第52話

「お、おおおぉ……お、おいしいぃいい!」

「うまい……うますぎる……」

アキトは涙を流しながら食していた。

「(どうしてアキト様は泣きながら食事を……理由をあとから聞こう)」

朝ごはんを終えたアキト達は宿を出て

ギルドに向かっていた。

「アキト様、先ほどから、どうしました?さっきからずっとソワソワしてますしそれにさっきは泣きながら食事してませんでした?」

「あ、あれね……故郷の世界のソースが今日のメニューに出ていたこととあまりにも料理が美味しくて泣いていたの」

「そ、そうでしたか……」

「でもね、そんなに気にしなくていいからね?さあ!いこうか!」

「わかりました」

(アキト様……故郷に帰ろうとしている?それは嫌だ……私だけのアキト様に……)

グラウディウスはアキトが故郷に帰るつもりでいると思い込んでいた。

(そんなわけないでしょ?まだこの世界での僕の役割もわからないのにそれにグラウディウスを置いていくわけないのに)

グラウディウスの表情が暗くなっていく。

そのことに気がついたアキトが心配になり 声をかける。

「どうかした?グラウディウス?」

すると、アキトの顔を見て我に帰ったグラウディウスが口を開く。

「いえ……なんでもありません」

耳許で

「僕が故郷である世界『地球』に帰ると思ったでしょ?」

「!!?……あ……伝心で」

「(一応伝心は使ったけど)……それ使わなくてもグラウディウスの考えてること特にいまのグラウディウスが考えてることくらいなら分かるよ……僕たち付き合ってるわけだからね」

グラウディウスは顔を赤くしながら

「ええ……ごめんなさい……アキト様……」

「大丈夫だよ……グラウディウスは悪くないし……」

と、優しく抱きしめるアキト

「んぅ……アキトさまぁ……」

と甘えた声で名前を呼ぶ。

「よしよし……グラウディウスはいいこだよ」

「(こ、子もどでは無いのですが)」

「子供じゃなくてもこれはしたくなるよ……あ」

「アキト様ぁ……」

本気で泣き始めてしまう。

「泣き止むまでここにいるよ」

しばらくして泣き止んだグラウディウスは

「すみませんでした!ギルドに行きましょう」

「ふふ、はーい」

「「はい」」

ふたりは微笑んだ

「では改めて行きますか」

アキト達は、ギルドへ行き

依頼掲示板を確認しに行く。

「今回はどのような感じの依頼を受けるんです?」

「そうだな……これはどうだろう?」

『オークの集落の調査』

Dランク推奨

(討伐ではなく調査のみです。討伐数によってはD~Cに上がります)

報酬:金貨1枚+成功報酬

(10体以上で金貨2枚)

「アキト様……これって大丈夫なんですか?」

と心配そうな目を向ける

「なにが?僕たちはAランクだから大丈夫だよ」

「それはそうですね……ですがあともうひとつやりたいと言いたかったんです」

「どれ?」

「こちらなんですが」

『森に出現する魔物の確認と調査』

Aランク以上必須

『ゴブリン集落の調査』

B~Sランカー以上推奨

(数は問わない)

「なるほどねぇ……」

「こちらは危険度が高いため、我たちでなくても他の冒険者に頼めばよろしいのでは?」

ルディアがいう。

「確かにそうかもしれないけど僕たちも早く力をつけたいしね。それに今のうちに経験しておかないとこれからが怖いでしょ?なので僕は受けたいなぁと思ってるよ。それに……」

「はい?」

「みんなも一緒だから怖くないよね」

と満面の笑みで言う。

何人はアキトの満面の笑みにゾクリとする

(((ドSがいる)))

「アキト様俺、受付に持っていきますね」

「はーい」

受付近くのソファで待っていると

グラウディウスから

「受理終わりましたので行きましょう」

の合図で

クエスト開始のため

移動する。

『森に出現した謎の生命体?』

ルナが聞く

「はい。最近、この街の冒険者のほとんどが、南の森に遠征してるため街にいるのは少数となってしまいました」

アルテミアが説明するのを僕らが聞く

『その、謎の生物というのはどんなやつなんだ?大きさとか』

「見た目は大きな黒い影のようなものだと言われています。強さは……SSクラスだと報告を受けています」

『わかった。それで?俺たちに倒せると思うか?』

「無理だと思います……しかし……あなた達ならもしかすると……」

『やってみなければわからない……ということか』

「はい」

「わかりました。行ってみます」

『ありがとうございます!』

「では出発しようか」

「「「はいっ!!」」」

『謎の生命』発生現場に着く

『着いたようだな』

『アキト、このあたりには特に気配はない』

『我もだ。アキト様』

「僕も同じかな」

「「私達は……まだ、はっきりとはわからないけど……」」

「「何かいます」」

僕とルナは

「「うん、感じる」」

『では……少し進むぞ』

森の中へと入る一行

(ん?なんか、おかしい気がする……気のせいか?)

突然、グラウディウスの身体のまわりに結界を張る すると、後ろの方から木が倒れたような音が聞こえた 振り向くと大きなクマの魔獣が現れた

「うそ……でしょ……」

『グランドベア!?』

「アキト様!私の後ろに!」

『全員戦闘準備!!』

グラウディウスが前にでて剣を構える グラウディウスは剣術を得意としている。

「大丈夫!僕も戦うから」

『剣格士』をセットして『蓮刃剣』を装備して

『連撃』『真空波』を使って

グランドベアを攻撃。

グランドベアの首が吹き飛ぶ。

(((こわ!?)))

「ふう、この位かなでもなぁ」

アキトは唖然としている。

「アキト様、あまり驚かれないんですね」

「あぁ……僕の『剣格』はレベルが低いんだけど……どうなっているんだろうね」

「前に限界突破してレベルが1度下がった事と関係してますかね?」

「そうかも」

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