第12話 休暇

 アリーシェは1週間の休暇を取って、久しぶりに王都にある実家へと帰ってきた。

 アリーシェが家のチャイムを鳴らせば、玄関のドアがゆっくりと開き、アリーシェの母親であるロミーナが出てくる。


「アリーシェ、待っていたわよ。おかえりなさい」

「うん、お母さん、ただいま」


 家の中へ入り、母親の後に続いてリビングへと足を踏み入れたアリーシェは、リビングにあるソファーに腰を下ろして座っていた父親に歩み寄り声をかける。


「お父さん、ただいま。元気にしてた?」

「アリーシェ!? え、 いつ、帰って来たんだ?」

「もう、貴方ったら、ドアに背を向けて座っていたから、気付かなかったのよ」


 二人とも元気そうでよかった。とアリーシェは思いながら、荷物を置く為、2階にある自分の部屋へと向かう為、両親に一言告げてから、リビングを後にする。



 2階にある自分の部屋の前へと辿り着いたアリーシェは、そっと部屋のドアを開けて部屋の中へと入る。


「私が家を出る前と何一つ変わってないわね」


 アリーシェが家を出る前の部屋の状態と何一つ変わっていなかったことに、少し驚く。

 部屋の中も定期的に掃除されているのが、綺麗である。


「お母さんが掃除してくれていたんだわ」


アリーシェは心の中で感謝しつつ、荷物を部屋に置く。そして、リビングへと戻る為、部屋を出た。



 その日の夜。

 夕食を食べながら、アリーシェは王立騎士学校を卒業してからの事を話した。


「お母さんとお父さんが、王立騎士学校に通わせてくれて、辛いときも、苦しい時も支えてくれたから、今があるから、ありがとう」

「アリーシェ、貴方の努力があったからこそ、今があるのよ」

「お母さんの言う通りだ。しかし、自分の娘がティアナ王女殿下の騎士なんて、お父さん誇らしいぞ」


アリーシェの話しを両親は笑顔で聞いてくれる。そんな当たり前のことが凄く幸せだなとアリーシェは感じた。

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