第41話リーシェ、キリカと和解する
・・・アリス。あなたは一体何者なのですの?
私の疑問にアリスが答える。
『大聖女リーシェ。私はあなたの導き手。神の導きに従い、あなたを大聖女へと誘う者』
アリスが神の御使い? つまり使徒?
『神は人を試された。人の大敵である大魔王と人と和解可能な大聖女。二人をあちらの世界に創造し、あなたの判断に全てを委ねた』
「私が魔族だったのは、本当なのですの?」
『いいえ。あなたは半分魔族、半分は人間でした。だからあなたは人間との対話も可能だったのです』
「私はこれから何をすれば? 神が私を遣わせたということは、私には使命がある筈ですわ」
『はい。あなたには使命があります。あなたの聖典の魔法は大魔王をこの世界から消し去る由一の力。そして、人を救うには、人の協力が必須です。あなたとあなたの仲間の絆が試されるのです。そして、自らの人生に抗いなさい。神は無条件で助けてはくれません。自分の力で勝ち取るしかないのです』
「わかりましたの。アリス、ありがとう」
私は、神の御使いアリスとの言葉に万感の思いを感じながら、自然と涙が出てきた。
ステータスを確認すると、
名前:リーシェ・シュテイン・サフォーク
職業:大聖女
年齢:十七歳十一か月
タレント:剣聖
ギフト:ビリビリ
スキル一覧:
聖典魔法(極大)
身体強化(極大)
探知(極大)
雷魔法(小)
『神の祝福を受けし大聖女リーシェよ。今こそ啓示を授けます。大聖女リーシェよ、その全霊を賭けて人々の盾となり剣となりなさい!』
「はい! 大聖女リーシェは人を守るために大魔王を滅ぼします!」
私は、自分の使命を全うすべく覚悟を決めるのだった。
エリカ視点
エリカはリーシェとキリカの戦いを見て唖然としていた。
”エリカちゃん無言配信”
”リーシェちゃんの聖剣って何?”
”ていうか、リーシェちゃんが大聖女?”
”魔王の方が良く似合うww”
「すいません。MCを忘れてました」
”エリカちゃん気にしないで”
”そうそうあの二人頭おかしいw”
”あ!なんか消えたw”
”残像すら残らないスピードかよw”
「解説します。キリカさんは異世界の聖剣の勇者で、元剣豪です。一方、リーシェさんは剣聖で、異世界の剣の達人です。聖剣を持っていればキリカさんの方が強い筈でした」
”なんで聖剣持ってないの?”
”なんで二人は決闘を?”
「キリカさんは異世界の男爵家の人間で、上位貴族からの命令でやむなく決闘に挑んでいます。命令はリーシェさんの命を奪えという・・・二人は友達なのに」
”ひでえ”
”貴族死ね!”
”宿命の対決だったか”
”リーシェちゃんに勝って欲しいがキリカちゃんの気持ちもわかる”
「最初に動いたのはキリカさん、リーシェさんに斬りかかりました」
”おお!早い!”
”聖剣が無いから攻撃速度が鈍ると思ったが、そんなこともないな”
「はい。キリカさんの刀は宝刀エリルフラーテ。聖剣ほどじゃないですが、凄まじい威力です。それに対してリーシェさんは昨日作ったばかりの剣です」
”へ?何で?”
”何か思惑がありそうだね”
「そうなんです。リーシェさんの剣は聖剣です」
”どゆこと?”
”聖剣って作れるの?”
「リーシェさんはちょっと魔王よりの大聖女に先日なりました。それで聖剣ぽい何かを作ることができるようになったんです」
”魔王よりの大聖女っぽい何かw”
”聖剣ぽいなにかw”
”リーシェちゃんぽいw”
”だめだリーシェちゃんが聖女とか腹がよじれるw”
”あ!一気に行った!”
「あ! 決着がつきました!」
”意外と早い”
”最後は殴ってw”
”リーシェちゃんぽい”
”キリカちゃんが飛んでるw”
”え?”
「なんか黒い空間が出て来ました」
”くっくッとか言ってる”
”厨二病感すげえw”
”負けるフラグを自ら立てるとかw”
”え?リーシェちゃんが魔族だった?”
”どゆこと?”
「説明します。実はリーシェさんは七度の人生を送る前世の記憶持ちです。そして最初の人生では大聖女だったのです。しかし・・・大聖女の正体は魔族だった・・・ということになります」
”なにその展開?”
”因縁の対決?”
”でも、大聖女が魔族って”
「それはアリシアさんに聞いてください。今は・・・」
”お!”
”アリスちゃんが魔族倒しちゃったw”
”あ!アリスちゃんが元に戻った”
”アリシアさんって誰?”
「私がアリシアです」
「解説のアリシアさんです。アリシアさんは異世界の聖女です」
”聖女って何?”
”そう言えば勇者って?”
「聖女とは聖典の魔法が使える者の中で、より秀でた者の称号です。大聖女も同じですが、どうやら大聖女は神の御使いで、特殊な存在なようです」
「勇者はどんな経緯で生まれたんでしょうか?」
「勇者についてはわかりません。ただ、大魔王と大聖女は神が創造された」
「勇者は大聖女が作った者だ」
”誰?”
”あ!これリーシェちゃんの彼氏”
”確か召喚勇者?”
”この人今まで何してたの?”
「勇者けいごには異世界に行ってもらっていました」
”なんで?”
「リーシェさんとキリカさんの戦いを止める為です」
「無事に王を説得できた。魔王抹殺命令は王命で禁じられた。二人はもう戦う必要はない」
「良かったです。もう二人は大丈夫です。リーシェさんは魔族と人の和解を望んでいます」
”おお!”
”仲直りおめでとう”
”でも、勇者けいごって誰?”
「異世界でこの世界から召喚されたリーシェさんの彼氏ですよ」
”そっか!やっぱり大聖女には恋人が要るよな!”
”いらないよw”
”どっちかっていうと不必要じゃんw”
”いらんw”
「一週間後だ」
”なんだ?”
”勇者けいごがなんか語り出した”
「魔王は一週間後に大魔王に襲われる」
”どゆこと?”
”説明希望”
「魔王は六度の人生で十八歳の誕生日に大魔王に喰われるという人生を歩んでいる。六百七十二年前大魔王との戦いで深手を負わせてが、大魔王は復讐を兼ねて大聖女として目覚めていない魔王を喰らった。大聖女の魂は大魔王にとってはご馳走。大魔王の復活にも欠かせない」
”リ、リーシェちゃんが餌?”
”ひでえ”
”許すまじ大魔王!”
”勇者!リーシェちゃんを助けて!”
「戦いの行方はわからない。だが、魔王が大聖女になったことで、勝機が見えて来た。大魔王を倒せるのは大聖女だけだからな」
”いいけど、こいつなんでリーシェちゃんのこと魔王って呼ぶんだ?”
”ちょっと変w”
「可愛い魔王と名前のギャップが萌えるからに決まってるだろ!」
”だめだこいつ”
”まともそうでそうじゃない”
”リーシェちゃんの彼氏だもんなw”
”類は友じゃないかw”
戦いは終わり、和んだムードになった。だが私は身を引き締めていた。
アリシアさんから聞いたリーシェちゃんの宿命に終止符を打つべく、私もアキラさんも力を貸すつもり。
必ずリーシェちゃんを守り通して、大魔王を倒す。
そして、この世界と異世界両方の人の平和を取り戻す。
私はこれから挑む大魔王との戦いに身震いしていた。
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