ……」
「だ、大丈夫!?マーラ!?」
「あぁ、うん……大丈夫……ちょっと気が抜けちゃっただけ……。……本当に私達が……あの魔王を倒したんだね…………」
「……えぇ…!」
「それにしても……ショウタはどこに行ったのさ!やっと魔王を倒したと思ったら急に走っていっちゃって!」
ザリ……ザリ……。『ここだよ〜……!』
「あっ!ショウタ!!…もうっ!どこにいってたのさ〜!!こういうのはみんなで余韻を楽しみながら談笑するって決まってるじゃんかぁ!なのにぃ……!むぅ〜〜!」
「いやぁ〜ごめん!!残党がいたらあぶないし、少し周りをみてきたんだ。それに…ラスボスを倒したと思ったら実は生きてる〜みたいなことも僕の国のお話ではあったからね。」
と言いショウタもみんなと同じくその場に座りました
「ふ〜〜ん……?前々からずぅ〜っと聞いてるけどそろそろショウタが生まれた国くらい教えてくれてもいいんじゃない…?さすがにこんなに長い間一緒に旅をしているのにショウタのことについて何も知らないのは……少しかなしいよ……」
「―――。そっか……じゃぁ……王国に戻ったら僕のことについてみんなに話させてもらっても…いいかい……?」
「…!!うん!もちろん!」
「ほう…?ようやくお前さんについて教えてくれる気になったんだな…!」
「ショウタ様の話……気になります!」
「うん……ありがとうみんな!……それと……後もう一つ言いたいことがあるんだ……」
「言いたいこと……?」
そうマーラ姫が尋ねると
ショウタは大きく息を吸い……息を吐き、決意を込めた眼差しで……マーラ姫を見る
「もし僕のことについて知っても……今までと一緒の扱いをしてくれるのなら……マーラ姫……僕と……付き合ってほしい!」
「…………へっ///?えぇえええええええ!??」
マーラ姫の顔が赤くなる
「ほう……!」
「ほあぁぁ……!」
「な、ななななんで私となんか!??ア、アイラの方が優しいし女の子っぽいのに……!?わ、私なんかよく性格が男っぽいって言われるし……」
「ぼくは……マーラの無邪気さと女の子らしいかわいい容貌に惚れたんだ。だから僕はそういうところがいいと思っているんだ……!」
「う……ぁ……//////……そ、そっか…///うん……」
そう言うとしばらくマーラは無言で何かを考えている様子であったが両者の間にとても短いような長いような時間が流れたとき……マーラ姫もショウタのように決意を決めた眼差しでショウタを見て……
「その……今は……なんとも言えなくてごめんだけど……た、たぶん…私はどんな話をショウタに聞かされても……返事は変えないつもり…だよ……?」
「そ、そっか……」
「「………………」」
「と!とりあえず帰ろっか!?ここで色々考えても…埒が明かないし……?」
「う、うん!そうだね!そうしようか……!」
「お熱いですなぁ?ガスターク?」
「へっ!俺は若気の盛りは嫌いじゃねぇぜ……酒のツマミにできるからよ!」
「さ、盛ってないよ!!が、がスタークったら年ボケしちゃったんじゃないの!??」
「へっw……そうかもなぁーw…」
「もぉ〜〜!!違うんだってばぁ〜〜!!」
こうして魔王を倒した一行はいつもと変わらないような談笑をして……いつもどうり国へ帰っていきました……
上 おわり。
◆ ◇ ◆
「オオ、オオォォォォォォ!!」
ある一匹のスライムがいた。そのスライムはどうやら大きな本を読んでいるらしかった。
「お?誰かいるのかぁ〜?って、あぁ……やっぱりお前さんかぁ……!…まぁ……この村でわざわざ本を読みに来る好き者なんかお前さんくらいしかいないよな…!ガッハッハッ!」
この世界の名前は「ミステニィ」、主に五つの大陸から構成される。
