第15話リーシェ、シャンパータワーに沼る

「あなたの気持ちは分かりますの。顔が不自由過ぎるますの」


「リーシェ様。外見上のことは言っちゃいけません!」




"何煽ってんの?"


"空気とは正反対の方に一直線ww"


"ちょっと脳がアレなのはわかったw"


”リーシェちゃん、頭が残念なできなのがw”


”俺は不覚にも惚れそうになった・・・この俺が・・・クソッ!クソッ!”


”ちょwww不覚にもワロタwww”




「お前ら、人の部屋荒らして勝手に進むでない!」




”ツッコミが常識w”


”フロアボスが一番まともw”


”いや、顔のアップ止めて!”


”止めて、禍々しい顔の落書きがw”


”それ、特級呪物w”




「ルールは間違えてませんの!」


「常識ないのかお前ら!」




”正論で草”


”まさかのフロアボスが正論ww”


”リーシェちゃん、逆切れw”




「だって、難しかったし・・・」


「難しいからって人の顔に落書きするか、普通! 人の顔を何だと思っておる!」




何だって言われましても。




「ただの落書きにしか見えませんわ」


「リーシェ様、違います。禍々しい紋様にしか見えません」




「何だと?」




変な顔の像が手鏡を見てプルプルと震えている。




「この禍々しい呪物は何だ?」




「わ、私は知りませんのです」




”いや、落書きしただろww”


”とぼけるなよw”




「いえ、大丈夫ですの」




”大丈夫じゃねぇよwwww腹筋が崩壊するww”


”フロアボスが大丈夫じゃねえよww”


”何が大丈夫なんだよw”




困ったのですわ。頭脳戦はアリスの分野ですの。


そもそも、勝手に変なルールを作るなんて、卑怯すぎるのですわ。




像は私が不満そうな顔をしていたからか、言い出した。




「ギミックは作った側の自由であろう!」


「わかりましたのですわ。アリス? 次回からちゃんとギミック解くのですわ」


「はい」




”なんでフロアボスに乗っかってこんな偉そうなんすか?ww”


”リーシェちゃんww”




その時、マジックペンが・・・飛んで行き・・・変な像の頭に刺さった。




”これは・・・”


”なんでペン投げたろうな”




「こらあああああああああハゲえええええ!!!!!」


「だれがハゲだぁこらあああああああああ!!!!!」


「なめんなよクソがああああああ!!!!!!!!!」




”ちょっちょっ!!!!”


”やばいやばいやばい”


”アリスちゃん!”


“外見上のことは言っちゃだめじゃなかったのかww“




何故かアリスがキレたのですわ。


像もこめかみをピクピクさせて怒鳴り返す。




「不届き者め! 我を愚弄しおって! ・・・お前には死を!」




”もうだめだ・・・”

”リーシェちゃんが逃げようとしてるw”

”いやいや止めろよ”




「奴隷の身分の私がどんな気持ちでアホなご主人様の理不尽な発言に耐えていると思ってるんですかぁ!」


「な、何を言っておる?」




“いや、それは像と関係ないw“


“像に八つ当たりw“


“主犯はリーシェちゃんw“




「かくなる上は我が直接成敗してくれるわ!」


「ええい。この後に及んで逆ギレですか? この奴隷の印が目に入らぬか! さあ、リーシェ様! やっておしまいなさい!」




“逆キレはアリスちゃんの方w“


“開き直んなよw“


“奴隷の印って何?“


“葵の紋所的な?”


