むかつく旦那様にざまぁをプレゼント!

@Murakami9987

カタリナの場合

「君に告げた婚約の破棄、それを取り消そうかと考えている。君にとっても悪い話ではないだろう?」


 婚約者であるヘルン様が私に婚約の破棄を告げてきたのが、今からおよそ一年ほど前の事…そんなに前の事を今更掘り返してくる、その目的は私が考える限り一つしかない。

 この人は私を追い出すその時、こう言ったのだった。お前の代わりの女なんていくらでもいる、と。…しかし今のこの人の様子を見る限り、その代わりの女とはどうやら上手くいっていない様子に見える。

 …私は私なりに、かなり我慢をしながらこの身勝手な人の相手をしていた。それほどの我慢ができる女なんてなかなかいるものではないと、自分のことながらに思う。…きっと代わりの女は、正しい感性の持ち主だったのだろう。こんな人の振り回しに耐えかねて出て行ったとか、そんなところだろうか。


「今更何の用ですか?私も私で忙しいのですが?」


 あえて、彼をあおるように問いかけをしてみる。向こうにいた時なら絶対にできなかった手法。自由の身となった今にあっては、やりたかったことを全てやらないと。


「な、なんだ…そ、その…態度は…」


 段々と語感が弱くなっていく。どうやら今の自分の立場が、多少は理解できている様子。


「代わりの女に愛想をつかされたんですか?みっともないですね」


「な、なんだと!」


 ほらみろ、やっぱり図星じゃないですか。分かりやすくうろたえて見せる彼。


「はあ…どうせ私に愛人になれとか、そんなお願いに来たのでしょう?今の相手を正妻にでもおいておきつつ、体相手の女が欲しいとか、そんなところでは?」


「ほ、ほう…察しが良いじゃないか…君にとっても悪い話ではなかろう?この私に抱かれるのだ。悪い思いは」


「消えてください、下品な男を見ていると自分まで下品になってしまいます。あと臭いです、あなた。そういうところじゃないですか?新しい女がなかなかなついてくれないのは」


「え…」


「正直魅力にも欠けますし、その社会的な地位さえなければ本当に底辺中の底辺な男ですよ、あなたは」


「お、おい…」


「はあ…きったない…さよなら」


「え?ちょ…」


 私は心の中で大爆笑しながら、その男に背を向けたのだった♪

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