第51話 超絶パワーアップを果たした実家

 部屋へ戻った。

 風呂に入ったり、飯を食ったり日常が流れていく。


 家へ戻れる日も近いだろう。

 このホテル生活もあとわずかだろう。

 その前に聞いておかねば。


「詩乃、家の修復が終わったようだ。明日には戻ろうと思う」

「そうなんだね。やっと帰れるんだね」

「嫌じゃないんだな?」


「うん。わたしは平気。でも、幸来ちゃんはどうだろう……」

「さっき聞いたけど問題なさそうだ」

「そっか。記憶がないからかな」

「多分な」


 もしかしたらフラッシュバックするかもしれないが……。そうならないことを祈る。


 これで帰ることは決まった。


 明日、我が家へ戻る。




【一日経過後】




 学校が終わった。

 今日は久しぶりの大学にも行った。午後だけ通った程度だけど。

 その後は再び学校へ戻って詩乃と幸来と合流。


 いったんホテルへ向かい、荷物をまとめた。


「この部屋良かったんだけどな~」

「そうだな、詩乃。ホテル暮らしも悪くないな」

「けどお金も掛かるよね」

「ああ、今はだいぶ料金が高騰している。実際、ホテル暮らしをする人が増えているらしいからね」


 掃除とかしなくていいし、常に清潔だし、そりゃ楽だよな。

 あと何よりも特別感がある。

 毎日が非日常で楽しかった。


 だが、家が直った以上は戻らねばな。


「こっちも荷物まとめましたー!」


 幸来が合流した。

 三鷹さんも終わったようだ。



「おっけー。じゃ、タクシーで向かいますか」



 二台予約したので、別れて向かう。

 荷物も多いし仕方ない。



 そうしてついに銀座ホテルを去った。



 タクシーの運転手に住所を伝え、我が邸宅いえへ向かった。



 数十分後、久しぶりに家の前に到着。

 門は固く閉ざされており、ビックリなことに門番もいた。

 父上、本当に雇ったんだな。



「おかえりなさいませ、八一様」

「ジークフリートじゃないか! 久しぶり!」



 タクシーを降りて早々、見た事のある執事が現れて俺は懐かしさに陥った。

 元気そうで良かった。



「詩乃様と幸来様もお元気そうでなによりです」

「ああ、三鷹さんのおかげで生活には困らなかったよ」

「それは良かったです。では、お荷物を」

「ありがとう、ジークフリート。ところで父上は?」


「株主総会へ出席されており、不在です」

「なるほど。じゃ、ジークフリートに説明をお願いしようか」


「分かりました。セキュリティが大幅に強化されましたので、ひとつひとつ丁寧にお教えいたします」



 ジークフリートの言う通り、我が家のセキュリティは超絶パワーアップしていた。


 ①門番

 万丈ばんじょうという元フランス外人部隊所属の軍人が門番になった。いかつい風貌でおっかないが、話してみると普通だった。

 どうやら本来は傭兵業で食っているらしい。今はそっち関係の仕事がなく、仕方なく門番の仕事を受けることにしたらしい。何者だよ!


 ②番犬

 いつの間にかドーベルマンとジャーマンシェパードが庭に飼われていた。まてまて、どちらも凶暴そうなんですけど!

 と、思ったが、めちゃくちゃ訓練されていて賢かった。

 どうやら、万丈の連れてきた軍用犬らしい。


 ③指紋・網膜認証

 玄関を開ける場合、指紋と網膜の両方が必要になった。めんどくせえ!


 ④監視カメラ

 庭にも玄関前と中にも、かなりの数の防犯カメラが設置されていた。ネットワークカメラもあって、二十四時間常に監視されているようだ。


 ⑤セムコ

 ついに警備会社を入れたようだ。これでいつでも警備員がすっ飛んでくる。最初から入れておけ!


 ⑥ネコ型配膳ロボット

 メイドの負担を減らすために導入しようだ。セキュリティ面でも、一応役に立つかもということで設置しているようだ。ちなみに本体価格は四百万円。なぜ買った!


 ⑦手荷物エックス線検査装置

 空港とかにあるヤツ。来客時にチェックするようだ。そこまでせんでも……。


 ⑧隠し武器

 刀は以前の事件で使い物にならなくなったので廃刀となった。その代わり、スタンガンとスタングレネード、催涙スプレーや唐辛子スプレー、ウ●コスプレーがあちらこちらに設置された。やるな、父上!


 ⑨落とし穴

 以前の反省を踏まえ、落とし穴を複数設置したようだ。どこにあるか後で教えてもらおう。


 ⑩緊急避難用の隠し通路

 これも複数作ったようだ。いつでも逃げられるというわけだ。




 以上、10項目である。


 多すぎだろ!!

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