プロローグ
それは
「……久々に油断したな」
右足に
地上からは、彼を
ここで
そんなスリルのある
「グッ」
力が入らない。足を
「ひゃっ!?」
それも運悪く姫君が出てきた
当然だが、彼女は目を丸くして
(戦場の歌姫、セラフィーナ……)
それが彼女の名だ。
顔見知りだった二人は、
レイヴィンにとって彼女は危険な存在であり、彼女もまたこちらを
「おい、あっちに行ったみたいだぞ!」
もう感覚のないこの足では、逃げることも難しい。ついに彼は、激痛と
自分はこんな所で無様に
「
セラフィーナが、顔色を
その整った顔立ちはまさに黄金比。
そして宝石のように
「苦しそう……」
桜色の
「いったいどこでこんな怪我を」
彼女は……
この女が欲しいと、本能的に感情を
──だが、
そこで部屋をノックする音と共に男の声が聞こえた。
「セラフィーナ様、夜分
彼女はレイヴィンとドアを
セラフィーナの口を
「こっちに来てください」
「っ!」
だが、レイヴィンの思考が纏まる前にセラフィーナは、ふらつく彼を支えクローゼットの中へと押し込めた。
そしてノックのする方へ、
「どうしたのですか、こんな時間に」
「お休みの所、申し訳ありません。城に
「まあ、
「なんと!」
セラフィーナからの情報を
近衛兵を部屋から遠のけた彼女は、クローゼットを開けるとレイヴィンを自分のベッドへ寝かせ、傷口の応急処置を始める。
気安く
彼の
まずい、この歌声を
──なんだ、この感情は。
彼女は
「……なぜ、俺を助けようとする。得体の知れない男を」
「だって……
「…………」
「これ以上の深入りは、危険です。やめたほうがいい」
「悪いがそれは聞けないな」
彼女の歌声を聴いているうちに、不思議と毒による苦痛が治まったレイヴィンは、
「なぜです、なぜそこまでして、貴方はこの国の秘密を
「目の前に
言いながら彼はベッドから下りた。足は痛むが、もう歩けないほどではない。
「まだ動かないほうが」
「いいや、もう十分回復した……ありがとな」
セラフィーナは複雑そうな表情を
「助けてくれた礼に、お前の願いをなんでも一つ
「え?」
「借りは作らない主義なんだ。なにがいい?」
美しい宝石や
「どんなことでも?」
「ああ、どんなことでも」
叶えてやれる自信があるから言っている。
「っ……急には、思い浮かばないわ。少し考えさせて?」
そう告げる彼女の瞳は悲しげで、どこか救いを求めているようで……なぜ、そんな顔をするのか、興味をそそられた。
もっと彼女を深く知りたい、と。
彼女が
自分は今、
そんな予感を覚えながらも
「また来る」
彼女の耳元で
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