第44話
「確かに……アキト殿の言う通りかもしれませんね」
「では、私達は何をすればいいのでしょうか?アキト様」
「まず、この村の漁師さん達に話を聞いてほしい。それと、アルカルプの捕獲にゴブリン達に住みやすい場所の提供の確保かな」
ラムレスは思った。
アキト様はなんてお優しいお方なのだと心底思った。
ラムレスは、早速漁師の元へ行き事情を説明しゴブリン達がアルカルプの異常繁殖の原因を突き止めてくれた事を話す。
すると、漁師は喜んで協力してくれると言ってくれた。
その後、ラムレスは村に戻りアキトの指示に従い行動する。
「まずは、アルカルプの生息場所を聞きに行きましょう」
「ラムレスありがとうね。グラウディウス、アキゾメトル、ルディアいくよ」
『はい』
『承知』
『あい~』
ゴブリンが住める環境の良い場所は海岸付近に生息しているとの事だったので、その付近の調査に向かう。
そして、アルカルプを見つけたので話を聞く事にする。
『ねえ君たち、最近アルカルプがこの辺りに多く居るみたいなんだけど何か知らないかな?』
『ん~……多分なんだけど……最近アルカルプが大量発生したのは海草を食べ過ぎたせいだと思う』
『な、なんでそんな事が分かるの?』
『だってアルカルプの好物は海藻だもん。それで海草類を大量に食べすぎて、アルカルプが増えちゃったんだよ。でも、アルカルプは浅瀬に生息してるから海草は浅瀬にしか無いからアルカルプの生息地が減って他の場所でも海草を食べたのが異常増殖の原因だよ』
『なるほど、つまりアルカルプが大量発生する原因の海草類を何とかして減らしていけば異常発生は無くなるんだね』
『うん』
『分かった。ありがとね』
「アキト様わかりました?いまアルカルプと話してましたよね?」
「うん、どうやら海藻類の食べ過ぎによる繁殖活動のようだ。貝類系は食べた分だけ繁殖するようだ」
「なるほど……策は?」
「海藻を減らすか……アルカルプを別の場所に移動する他無いようだ……さて、どうしたものか」
「貝類系はそこそこに栄養のある土地(海水由来で海藻がある場所)や海近くの岩部付近生息が多い」
「じゃあ、ゴブリンを住まわせても良い場所は……」
(まあ、僕もゴブリンは嫌だが仕方がない。村のために我慢しよう)
『なあ、あんた人間族だろ?どうしてこんな所に?』
『えっ?僕はねこの人達の依頼で調査をしてるの』
『依頼?何だそれ?』
『簡単に言えば困ってる人が居たら助ける事かな?』
『そうなのか?俺たちは弱いけど良い奴らだぞ!』
「アキト殿、ここは私に任せてくれないか?アキト殿がやるとゴブリン達が萎縮してしまう」
「ああ、わかった。任せるよ」
「よし、お前達少し話がある」
『ん?なんだ?ラムレスの旦那』
「今、ゴブリン達が住んでいる村は大変なことになってるんだ。そこでゴブリン達に協力して貰いたい事があるんだ。まずは海藻の除去を手伝ってほしいんだ」
『なーんだそんな事か?わかった。俺達はどうしたらいいんだ?ラムレスの旦那』
「とりあえずこの辺りの海域から全ての海藻を除去したいからこの周辺の海流図を描いてくれないか?」
『おう!任せとけ!』
ラムレス達はゴブリンと協力しながらこの一帯の海藻を除去する。この一帯はラムレス達とゴブリンで処理をした。しかし、それでもこの近辺から全ての海藻を排除することはできなかった。
だが、この一帯から全て除去できたためゴブリン達が住む場所ができたのだ。
そして、除去した海藻はアイテムボックスに入れた。
後で、村の方に持って行く為である。また、増えすぎたアルカルプ達はラムレス達が退治したので、この周辺はゴブリン達の住みやすい場所になったのであった。
こうしてこの場にいたゴブリン達には一旦帰って貰った。
村へ報告してもらうためである。
この日の成果としては、この周辺に生息していたアルカルプは一掃されこの付近には元々住んでいたアルカルプしか残らなかった。
アルカルプ達にはゴブリン達が住めるように岩を削ったりなどしてくれたり色々お世話になった。
そのおかげで、この浜辺付近にゴブリン達の集落が完成したのだった。
アキトは村の村長宅に戻りラムレスと相談していた。
「そうですか……アルカルプの大量発生はそういうことだったのですね」
「ええ、原因はアルカルプでした」
「ゴブリン達とも協力できますし一石二鳥です」
「では、村長さん。この事は冒険者ギルドにも報告するのでそのつもりで」
「はい、ありがとうございます」
アキトはこの村の事をラムレスに任せ、自分は次の町へと向かおうとしたが、ここで一つ疑問があった。
それは、ゴブリン達のことである。
何故、ゴブリンがあんなに素直に協力的なのかということである。
この世界では魔物は人を見れば襲ってくるものばかりな筈なのだ。
それを、この村に来てから1人もゴブリン達が人を襲ったという話を聞いた事がなかった。
しかも、自分達から協力を申し出たのだ。
これはおかしい。
そう、アキトの中で違和感として残った。
だが、答えは出てこない。
「ラムレス……葛の葉の都に戻るよ」「はい、わかりました」
アキトとラムレスは葛の葉の都に向かう。
途中アキトはある提案を思いついた。
「そうだ、ラムレス」
「はい?なんでしょうか?」
「君、確かテイマーだったよね?」
「はい、私は一応調教師です」
「その職業って魔物言語がわかるのかな?」
「いえ、私は自分で努力して覚えました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます