僕の答え

「嘘よ!嘘でしょ?!!」


 麻美さんは僕に詰め寄って問い詰める。だが、僕はその答えを待っていない。代わりに答えたのは————あいつだ。


「本当だ。現代のホームズ。実名は世間では知られていていない奇妙な存在だが。全ての依頼を解決出来た人物」


 ここで、ふぅと息をつき、コーヒーを飲む。そしてそこの美少女よ、ここに座れ、と椅子をひき着席を薦めた。


 麻美さんはコクと頷き席に座る。その表情は幾分冷静さを取り戻していた。


 そして、いつの間にか店内は賑わいを取り戻していた。あいつは話を続けた。


「その人物が解決した。俺が知る限り、被害者は全員、いや


 俺はこの言葉を聞いた瞬間、手が震えていた。麻美さんもだろうか。体が少し震えている。


「白髪に、関係する話かと思ってな」


 そうあいつは呟いてコーヒーを飲むのだった。


 ———————


 ふぅ。


 気持ちが落ち着いた。


 ――――このコーヒーの味が美味しくなるくらいには。


「場所は知っているのか?」


 ふむ、と呟きあいつはコーヒーを全て飲む。


「王都グロニカ」


 王都グロニカ。そこはここから数時間列車に揺られながら着く場所である。


「そこで行方が途絶えた。それしか分からん」


 あいつはスマホの電源を落とし、ポケットに閉まった。

 それから財布を取り出し、1500円を机上に置く。


 おつりはいらんからな、と呟きつつ、席を立つ。


 あいつは無言のまま、喫茶店を離れるのだった。


 ―――――――


「あなたはどうするの?」


 俯きながら、麻美さんが僕に問いかける。ある希望を含んだ声。




「......探しにいくよ」



 その希望に僕は予め決めていた答えを返す。



「私も行っていいですか?」



 麻美さんは昨日知り合った関係だが。僕はほっとくことは出来なかった。



 ―――――――


(―――まさかこうなるなんてな。)


 扉の前に貼られた『私情の為、当分休みます。』という紙を見ながら呟いた。


 僕は汽車の切符を握りしめ、扉の鍵を閉めた。


 三ヶ月は何とか食っていける、全財産の詰まったカードを財布に仕舞う。家賃がきついのだが。まぁ何とかなるだろう。


 冬は終わり、春が訪れようとしていた。キャリーケースの中にお気に入りのロングコートが入っている。


 駅に着くと、白髪の麻美さんが改札で待っていた。


「行こうか。麻美さん」


「はい。探偵さん」


 僕の探偵になったきっかけをもう一度探しに行こう。


 ――――――

 作者から

 第一章完結!

 ひとまず公開という勢いで作成したため、修正点が多いかもしれないため、言ってくれるととても嬉しいです。

 今つくってやったものなので、あの反省は生かされておりません!

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