彼女は異なもの味なもの。〜まじ幽霊ってか?〜

猫野 尻尾

第1話:神も仏もあるもんか。

第31回電撃大賞 電撃小説大賞 応募作品です。


「あんたまた、しなびたナスみたいに玄関に座り込んで・・・」

「しっかりしなさいよ、学校休んじゃダメよ」


「わ〜ってるよ・・・でもやる気出ねえんだ・・・」


「金玉ついてるんでしょうが・・・情けない」


「姉ちゃんには俺の気持ちなんて分かんねえんだよ」


「なんだと?」


「姉ちゃんは彼氏もいないし、好きな人に死なれたことないだろ」


「バカかおまえは・・・いつまでも亡くなった子の悲しみに囚われやがって」

「ヘタレ、まじで女々しいわ」


そう言われて俺の頭の中でゴールデンボンバーが歌ってた。


俺の名前は「遥 叶多はるか かなた」高校一年生。

姉ちゃんの名前は「遥 望美はるか のぞみ」大学一年生。


俺は姉ちゃんが大学に入学することを気に一緒に上京してきた。

だから今は賃貸マンションで姉ちゃんと二人暮らし。


なんで俺が朝からヘタレになって姉ちゃんから叱咤しったされてるかって

言うとだな・・・


俺の同級生の彼女「恋人」が、自分ちの風呂場で石鹸ふんずけてすべった拍子に

後ろにずっこけて頭打ってあっけなくあの世に行っちゃったんだ。


俺から大事な子を奪いやがって・・・神も仏もあるもんか・・・。


彼女の名前は「茲沢 瑠奈ここさわ るな」クラスでもトップクラスの

めちゃ可愛い女子高生・・・だったんだ。


実は俺は高校に入学した時、一目で好きになったのが茲沢 瑠奈ここさわ るなで、でも好きだって告る勇気が持てなくて彼女から「ごめんちゃい」って言われる

のが怖かった。

そんなことになったら瑠奈るなとは永遠に距離が遠くなるって思った。


瑠奈はどっちかって言うと、おっとりした性格でのんびり屋、物事に深く拘らない

タイプ、ポジティブ、ノー天気、天然、ちょくちょくボケをかます。


俺はそういう子がタイプなんだ。

俺がどっちかって言うとイラチだから、タル〜い子のほうが癒されるんだ。


そんな折、瑠奈の一番仲のいい「道野 早希みちの さき」が俺のところに

来て 瑠奈が「話があるから屋上に来てほしい」って言ってるからって言ってきた。


瑠奈が?・・・俺に?何の用?・・・俺、彼女になにかしたか?・・・。


俺がドキドキで屋上へ行くと、先に瑠奈が来てて俺に気づくと笑顔で ペコって

お辞儀した。


すこし離れたところから見る彼女の立ち姿。

風になびく長い髪・・・眩しすぎる笑顔・・・揺れるスカート。

俺の目の中で切り取った彼女の完璧なベストショット。


「ごめんね、はるかくん・・・呼び出したりして」


「ああ・・・別にいいよ・・・なに?俺に用って?」


とぅ〜び〜こんて乳。


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