やっぱり……と言ってはなんだがスライムは最弱という言葉の代替えのような存在であり冒険者たちやモンスターたちに狩られ続け……スライムという種族は絶滅の危機に瀕していた。
そんな中「スライム村」というものが存在した。「スライム村」は五つの大陸のうちの一つ「アルカディア」という大陸に存在しておりその中でも人間がいる人間領とモンスターたちが渦巻く魔物領との境目……それもアルカディア大陸の端っこの端っこの端っこn……の森に存在するスライムで構成されたスライムのスライムによるスライムのための村があった
この物語はその中にいるある一匹のスライムのお話である
「……アノ……ソノ……」
「ハハハッ!大丈夫、わかっているよ!…「マーラ姫の冒険21巻下」…ほしいんだろ?」
「ウン……!!!!」
「ハハハッ!やっぱりな!…ちょっとまちな〜今取るからよぉ……、おいしょっと……!……ほれ、これで合ってるか?」
「ウン!!ウンウン!!!」
「そんなに喜んでくれるなら司書のしごともやりがいがあるってもんよ!!」
「――ふむ、それにしてもおまえさんはなかなか進化しねぇなぁ……、もうお前が生まれてから10年だっけか?もうそろそろあんたと同時期に生まれた奴らはもうおおよそ進化してるんだろ?」
「…………」
「あ、いや!咎めてるわけじゃないんだぞ!?…まぁ、いつ進化するかは個人差があるし、お前さんはお前さんのペースでいいと思うぜ?……ただ俺は、お前さんがどんな進化先になるのか気になる…ただそれだけなんだ……なぁ…お前さんはどんな進化先がいいんだ?」
「…………ヒューマノイド」
「そうかぁ…ヒューマノイド…ふぅむ、お前さんらしくていいかもなぁ」
この世界のスライムは最弱……だが多くの人は知らない、この世界の人々は知らない。スライムは進化する種族であることを……。ただこの村のスライム達を省いて。
スライムの進化先はランダムであり……
人間の姿をした「ヒューマノイド・スライム」
エルフの姿をした「エルノイド・スライム」
ドワーフの姿をした「ドワゴノイド・スライム」
また一本角が特徴のラビットホーンの姿をした「ラビノイド・スライム」や
珍しい進化先としては魚の姿をした「フィシュノイド・スライム」などもいる……。
なのでこの「スライム村」には様々なスライムがおり、はたからみれば他種族が交流し協力する平和な村に見えるだろう……
……本来スライムは進化し続けるスライムであるが…一番最初、生まれたてのなにもないただの「スライム」としての期間がとても長くあまりに弱い……そして何よりも……美味しいのである……!
数十年前まではスライムを倒したときに唯一出る『核』という素材があるのだが使い道がわからず売っても気持ちばかりのお金としか換金してもらえないため、主に新米冒険者などにしか狩られていなかったためスライムの数は今よりもずっと多かった
しかし、ある日薬学者である冒険者が森の中で迷ってしまい空腹に飢えていた……そのとき、彼の目の前にスライムがあらわれた。その時は空腹でありながらもスライムと奮闘し頑張って倒したが、倒したところで体力が尽きてしまった。そのとき……彼は生き延びようとスライムを食べたのである……そこで男は思う
シュワシュワしてて……甘い?…つるつると喉に滑り落ちていくこの快感……
「うん…!これサイダーのゼリーや……!?」と……。
そこからは直ぐであった。瞬く間にスライムが「美味しい」ということが世界中に広まる。そんな中薬学者であった彼があることを発見した…いや、発見してしまったのだ…。回復ポーションを作るときに砕いたスライムの『核』を入れることで回復量が跳ね上がることを……!
