第2話 来宮神社のリアル
さあ!
次の目的地である
目的地の
なんというお手軽さでしょう。
ようし、電車が来たぞ! 乗ろう、乗ろう!
え……あの……これ、乗っていいやつですか?
目の前の電車に、目をパチクリさせる。
赤い地に散らばる、かわいい金目鯛のイラスト。
対面式の座席。
どこはかとなく漂う特別感。
ねぇ、ちょっと!
特急なんじゃないの、これぇえ??
もし特急だったら別料金よねぇ⁉
とオロオロするも、迷っている時間などない。
乗り換え案内で調べた時間的にも、この電車で合ってるはずなのだ。
もう、乗るしかない……
ひ、一駅だけだし!
ちょっとアナタ間違ってるわよ! て言われたら即座に謝ろう、そうしよう!
扉、閉まりました……車内はなかなかの混雑ぶり。
座席には座らず、ドア付近に立つ私。
すると、すぐに
『この電車は普通乗車券でご利用頂けます』
みたいな事を車掌さんがアナウンスしてくれた。
ナイスアシスト! もしかして、ドキドキの私の胸の内、バレてたかしら?
しかぁし、ここでホッとしたのもつかの間、すぐに新たなドキドキポイントが発生してしまうのだ。
それは、すぐに到着した来宮駅の改札である。
青春18切符は、改札口の駅員さんに日付印を見せて通過するのがルールなのだ……が……
駅員さんがいない!(ガクブル)
ど、どうすんのこれ……と横を見れば、インターホンで駅員さんと通話できますコーナーがある……これでお話しすればいいのかしら? と思いつつも、人の波に乗って改札を通過。
通過。しちゃった……
まあ、後で怒られたら、青春18切符を見せればいっか……フリーパスだもんね!
(怒られなかった)
さて、来宮駅からてくてく歩いて、いざ目的地の来宮神社へ!
徒歩10分ほどで見えてくる、大きな赤い鳥居!(じゃじゃーん!)
そこに並ぶ人人人……!(がくーん……)
え? 今日はまだ30日ですよ? 年明けてませんよ? 皆さま、間違ってませんか?
内心首を傾げながら、手水舎で手を清める。
そこには三種類のマップがあり、その内の一枚を手に取って、境内の散策を開始した。
ちなみに、そのマップは来宮神社周辺の案内マップだった。
まずはすぐ近くにあった、ご神木。大楠である。
大きい。とにかく大きい。
どどーん、としていてまことに神々しい。
ゴツゴツした樹皮に、穴のある幹。
天に向かって伸びる枝葉。
すごいなぁ……を胸の内で連呼しながら、大楠の周囲をぐるり。
ほぅ、と息をつきながら、周りの小さめの鳥居をくぐる。
黒い鳥居に、沢山の朱色の鳥居。
ときて、さあ、本殿参拝だ!
人人人人人人人人人人人……(がくがくがくーん!)
なに、この人人人!
なんかもう、並ぶのやだ……
富士宮の浅間大社で買った御朱印帳に、来宮神社の御朱印が欲しかったけど……これも、もういいや……駅に戻ろう……
てくてく……
そういえば、マップ、三種類あったよな……
よく考えてみれば、さっきのマップは境内の案内マップじゃなかったし。(はよ気づけ)
どれ、もう一度よく見てみるか……
手水舎のマップ置き場に立ち寄る。
あ、これが境内マップじゃん……ああ、さっき見た大楠も載ってるよ……なになに、第二大楠……だいに?
だ・い・に?(頭にずどーん! とイオナズン落ちる)
な、な、なんだとぉお⁉
私がさっき散々感動した大楠は第二で、さらに大きな第一大楠があるだとぅう!
あっぶな。あやうく見ずに帰るとこだったわ!
回れ右じゃああ! レッツゴー!
人人人人人人の横をすり抜け、大楠へ。
あ、ほんとだ……さっきの大楠の親分みたいな大楠がある……
呼ばれたんだな、これは。ありがたやありがたや。
再び、大楠の周りをぐるり。
そして見上げた大楠の枝葉の隙間から、金色の日差しが垣間見える。
きれい。まるでなにかが宿っているかのような。
その様を心に刻むように、シャッターを切る。
再びマップを見ると、もう少し先に茶屋があるとのこと。
行こうじゃないの、茶屋〜!
ちょっと歩き疲れたところだし……と、メニューを見ると、麦こがし黒蜜ソフトという魔性の食べ物の名前が。
「麦こがし黒蜜ソフトください!」
魔性には、勝てなかった。
勝たなくて良かった。
めちゃくちゃ美味かったからね。
ぼへぇえと、きらきらのお日様を眺めながら、うまいソフトクリームを食べる。
伝わりますか、この幸せが。
しかも、縁結びの神様がおわす、この来宮神社で、ですよ!
こりゃ、なんかいい空気吸っちゃってるよ!
そう思うでしょ?
はい、いいこと起きました!
もう? 早いな!
なにかっていうと、かわいいお猿さんの芸が観れたのです。
賢くてかわいいお猿さんに癒やされ、しみじみしてしまうお話も聞き。
殺処分されてしまう野生のお猿さんを調教していて、やはり信頼を築けるかがキーポイントのよう。
応援したくなりました! 私もがんばろう!
その後本殿にお参りし、御朱印帳に御朱印も頂き。
さて、まだ時間もあるし、熱海に戻ろう。
年明け、両親が熱海を旅行したいと言っていたし、ちょいと下調べするか……再び、てくてく……
次回、シメの熱海編です
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