おじいさん

紫閻-sien-

《PM 19:00頃》コンビニから出てきた一人の男

ふと 人の気配を感じ横を見ると 店の角に人影が見える

近寄るとおじいさんが蹲って座っている


「大丈夫ですか?」おじいさんに話しかける男


その声に顔を上げ

「大丈夫です すいません ご心配おかけして・・・」


そう言い立ち上がろうとするおじいさん


立ち上がろうとするのを制止し

「無理しないでください もし良ければ送りますよ」

おじいさんに背を向けしゃがむ男


「親切な方だ なら お言葉に甘えて」

男におぶさる おじいさん


「家はどちらの方ですか?」


「右に曲がってスグです」


「同じ方向ですね では行きますよ」 歩き出す男


「有難い ホントに親切にしてもらって」

背中の後ろで笑顔でそう言うおじいさん


だが 歩いてすぐ異変に気づく


(あれ?重くなってないか) 思わず立ち止まる男


「どうしましたか?」 不思議そうに尋ねるおじいさん


「なんでもないです」


気のせいかそう思い また歩き始める


が、歩けば歩くほど おじいさんがドンドン重くなってくる

まるで岩でも背負ってるような


(ダメだ これ以上 進めない)

そう思い おじいさんに声を掛ける


「あの・・1回・・降りて・・もらえ・・ますか」


すると おじいさんは先程と違い 低い恐ろしい声で

「家まで送ると言ったじゃないですか

まさか気が変わって置いていく気ですか?」そう答えた


と同時に 男はおじいさんに潰されるように倒れ込む


翌朝 苦悶の表情を浮かべた男の遺体が

コンビニから程近い路上で見つかった


男の周りには通報で駆けつけた数名の警察官と

騒ぎを聞いて駆けつけた野次馬


そして その野次馬の中に

あの おじいさんが不気味な笑みを浮かべて立っていた








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おじいさん 紫閻-sien- @sien702

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