秘密の代償は命令デス〜平和な学校生活を過ごしたいのにアリスさんに振り回される〜
イセ
転校生はイジメられるらしい
1話 花が咲いた日
世の中は平等に出来ていない。
そうではないだろうか?
能力だって個人差があるしスクールカーストだってそうだ、力の無いものは蹴落とされていく。
でも逆に上位者になれば人間関係とか面倒くさいし反感を買う事は目に見えている。
だから私、
「もうこんな時間か」
学校に行かなければならないという義務感に重い体を起こしてリビングへ向うと、社畜のパパが作ったであろう不格好な卵焼きと共に置き手紙があった。
『天音へ
おはよう、今日は父さん張り切って卵焼きを作り過ぎてしまった。
パンと一緒にでも食べてくれ。
父より』
そんなメッセージに少し怒りを覚える。
私のために無理して、ただでさえ少ない睡眠時間を削って作ったに違いないと。
でもそれはありがたくて私はパンを焼いている間に卵焼きを平らげてしまう。
「ん、味は美味しい」
男で一つで高校2年まで育てたのは伊達ではなかったらしい、私の好みがわかっている。
その後、焼き上がったトーストを食べて準備が完了する。
私が通っている学校の校則は緩い方だけれど化粧はしていかない。そんな物は時間に余裕があるものだけで良いのだ、何より面倒くさい。
さて、二度寝といこうか。
ピーンポーン♪
「はぁ、なんで寝かせてくれないのさ」
私は早く寝たいがあまりインターホンの表示を見ずにドアを開けた。
「おはようございます!
ケッコン?挨拶に、キマシタ!」
「……それ、引っ越しじゃない?」
ドアを開けると眠気なんて簡単に吹っ飛ぶ位の美少女が立っていた。多分ハーフだと思う、身長170くらいの女の人なんて見たことが無かったから。
「あのコレ、ツマラナイ物デス」
「どうも」
そう言って彼女は高そうな袋を手渡してくる。中にはダルマとクマの縫いぐるみが入っているようだった。
普通、引っ越し挨拶にダルマとクマサンを持ってこないだろ。
「これからお世話にナリマス!」
「こちらこそ」
そう言うと彼女は他の家の方へ行ってしまった。
名前も名乗らずに行ってしまうなんて、と思いながらダルマとクマサンを自室にセッティングして学校へ向った。
学校にて――――
「おはよ、天音」
「おはよう」
学校に着くと私の唯一の友人であり親友の桜が話しかけてくる。
彼女は私が知る中で一番のフワフワ系女子だ。相手を包み込む声は、私の癒やしで休み時間になると、そのフワフワ声に包まるため、話してもらう。
「もしかして天音……今日もスッピンでしょ!」
「ん?そうだけど」
「私の化粧道具貸してあげるからトイレで直してきなよ」
「私、化粧しなくても勝手に化粧が完了する能力持ってるから大丈夫だよ」
「それなら良いけど」
「……ごめん、全部ウソ」
彼女の面白いところは明らかに嘘だとわかる事でも信じてしまうところだ。多分、全員の意見を理解しようと努力している結果なんだろうけど。
そんな風に楽しんでいると顔を真赤にした桜からチョップが飛んでくる。でも全然痛くないから再犯したくなってしまう。
「もー、天音はすぐ嘘付くんだから」
「いやだって、面白いし」
そういうと、再び頬を膨らませて腕を組む。
あの赤面した顔はタバコやお酒と同じ、中毒性があるものだと思う。彼女には申し訳無いがあの顔をされると非常に加虐心がくすぐられる。
「天音、先生来たよ」
「うん、また後で」
そう言って席に戻って、配られた保護者会だの何だのといった手紙の裏面に落書きを始める。1日一人、クラスメイトを描くことが目標の私は今日、クラス1の陽キャ、
女子のカーストは学校生活に親密に接しているらしく、カースト下位の人は十文字さん達にイジメられている。
「十文字さんは………いた」
彼女に目を向けると何やらいつも以上に騒がしくて、前を見るとどうやら転校生が来ているらしい。
ん?なんかどこかで見たことあるような…
「コンニチハ、私、スミス アリス、デス!
よろしく、デス」
ん?このたどたどしい日本語、今朝の!
まさか同じ高校に通う事になるなんて……
十文字さんが、まるで宝石を見るような目で見ているから彼女はきっと十文字派閥に入ることになるんだろう。
「席は…あっ須藤さんの隣が空いていたわ、そこに座って」
確かに不登校の子に席なんて必要無い気はするけど先生自身が彼の席を消してしまうのはあまり良いとは言えない気がする。
それになんでよりにもよって私の隣なんだろうか?
どうせ休み時間になったら、転校生というエサを求めて陽キャ共がウヨウヨと集まってくる。
つまり、必然的に私の席は無くなるというわけだ。
迷惑以外のなんでもない。
もしお隣さんなんてことがバレでもしたら私の平和な学校生活は幕を閉じるに決まってる。
「それでは皆さん、1時間目に遅れないように」
そう言うと先生はスタスタと出ていってしまう。
「私の名前は天音、須藤 天音だよ」
「ヨロシク、お願いします!」
こっちは早くこの場から離れたいというのにアリスさんは律儀にお辞儀をしている。
「失礼ですが私、今のアナタ嫌いデス」
「えっ――――」
これは私の何気ない日常に一輪の花が咲いたような衝撃的な出来事だった――――
――――――――――――――――――――――――――
どうも、こんにちはイセです。(知らない方がほとんどのはず……)
今作は、初めての百合作品となっているので正直かなり苦戦しています……
まぁ、そんな事は置いといて、約2000字の毎日投稿(自信はないですが)、頑張りますので是非読んでいってもらえると助かります。
もし良ければブックマークや♡、☆なんかもしていただけると幸いです。
次話は『陽キャの極み』です。
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