第46話 義妹たちと登校と平和な昼休み
タクシーで学校へ向かい、詩乃と幸来と共に校長室へ。
奥野校長が笑顔で出迎えてくれた。
「おはようございます、八一くん」
「奥野校長、幸来を連れてきました」
「入院していたという義妹さんですね。もちろん、詳しい事情は聞いております」
話が早くて助かる。
昨晩、父上と三鷹さんにお願いして対応をしてもらっていたし、即入校が認められた。
「今日から幸来をお願いします」
「ええ。詩乃さんと同じクラスです。内川先生が対応してくれますよ」
「それは良かったです!」
同じクラスと聞いて幸来もホッとしていた。
「よかったー! 詩乃ちゃんと同じで」
「うんうん!」
二人とも抱き合って喜んでいた。
俺も嬉しいよ。
これなら更に安心だ。
幸来なら詩乃を守ってくれるからな。
その後、二人とも教室へ向かった。
俺も仕事へ行くか。
◆
事務所へ行くと水口さんが先に仕事をしていた。
「おはようございます」
「おはよー、八一くん!」
川辺の件からそれほど経っていないものの、水口さんは明るかった。あんなことがあったのに辛くないのだろうか。いや、きっと思い出したくないんだ。
忘れさせてやる為にも俺は雑談を交えて事務仕事をこなしていく。
そうしていると仕事も捗って、なかなか進んだ。
「――ふぅ」
「おー、八一くん凄いね。なんだかスーパーサラリーマンみたい」
「ス、スーパー…ですか」
そんなスーパーサ●ヤ人みたいに言われるとパワーのインフレを感じかねない。俺はそこまで万能ではないのだが。
「うん、実際凄いと思うよ。事務作業って地味だけど大変だし」
「慣れてきたのかもしれません。あと、こういう作業が好きだったり……」
「そっか~。八一くんがずっと居てくれると嬉しいな」
「少なくとも詩乃と幸来が卒業するまではいるつもりです」
「なるほど。その後は考えてないんだ?」
「そうですね。今のところは……というか俺は大学生なので、そっちの卒業もしないと」
「あ~、忘れてた。分からないことがあったら言ってね。私、大卒だから」
それは助かるな。
あんまり講義も出れていないし、いろいろ勉強も教えてもらおうかな。
そんなことを思いながらも昼を迎えた。
しばらくして詩乃と幸来がやってきた。
「入るねー!」
「お、お邪魔します」
二人とも恐る恐る入ってくる。
「待っていたよ、詩乃。幸来」
詩乃がパンを抱えている。今日はカレーパンらしい。
「お昼、持って来てくれたのか」
「うん。お兄ちゃんと幸来ちゃんと一緒に食べようかなって思って」
机の上にたくさんのパンが置かれた。結構あるな。
「こんなに?」
「おやつも込みで持ってきた」
「そりゃ助かる! よし、お昼にしよう」
カレーパンをいただき、詩乃と幸来、そして水口さんとまったりゆっくりと話しながら昼食を過ごした。
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