第12話 義理の妹が俺を襲ってくる
凍夜はピクピク
「ロープを持ってきて参りました、坊っちゃん」
「ナイスだ、ジークフリート」
直ぐに凍夜を捕縛。
ロープでグルグル巻きにして逃げられないようにした。
「では、すぐに通報を」
「頼む」
処理をジークフリートに任せた。
入れ替わるように詩乃がやってきた。
「なにこれ!?」
「詩乃……」
「だ、大丈夫なの?」
「心配するな、詩乃。とりあえず、幸来は凍夜のことを証言してくれると助かる」
幸来の方へ向かい、俺は確認した。
「はい、分かりました……」
「怖い思いさせてすまない、幸来」
「お兄さん、ありがとうございます。確かに、とても怖かったです。でもスッキリしました……。あの方、本当に嫌だったので」
目尻に涙を溜め、幸来は俺の方へ飛び込んできた。
震えているじゃないか。
こんなに怯えて、やっぱり怖かったんだろうな。
今は抱きしめてやるしかない。
「…………」
……あれ。
なんか詩乃の目線がちょっと怖いぞ。
「詩乃、よかったら一緒に?」
「……」
「ど、どうした」
「ううん、なんでもない」
そ、そうなのかな。まるで暴走した可奈みたいな雰囲気を一瞬感じたんだけどな。
その後、警察が駆けつけてくれた。
これで二日連続だな。
「柴犬さん、また、ですか」
さすがの警察も呆れていた。でも、ちょっとまって、悪いのは俺じゃないッ!
今回は凍夜の不法侵入とか誘拐未遂とかだ。
「偶然です」
「その偶然がもうないことを祈りますよ。では、我々は彼を連行しますので」
「お願いします」
ついに凍夜は逮捕された。
アイツは罪を重ね過ぎた。
可奈と違って、さすがに直ぐには出られないだろう。
事件は解決した。
部屋へ戻る最中、スマホが鳴りっぱなしだった。
可奈だ。
可奈:好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き好き好き大好き
メッセージアプリにそんなメッセージが大量に送られていた。怖いって!
いったんスルーしておこう。
それよりも、幸来の状態が気になる。
あれだけのことをされたのだからな……。
詩乃にはいったん自分の部屋へ戻ってもらい、俺は幸来の部屋へ。
「幸来、どうだ……?」
「襲われるところでした。まだちょっと怖いです……」
「分かった。しばらく俺がそばにいてやるから」
「ありがとうございます。すごく嬉しいです」
ベッドに腰掛け、俺は幸来の様子を伺った。
表情が暗く、目も虚ろだ。
今にも泣き出しそうな、そんな顔をしている。
「幸来、やっぱり凍夜と関係があったんだな」
「……はい。お姉ちゃんが顔見知りだったので」
「そうだったな」
「それに、あたしのお見合い相手でもあったんです」
「なんだって……!?」
「それが嫌で八塚家を家出したのもあるんです」
そうだったんだ。
だから銀座のビルへ……。
俺の家に来れたと思えば、まさか凍夜が現れるとは思わなかったんだろうな。
「ごめんな」
「なんでお兄さんが謝るんですか……」
「いや、俺がしっかり見ていなかったから」
「いいんです。だって守ってくれたから」
幸来は嬉しそうに抱きついてきた。
「幸来……」
「あたし決めました」
「うん……?」
「お兄さんの本当の義理の妹になります……!」
「マジか」
「はい、これからよろしくお願いします」
ついに幸来は決断してくれた。これで詩乃に続き、幸来も正式に義理の妹として迎えることになった。
気分よく幸来の部屋を出た。
いったん自分の部屋へ戻ろうとすると詩乃がいた。
「お兄ちゃん」
「ど、どうした……詩乃」
「幸来ちゃんばかりずるいよ」
「え……」
「もっとわたしも構ってよ。寂しい……」
「詩乃……」
そうだったな。一番寂しい思いをしているのは間違いなく詩乃だ。でも、これからは義理の妹が二人。
そうだ、そのことも話さねばならない。
「ねえ、お兄ちゃん。わたしの部屋に来て」
「分かった。こっちも話があるから」
「うん」
詩乃の方から手を繋いできた。
これは驚いた。
まさか向こうからしてくれるとは。
歩いて少し。詩乃の部屋に入った。
「先に俺からいいか?」
「いいよ」
「幸来を正式に義理の妹にする」
「そうだよね。幸来ちゃん、家に戻りたくないみたいだし……さっきもあんな事件があったし」
「ああ、分かってくれるか」
「仕方ないよね。決めるのはお兄ちゃんだし」
「仲良くやってくれると嬉しいな」
「まだ分かんない。でもね、お兄ちゃんがそう言うのなら努力するよ」
優しい口調で詩乃は言った。
なんだか妙に素直というか、でもこれは問題ないと捉えて良さそうかな。
安心していると、詩乃はいきなり俺に襲い掛かってきた。
「なッ!?」
ベッドに押し倒された。
「……幸来ちゃんに取られる前にお兄ちゃんの初めて貰っておこうかなって」
「なにィ!? そこは普通、逆だろう」
「女子高生だって性欲くらいあるよ~」
「マジかよ。俺が高校生の時は、女子にまったくそういう気配がなかったけど」
「それが普通だよ。でもね、わたしはちょっと違うんだ」
「そうなのか?」
「うん。わたしはひとりでもするよ」
まさかのカミングアウトに俺は興奮した。詩乃が……ひとりで。てか、こんな美少女がするということに驚いた。
「い、意外だな」
「この家に来てからお兄ちゃんでずっとしてた」
「俺!?」
「だって好きなんだもん」
詩乃は、俺を離すまいと“ぎゅ”っと抱きついてきてきた。すごく大胆だな……。
でも嬉しくもあった。
寂しくさせてしまった分がきっと爆発しているのだろう。
俺は素直に詩乃を可愛がることにした。
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