第15話 NPC、どこでも職業体験! ※一部別視点

 俺はジェイド達と一緒にバビットを教会まで連れて行った。


 他の人も町の人全員で教会まで運んでいく。


 教会は住宅街の奥の方にひっそりとあった。


 そこには神父がおり、回復属性魔法をかけて治療をしていた。


 中は血のにおいで溢れており、どこか衛生的に良くないような気がする。


 怪我人が多いから仕方ない。ただ、入院している時に、看護師が血が付いたものは別に廃棄すると言っていた。


 この世界に感染症という概念がないのだろうか。


 バビットが治療してもらっている間、俺は特にやることもなく周囲を見渡していた。


 まだまだたくさんの人が血だらけで倒れている。


 俺は近くにあった樽を持って、井戸に水を汲みに行くことにした。


「おい、ヴァイトどこに行くんだ?」


「あいつのやりたいことをさせておけ」


 住宅街なのもあり、井戸はすぐ近くにあった。


 そこから水を汲み取って、教会に戻るとブラシを使って床についた血を洗い流していく。


「ほら、また自ら社畜になってるだろ……」


「ヴァイトらしいというのかね」


 そんな俺を三人は優しく眺めていた。


 我ながら店の掃除に慣れているからか、簡単な掃除ならすぐに終わってしまう。


 普段であれば、その場所に向かったり、きっかけがあったタイミングでデイリークエストが発生する。しかし、今回は何も聞こえなかった。


 俺には教会での仕事が向いていないのだろうか。


 掃除を終えた俺がバビットのところに戻ると、治療はすでに終わっていた。


「お祈りをしてから帰ろうか」


「お祈りですか?」


 どうやら治療のお礼にお布施をして、神に祈りを捧げるらしい。


 どこかお参りに近いイメージだ。


 大きな女性の石像の前に片膝立ちで座り、手を組んで祈りを捧げる。


【デイリークエスト】


 職業 聖職者

 1日1回神にお祈りをする 1/1

 報酬 ステータスポイント3


 祈りを捧げ終わると、目の前には半透明の板が現れていた。


【デイリークエストをクリアしました】


 今回のきっかけは神に祈ることだった。


 新しい職業体験ができることを知った俺はウキウキしながら、お店に帰ることにした。


「なぁ、あいつこれから仕事する気じゃないのか?」


「あー、まだ営業しないって伝えてなかったわ」


「それは早く言わないとヴァイトは悲しそうな顔をするだろうな」


「あいつは社畜だもんな……」


 さぁ、夜の営業が終わったら今度は何をしようかな。


 ♢


「咲良ちゃん今日も学校休みかな?」


 私は親友の家の前で、親友が出てくるのを待っていた。


――ガチャ!


「咲良――」


「奈子ちゃんごめんね。咲良まだ体調が悪くてね」


「ああ、そうですよね。毎日寄ってすみません!」


 私はすぐに頭を下げた。


 いつも一緒に登下校していたから、自然と寄るのが当たり前になっていた。


「奈子ちゃんは気にすることないのよ。お兄ちゃんが亡くなってから、咲良の中で何かが失ったんだろうね」


 そう言って咲良のお母さんも寂しそうな顔をしていた。


 咲良の兄はこの間病気で亡くなった。


 私も数回しか会ったことはないけど、その時は車椅子に乗ってニコニコしていたというイメージしかなかった。


「お兄ちゃんのこと好きでしたもんね。ゲームも一緒にやるって……」


「奈子ちゃんも一緒にやるつもりだったんでしょう?」


「今日から配信開始だったんです。よかったら咲良にゲームで待ってるよって伝えてください!」


 私はそう告げて学校に向かった。


 今日から楽しみにしていたVRMMOのゲームが配信される。


 今までと違うのはあらゆる感覚が共有され、もう一つの世界があるような感じがするという点だ。


 触ったものが熱いか冷たい、転んだら痛いなど、全ての感覚がわかるようになる。


 それにゲームに出てくるNPCもAIが搭載されて、様々な環境で学習して本当に生きているように感じるらしい。


 咲良はその世界なら、お兄ちゃんが自由に生きていけるとよく話してくれた。



 学校が終わった私はすぐにゲームをダウンロードして、開始するのを待っていた。


 今夜の日本時間19時になったら、全世界で同時に開始される。


「まずははじめの町に行って、二種類の職業を決めないといけないんだよね」


 私はヘッドギアの形をしたゲーム機を装着して、ベッドに横になる。


 事前にゲームのシステム確認とキャラクターカスタマイズは済んでいる。


 様々な種族、性別、身長、体重、見た目を選ぶことができる。


 これを決めるのに3日はかかった。


 その理由はキャラクターが一種類しか作れないからだ。


 ゲームの中でもリアルを再現するために、キャラクター作成は1体までとなっている。


 表示されるカウントダウンが少しずつ進んでいく。


――18:59:57


――18:59:58


――18:59:59


――19:00:00


【夢のファンタジー世界にようこそ!】


 私はゲームの世界にログインした。


──────────

【あとがき】


 ひとまずここまで読んでいただきありがとうございます。


 次からVRMMOの世界とリンクしていきます!


 少しずつヴァイトが変な方向で活躍しますので、引き続き気になった方は読んでいただけると嬉しいです!


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