第30話

「どうしたんです?」

「ああ、すみません」

宿屋の従業員が声をかけてきた。

「いえ、大丈夫ですよ」

「何かありましたか?」

「いや、なんでもないです」

手を掴んで壁に押し付けられる。

(?)

「そんなわけ無いでしょう?お客様が泣いているなんて何かあったんですよね?」

耳許で

「俺に話してごらん」

「あ、え?いや、、あの、、その」

「どうしたんだい?」

「やめて……ください」

涙目になる。

「可愛いね君」

顎を持ち上げられ

「(だ、だめ)」

「おい!貴様何をやっておるか!!」

「ちぃ」

「……グラ……ぅ……ディウス……ぐすっ……ぁっ」

「グラウディウスだと!?」

「ほう……よく見たら……ラムレスか」

「何故、お前がいるんだ」

「それはこちらの台詞だ」

「ちっ!仕方ないか」

「アキト様!お怪我はございませんか!?」

「……うん」

「今、『アキト様』と言った?」

「言ったぞ」

「……ひい!すみませんでした!『アキト様』とは露知らずご無礼を」

土下座し始めた

(なんだなんだ?)

「おい、どういうことだ?」

「はい、実はこの宿は私の経営する宿なのです」

「そうなの?」

「はい、なので私の部下がご迷惑をおかけしてしまい誠に申し訳ございません」

「いや、いいよ。」

「よくありませんよ。こやつは男好きなんですから……また同じことされたらどうするんです!」

(それはお前も似たようなもんだろ!)

「まあ、いいじゃないか。とりあえず部屋に戻って休もう」

「はい、わかりました」

部屋に戻ろうとすると

「ちょっと待ってくれ!謝らせてくれ」

「必要ない」

「お願いします!どうか!」

「じゃあ今ここで」

「はい!本当に申し訳ありませんでした!!」

深々と頭を下げられる。

「いいよ、てかグラウディウスさんって経営者でもあったの?」

「俺は経営補助で実質の経営者はラムレスです」

(なるほど共同経営者か)

「補助?」

「主に資金面の補助ですね」

(なるほど)


その夜

「アキト様……どうかこれまで通りに強く可愛い貴方様でいて下さい。我が親愛なる主よ」

「すぅすぅ」

翌朝

「ふあ、よく寝た。」


服を着替え食堂に行く。

(朝食を食べたあと冒険者の店に行ってみよう)

今日の朝食は

『目玉焼き』

『ベーコン』

『コーンスープ』

『サラダ』

「いただきます」

まずは、ベーコンから食べる。

カリッカリッ 肉汁が溢れ出す。

(美味い)

次に目玉焼きを食べる。

「黄身は半熟か……うまい」

コーンスープを飲む。

「濃厚だけど飲みやすい」

最後にサラダを食べ終わる。

(ふぅー食べ終わった。)

部屋に戻り荷物を持って宿を出る。

「アキト様、どちらへ行かれるのでしょうか?」

「ちょっと、冒険者の店まで」

「承知しましたでは俺も行きます」

「うん」

大通りを歩く。

「ところでアキト様はどのような武器をお使いになるのですか?」

「剣も使うし槍も使う、大剣も持つこともあるね……セットするスキルによっては『体術』の鬼になることもあるよ」

「ええ!?」

「うーんとね……僕のセットするスキルには『剣格士』と『魔格士』てのがあってね」

「それは職業ではなくてですか?」

「僕の場合はそれらも全て『スキル』なんだよ。で、それらをセットしておくと

体術は覚えたやつ全て一括りにされるから個別にスキルセットする必要すらないんだ」

「それって凄くないですか!」

「そうだよ。だから僕はどんな相手でも戦える」

(ただ、魔力消費が激しいから長時間の戦闘は無理だけど……)

さあて、冒険者の店だ。

「いらっしゃい!依頼は奥の掲示板から剥ぎ取って持ってきね」

「わかりました」

早速、依頼書を見にいく。

(ん~どれがいいかな?……これなんかどうだろう)

『オーガ討伐、報酬金貨五枚、期限なし、備考:レベル30以上推奨、場所:南の森林』

(これにしよう。場所は近いし条件も厳しく無いみたいだしな)

(オーガについて欲しえてくれ)

『はい、オーガは身長2メートル50センチほどで全身緑色の皮膚をした筋肉質の魔物です。力は強く、腕力だけなら成人男性の数倍はあると言われています。知能はある程度高いですが、魔法は使ってこないので注意すれば大丈夫です。』

(なるほど、ありがとう)

受付嬢のところへ行く。

「この依頼を受けたいのですが」

「はい、受理致します。では、ギルドカードをお願いします」

カードを渡す。

「確認いたしました。頑張ってください」

「はい、頑張ります」

ラムレスとグラウディウスは外で待っている。

「アキト様、準備ができました」

「じゃあ、行こうか……ラムレスさんはなんでいるの?宿屋経営はいいの?」

「はい、問題ありません。私の分身体を街に置いているので」

「そんなこともできるのか……」

(まじかよ……さすが魔族といったところか……僕も分身術つかえるようになるかな?)

門を出てすぐの森に入る。

「アキト様、ここからは俺が先頭に立ちます」

「わかった」

森の奥へ進む。少しすると開けた場所に出た。

(あれがそうかな?)

