第2話 迫り来る刺客
しばしの沈黙の後、
「…ドアを壊す、とか」と、ひなたがつぶやいた。
コジロウが「逆にはそれひなたはできるの?」と煽る。
少し間を置いて、ひなたが「…私はできないけど、力也とかならやりそう。」と言って、教室内をぶらぶらし始めた。
当の力也は「ああ!?」と声を荒げるも、
「理論上は可能だな。」と徹也に返されてしまう。
僕は「じゃあ決まりだな。力也、ドア壊せるか?」と力也に聞いてみた。
「うるせぇな、やればいいんだろ!やれば!」そう言いながらもドアに近づく。
「ドアが壊れても知らねぇからな」
だが力也がドアに触る直前、「ガチャリ」と音がする。
「え、今、鍵空いた?」柑奈は嬉しそうだ。
「たしかに今空いたよ〜」とコジロウがドアを確認しながら言った。
「なら外に出られるか?」
「そうだね!早く出よう!」
みんな外に出る事で頭がいっぱいのようだ。だが…何だ?この違和感。
「都合が良すぎないか?いくらなんでも…」と徹也が口を挟んだ。
「…徹也の言うとおりだね。つまり、外に人がいるってこと。その人は本当に味方?」とひなたも不安そうだ。うん、僕も2人に同意だ。突然ドアが開くなんて普通じゃ考えられない。外に人がいると考えるのが自然だ。
「俺らを助けに来た味方に決まってんだろ。さっさと帰んぞ」と力也がドアを開けた。
その瞬間、マスク(もちろん顔全部隠れるやつ)をしている男(男かは分からないが体格的にほぼ間違いなく男)が教室に押し入ってきて、持っていた刃物で力也に切りかかった。
「…!?」声にならない悲鳴を上げ、力也が倒れる。
「力也くん!?大丈夫!?」と花子が駆け寄ろうとするも、刃物を持っている男が教室に入ってくる。
「危険だ!早く逃げろ!」と僕は叫んでいた。
全員が一斉に走り出す。
男は近くにいた柑奈の方に向かっていく。しかし、柑奈は「!どいて!」と言ってひなたを男の方へと突き飛ばす。
ひなたは目を見開くばかりで、抵抗できない。
男が振りかぶり、ひなたは目をつぶる。ところが、倒れたのはひなたではなかった。コジロウが男とひなたの間に入り、攻撃を受けていた。
「…!?なんで…!」とひなたが叫ぶ。
「『平和主義のムードメーカー』たるもの、眼の前で誰かが傷つくのは許せない性分でな…俺のことはもういい!早く逃げろ!」
力也とコジロウ以外が部屋から出る。
男がそのまま教室から出ようとするも、這ってコジロウがドアを閉め、ドアにもたれかかった。
「そう簡単に…行かせるかよ…まだ終わってねぇぞ…」とコジロウがニヤリと笑う。「俺らはもう手遅れだ。だが、時間稼ぎくらいならーーー」と力也が起き上がり、コジロウと目を合わせる。そして、男へ掴みかかった…
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