そうしてスライムはお手軽に稼げるモンスターとなりあれよあれよのうちに狩られ続け……現在絶滅寸前にまで追い込まれたのである……。
要するにここ「スライム村」はスライムの避難所である。
「まあ……俺がドワゴノイド・スライムに進化したのは結構早かったんだがな……まぁお前さんも頑張れ!俺は応援してるからな!」
「……ウン…!」
そう会話を交わしてスライムは借りた本を持って図書館を出ると、うきうきしたような足取りでスライムは自分の家に帰宅した。そして、
「タッダイマ〜!ペンタロウ〜!」
大きく扉を開け本を置き、スライムに「ペンタロウ」と呼ばれているペンギンのようなぬいぐるみを抱いてベットにダイブする
「ぺんたろう」とは『マーラ姫の冒険』に出てくるマーラ姫が大事にしているペンギンのぬいぐるみである。スライムはマーラ姫の生き様に憧れていた。しかしスライムであるので冒険することもできないし、ましてや人間と友だちになろうと人間たちの前に出ても倒されるだけである。
「なのでせめて……!」という気持ちでとなりのヒューマノイド・スライムであるおばあちゃんに頼んでぺんたろうを作ってもらったのである。最初はマーラ姫に憧れて作ってもらったものだったが、一緒にいるうちにスライムはマーラ姫のようにペンタロウのことが大好きになっていたので今では大事にしているスライムのたからものである
「ペンタロウ〜!キイテキイテ〜!キョウハゾイドサント、タクサンカイワデキタノ!スゴイデショ!?」
「ヘヘヘ…!アシタハモットイロンナヒトトオハナシシタイナァ...!」
そう期待をこめスライムはぺんたろうを抱きしめる……というよりかは大きさ的にぺんたろうに抱かれていた。……その時であった。
「……?……ッ!?ナ、ニ、コレ!?カラダガ…アツイ…ィ……!!」
『ドクンッ』
自分の体から感じる違和感
直後スライムは自分の体の奥から熱が湧き出るのを感じた
「アツイ…アツイィ…!ウァ…イ…ヤダァ…!!ナニコレッ…!ヤダ…!ヤダァ…!マダ…マダボウケンシテナイノニッ…!…イロンナナカマト、マダタビシテナイノニ……!」
それはスライムが生まれて10年、平和な村で育ったための初めての痛み、苦しみ、熱。まるで体の中に爆発系の魔法を打ち込まれたみたいなその感覚。スライムはパニックになり、次第に呼吸ができなくなる。
「イヤダヨォ…ヤダァ…マーラヒメミタイニボウケンシタカッタ……ナカマトボウケンシタカッタ……ゥア…ペンタロウ……ヤダヨォ」
やがて…スライムが死を感じ、その感覚から逃れようと命を自ら手放しかけたとき…あることに気づく……
その熱が自分を構成している『核』から発せられていることに……
その直後スライムの体が光りだした。
「…ウアッ!?」
スライムの体はグニョグニョとまるで粘土をこねるように変形していき…形作っていく。
そのうち光は収まり……
「……?…もう、あつく…ない…?なにも…なかった…?――って何この声!?」
そこには…「えっ!えっ!?なにこれぇ!?」
……スライムは自分の体を凝視する、パニックになって何がなんだかわからないが、その中でもスライムはあることに気づいた…この目線の高さ…スタイル…そして…さっきまで自分の体より大きかったあの物語とまんま一緒、実寸大に作ってもらった「ペンタロウ」がすっぽり手の中に入るこのフィット感……そこで…スライムはいつも使っている大鏡に目がいく……そこには……
マーラ姫がいた。
「うわぁあああっ!!ま!ままま、マーラ姫ぇ!!??あっ、なんでここ、うわぁ!マーラ姫がこっち見てるよぉ!!きゃー!顔めちゃくちゃ整ってるう……わぁ……」
「手、てぇ振ってくれるのかなぁ……わぁ!?振りかえしてくれたぁ!?あ、あぁー……もう私、ここで死んでもいいや……ふ、ふれてみたい…、せ、せめて!あくしゅでもぉ……」
と近づいていくスライム、と同時に歩み寄るマーラ姫
「っ……こ、こここっちに歩いてきてるよぉ…!ど、どうしよう!どど、あ、あ、あ
あ、あぁぁあ…マーラ姫様!!だ、大ファンです!!握手してくだs、いっだぁあああ!?」
歩み寄るマーラ姫に驚くスライムは握手をするために自分の手を勢いよく突き出した、そして、あたりまえだろう、鏡におもいっきり突き指した。
「いぃいいい……な、なんでぇ…?あともうちょい…だっ、たのに…?」
と、そこでやっとスライムは自らの姿に気づく
「………」
「まさか……まさか…まさかまさかまさか!!!?私がマーラひめぇえええええええええええええ!????????」
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初めまして、「まよつな」と申します!
「スライムちゃんかわいい!」とか…「ほぉ…面白くなりそうじゃぁねぇか……?」とか「スライムたん(;´Д`)ハァハァ」とか思ってくださる方はフォローや☆、♥などしてくださると作者がティガレックス並の咆哮で喜びます。思ってなくてもしてくださるとティガレックス希少種並の咆哮で喜びますので…ぜひ!ぜひ…!お願いします!
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