そこには大きな赤い肌をした鬼がいた。

こちらに気がついたようだ。

(緑色の肌だとあいつは言っていたが……?)

「グオォォ!」

(どういうことだ?)

「ラムレス、俺の後ろに隠れろ!」

「はい!グラウディウス様!俺は、後ろから魔術で支援します」

(なあ?あればオーガで間違いないのか?教えろ)

『はい、あれはオーガの『特殊個体』である『ヤクトオーガ』です。』

(なら、その『ヤクトオーガ』について教えてくれ)

『はい、ヤクトオーガは、通常よりも体が一回り大きく、身体能力が高いです。また、魔力量も多くなっているため注意が必要です。』

(なるほど、ありがと)

「さあ、アキト様始めましょう」

「うん」

「俺が行く!」

グラウディウスが突っ込む。

僕は、『魔格士』をスキルセットして『武術用装備』を身につけた。

「行くぞ!は!とう!や!はあ!『水龍撃』」

僕は『水龍撃』で攻撃する。

『水龍撃』のレベルがあがりました。「まだまだぁ!!」

グラウディウスは連続で切りかかる。

「ふん!せい!やあ!はあ!」

「ぐおぉ!」

ヤクトオーガはダメージを食らう。

「よし、効いているな……しかし、なかなか硬いな」

「グラウディウス頼みがある。アイツに能力低下の魔術を掛けてくれ」

「わかりました!アキト様……我が主よ……我が身に宿る精霊よ……我が声を聞け……『グラビティ』」

グラウディウスは『グラビティ』を使った。

「今だ!『雷閃』」

ズドン!!

「グギャァーーーーー!!!」

『雷閃』のレベルがあがりました。

「よし、倒した」

『ヤクトオーガを倒しました。経験値を獲得しました。レベルが上がりました。』

『『剣豪』のレベルがあがりました。

『『体術』が『拳闘』に統合されます。』

『『拳闘体術』に進化しました。』

『『魔導の極み』を取得しました。』

『『魔格士』のレベルがあがりました。』

『『魔術の深淵』を取得しました。』

『『中級魔術師』が『上級魔術師』になります。』

『『火属性』が『炎熱』に変わります。』

『『氷結』が『氷河』に変わります。』

『『風刃』が『嵐舞』に進化します。』

『『地脈』が『大地の加護』に進化します。』

(かなり上がったし一部統合に進化したな)

だけども目的は

通常のオーガ討伐だからまだすすむぞ。

「さて、次の獲物を探しますか」

「ええ、行きましょう」

再び森の奥へ進んで行った。

それから、しばらく進むと今度は緑色の肌をした鬼が現れた。

「こいつは……ゴブリンだな」

「そうですね」

「ラムレス、こいつの情報を教えてくれ」

『はい、ゴブリンは身長130センチほどで、力は弱いですが、知能は高く集団行動が得意なので厄介な魔物です。』

(ふむ、とりあえず倒そう)

「ラムレス、頼んだ」

「はい、我が主よ……我が身に宿りし風の精霊よ……我の呼びかけに応え敵を切り裂く武器となれ……『ウインドブレード』」

『ウインドブレード』のレベルがあがりました。←へえ、味方側の魔術レベルも上がるんだな。

ラムレスは『ウインドブレード』で攻撃した。

「グギィ!」

ゴブリンはダメージを受けた。

「アキト様、とどめを」

「わかった」

僕は『魔格士』で『剣術』をセットして『武術用装備』を身につけ、さらに『双剣流』で『二刀流』にした。

「はあ!」

「グギャア!」

「ふう、終わった」

『レベルが上がりました。』

『『双剣士』のレベルがあがりました。』

『『魔術の深淵』のレベルがあがりました。』

『『上級魔術師』が『超級魔術師』になります。』

(そこそこに上がったな)

さらに進むと

緑色のオーガがいた。

(獲物発見!)

「次はこいつを倒すよ」

「はい」

「グオオォォ!」

(なんか怒ってないか?)

「グラウディウス、あいつに能力低下の魔術を頼む」

「はい!我が主にして友よ……我が願いを聞き届けよ……我が名はグラウディウス……我が友よ……汝の名は…………『グラビティ!』」

よし、今のうちに!

「ラムレス、行くぞ!はあ!やあ!せい!はあ!」

「グギャオォォォ!」

「よし、効いてるな」

さらに攻撃する。

「はあ!やあ!とう!せい!はあ!『雷閃』」

「グギャァーー!!」

『オーガを倒しました。経験値を獲得しました。』

『『オーガの剛腕』を取得しました。』

『『オーガの肉』を取得しました。』

『『オーガの角』を取得しました。』

『『オーガの牙』を取得しました。』

『『オーガの皮』を取得しました。』『『オーガの魔石』を取得しました。』

『『オーガの魔核』を取得しました。』

『『オーガの心臓』を取得しました。』

『『オーガの肝臓』を取得しました。』

『『オーガの胆嚢』を取得しました。』

『『オーガの血液』を取得しました。』

(結構いいものが取れたな)

「さあ、帰ろう」

「はい」

僕たちは冒険者の店に戻り報告した。

「これが依頼書の報酬金金貨五枚です」

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