第16話リーシェ、晩御飯の確認をする

“もう生活費が。ごめん、これが最後のスパチャだよ“


“まだスパチャ投げるんかーいw“


“釣りにしてもw“


“生活費なくてもスパチャ投げるとかすげーなw“


“いや、それ以上にいいもの見せてもらってるから“


“うんうん、安心して全部・・・できるかぁ!“




視聴者さんのチャットを見てわかったのです。




「下僕どもの気持ちは分かったのです! みんなスパチャが大好きなのですね!!」




"なんでやねん!?"


"いや草"


"チャットを全く理解しない配信者w"


"リーシャちゃんぽいw"


"アリスちゃんも可愛いなぁ"




「皆さんの気持ちがわかります! パチンコでスってもスっても止められない感覚!」




"パチンコ負けたのかな?"


"すれ違いがひど過ぎるw"


"ほんと、お願いだから逃げて!"




皆さん、私の事を心配しているのですわ。


ようやくわかったのです。私がなすべきは目の前の悪魔神官をぶちのめす事!




「下僕の皆さん。そこまで言うならこいつぶっ飛ばします! で、アリス、どうやるの?」




“まさかの丸投げw“


“初めて良いこと言ったと思ったらw“


“リーシェちゃん気にしないで! 俺らただの自壊やからw“


“それよか、アリスちゃん知略は?“




「リーシェ様? とあるの応用ですよ? 分からないのですか?」


「忘れたのです」


「なんでです? かなり強烈に記憶される筈です!」


「アリス。私は学校に行ってないのですわ」




“リーシェちゃん、涙目で言うの止めて”


“そうだよ。学校なんて、駄目だ、笑いが止まらないw”


”ふざけるなよ!マジでヤバいんだぞ”


”リーシェちゃんなら大丈夫w”


”知らないぞ。後でトラウマになっても!”




「リーシェ様、いいですか? 今から教えます」


「わかったのですわ」




そう言うと屈んだ。アリスは私の額に再度手を当てて情報を送って来る。




”なんか、アリスちゃんに洗脳されてるような”


”これ、リーシェちゃんを自由自在に操れるんじゃ?”


”実は最強アリスちゃん?”




「悪魔玄関?」


「神官です」




“アリスちゃんのツッコミ厳しい”


“いや、リーシェちゃんがポンコツ過ぎるw”




「とりあえず悪魔玄関! 覚悟しやがれなのですわ」


「はっ! この我にどうやって害を成すと?」


「こうやるのですわ!」




次の瞬間、私の拳が悪魔玄関・・・神官にヒットした。




「ば、バカなぁ! 私は全ての攻撃を反転できる魔法バルグランドを使っているぞ!」


「私の右手にはあらゆる力を無効化できる幻想を殺す魔法イマジンブレーカーを宿らせていますの!」


「何だと? そんな魔法は聞いたことがない!」


「それはないのですわ。今、この場で作ったのですから」




"イマジンブレーカーww"


"なんかいきなり異次元バトル始まったんだが・・・(困惑)"


"初心者ですけど、これ、映画の撮影?"


"リアル生配信やぞ!"


"リーシェちゃんは平常運転w"




「事実は自分で確かめるのです!」




ガンッ!


かなり強い打撃が顎に入る。




「ば、バカな! 即興の魔法、だと・・・? そんなの、莫大な魔力がなければ無理だろう?・・・十分に効率を求めた術式を組まないと・・・考えられない」


「そんな難しいことですの? 簡単ですわ」


「おのれ・・・我を嘲るのか!」




”煽ってるwww”


”超煽ってて草”


”やめてあげてw”


”でも、実際・・・すご”




「はい? 別に煽ってなどいませんのせすわ。雑魚相手そんな時間の無駄しませんの」




”これで煽ってないつもり?”


”そういえばリーシェちゃん、天然の疑いがw






ガンッ




更に強い打撃が入る。




「グアッ!」




面白いですの・・・弱い者をいじめるのって・・・。




「あはははははははァ!」




”出たw”


”マジキチスマイルw”


”顔は清楚な笑顔なんだけどw”


”やってることがえげつないw”


”悪魔神官可哀想w”




「だが我は物理攻撃半減のスキル持ち!」


「ほう? それは好都合なのですわ」


「何? この後に及んで何を?」


「打撃と相性が悪い? なら、効くまで殴り続けるのみですの!」




“脳筋w”


‘発想が脳筋過ぎるw”




私は剣聖の力を解放したりする。


物理攻撃に強い?


最高じゃありませんこと?


だって・・・。




「たくさん殴りがいがありますわ!」






最大速度で動き、殴る!


念の為ヒットアンドアウェイに徹する。




「ストレス発散に最適なのですわ!」




“ストレス発散w”


“歴史上最悪の魔族がただのサンドバッグw’




「あはははははははッ!」




"あっはっはっはっは!"


“ふぁ?”


“出たマジキチスマイルw”


“やべぇ、どっちが悪者だっけ?”


“それはリーシェちゃんw”


“そうそうただのいじめだしw”


“リーシェちゃんの味方だけどね”


“マジキチ笑顔大好き”




私はストレス発散に散々悪魔・・・なんでしたっけ?


いや、ともかく。髪を整えて埃を払うと。




「大丈夫ですわ。これで終わりなのですわ!」




“クスリキメてたのかな?w"


“表情いっちゃてたよな?w"


“今更取り繕って清楚感あるセリフ言われてもw"


“とってつけた感が否めないw"


“笑いながらやってたことがエグいw’




私は収納袋から宝剣を取り出すと、ボロボロの・・・なんか玄関を斬り捨てる。




"笑いながら最深部のフロアボスを倒す非日常の破壊者"


"なんで最初から宝剣使わないのかな?”


"ただのいじめだからw"


“ギミック解かないで力づくで解決してる”


“可愛いけど・・・バーサーカーなんだよな”


“おい! 大変だぞ!”


“なにごと?”


“エッグサイトのイベントに魔物が出現した”




「エッグサイト?」


「イベント商業施設ですよ、リーシェ様」


チャットが溢れる。終わりそうな雰囲気だったのが、がらっと変わった。




”テレビの緊急速報やっば!”


”魔物が発生したのか? ダンジョン外で?”


”ええ? そんな筈がない! 魔物はダンジョン外では生きられない筈!”


”だが、もし数万人集まってるイベントで魔物が・・・”


“それヤバい。探索者はダンジョン外では能力使えんぞ!?“


”うわっ、政府から自衛隊への緊急発令出てる・・・!”


”マジか”




相当不味いですわ。


数万人も集まっている所に魔物のスタンビート発生。




”リ、リーシェちゃんなら・・・”


”止めろ! リーシェんちゃんだってダンジョン外じゃ“




「・・・」


静かにチャットを見つめる。




”エリカちゃんもイベントに参加してる!”


”お、俺の妹が!”


”だから止めろって! リーシェちゃんもダンジョン外じゃ・・・”


”だけど、自衛隊の装備じゃ・・・”


“エッグサイトだけじゃない。東京中に被害出るぞ“


”ちゃんとリーシェちゃんのことを考えて書き込みしろ!”


”無茶振りだろ!”


”これでもほんとは清楚な女の子なんだぞ”




剣聖としてやるべき事はわかりきっている。


私はアリスのスマホを借りて、家に電話する。


「キリカ? 今日の晩御飯何?」




“え?“




チャット欄が高速で流れ始めるが、すばやく配信を切った。

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