“なんでアリスちゃんが黄門様の立場?“


“カオス過ぎるw“




「どうやら雌雄を決する時が来たようですわ」


「たかが人間! 魔族である悪魔神官ポー様の力、思い知らせてやるわ」




空気が変わった。戦いの前の緊迫感ある空気ですわ。


私は小手調べに。


キィーン




“リーシェちゃん、いきなりレールガン?“


“一円玉はじいてたから、多分“




「レールガン!」




ゴオオオオオオオオオオオオオオオン




「何ですの? これ?」




“は?“


“何が起きた?“


“黒煙が立ち上ってよくわからん“




私の右手には潰れた一円玉がありますの。一旦、悪魔神官に打ち出したものですわ。




「リーシャ様! これ、多分、攻撃を反射する空間魔法です」


「わかったのですわ。じゃ、対応策を早くなのですわ」




“黒煙晴れて来た“


“どうやら撃ち出した一円玉が跳ね返って来たみたい“


“は?“


“レールガンって、秒速千メートルとかやぞ?“


“リーシェちゃんの発言と右手に握られた銀色の塊を見ると“


“マジか?“




「無駄無駄無駄無駄!」




悪魔神官が煽りながらメイスを凄まじい勢いで振り、付近にあった像の残骸をへし折る。


凶悪そうに顔を歪め、叩き割った像の残骸を私めがけて投げてきた。




"ガチの化け物やん。こんなん、どうやって倒すんだ・・・"


"全ての攻撃が通じない上、この破壊力”


"日本中の探索者全員で勝負かけても勝てんぞこんなの"


"て、撤退だよ!逃げるんだリーシェちゃん!"


”お願い!リーシェちゃん逃げて!”




チャット欄には、私を心配するような書き込みがあるみたいなのですわ。




「皆さん。安心してください。こんな時の為にアリスがいるのですわ!」




”アリスちゃん、お願い!”


”リーシェちゃんのピンチを助けて!”


"¥200000: アリスちゃん、リーシェちゃんを助けて!"




「えっ!?!? スーパーチャット、ありがとうございます!!」


「? スーパーチャット? 何ですのそれ?」




"リーシェちゃん少し勉強しよw”




「スパチャですよ。リーシェ様が欲しがっていた投げ銭ですよ」


「そ、そうなのか? やった! これでVtuverに投げ銭できるのですわ!」


「駄目です。このスパチャは私の為にですから、譲りません」


「・・・そ、そんなぁ」




“リーシェちゃん、そんな悲しい顔しないでよw“


“なんて欲望に忠実なんだろうw“


"しょげたリーシェちゃん可愛いw"


"¥10000: はい、今日の夕食代"


"¥20000: はい、今日のおやつ代"


"¥50000: お礼がないのが草だけどあげてしまうw"




「へ? ひぇぇぇええ・・・!?」


「こ、これは私への? そうなのですわ!」




金額の価値はよくわかりませんの。


でも、アリスのリアクションから変な声がしたので、きっと大金に違いないのですわ。




「み、みなさん!? 冷静になってください! こんな大金をリーシェ様にあげても全部Vtuberに貢ぐだけですよ!」




"テンパるアリスちゃん可愛い"


"シャンパンタワー始まる?"


"¥10000: はい、Vtuberさんへw"


"¥20000: これはアリスちゃんへ"


"¥10000: 元気もらってるから! これからも応援するで!"


"¥50000: 今日から一ヶ月もやし生活ですw"




「ご飯はちゃんと食べてください!?」




何か変な流れですけど、なんでアリスは止めるのです? わかりませんわ。




「これ、ヤバくないですか?」


「何がなのです? それより早く対応策を考えるのですわ」




「みなさんお金は大事ですよ!? もっと有意義にお金を使ってください!?」




"¥50000: え? もっとですか?"


"¥50000: え? これ有意義じゃないのw"


"¥20000: アリスちゃん可愛いねぇ。おじさんがお小遣いあげるよ"


“↑通報w“




「リーシェ様。大変です。視聴者さんが変なテンションになってます」


「別に問題はないのですわ」


「あまり度が過ぎると、返ってお客さんが離れる時があるんです!」


「そ、それは大変なのですわ!」




成程、そう言うことですのね。私は少し思案したりする。




「部を分け前なさい! この下郎ども! 侯爵令嬢である私の言う事がわかりませんの?」


「リ、リーシェ様! 言い過ぎですよ!」




"¥20000: ぶひぃー!”


"¥30000: ご褒美! ご褒美の罵り!"


“¥30000: もっと! もっとください!


"¥50000: すみませんでした!!!! もっと投げます!!!!"


"¥50000:《円城エリカ》 素敵です! 素敵すぎ・・・!"




「ひゃ!? ち、違。そうじゃなくてぇ!?」


 


スパチャが飛びまくり。


何故か迷子になるアリス。




それと、エリカさん・・・何してますの?

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