第8話 初授業

 今日から本格的に授業が始まる。

 ボクとアリアはそろって登校した。

 校門にはアマデルが仁王立ちをして待っていた。

「あ!二人とも来ましたわね!おはようございます」

「おはよう、アマデル」

「おはようございます、アマデル。ずっと待っていたんですか?」

「2人が登校してくるのを使用人に確認させて、2人が到着する少し前ぐらいでつくよう調整しましたわ!ですのでそんなに待ってはいないので気にしないでくださいませ」

 いやいや、待ってはいなくてもわざわざ使用人に確認させるなんて。お金持ちってすごいなぁ。

「よかったら一緒に行きませんか?」

 アリアの提案にアマデルは大きくうなずいた。

「ええ、もちろんそうさせてもらいますわ!そのために調整したんですもの」

「じゃ、行こうか」

 ボクたちは一緒に教室へと向かった。

「今日の授業って何でしょうね」

「詳しくは知りませんが、例年通りだと班での連携アップのための野外実習のはずですわ」

 へー、野外実習かー。どこでどんなことをやるんだろう。

「まぁどんな授業であってもわたくしたちにかかれば余裕ですわ!」

 相変わらずすごい自信。人の上に立つような存在を目指す人ってこれくらいの自信があるものなのかな。

 そんなことを考えながら、しばらく教室で待っていたらルーベン先生がやってきた。

「それじゃあ授業を始めます。今日の授業は班の人と一緒に野外実習を行ってもらいます」

 アマデルの言った通りだ。

 たしかにアリアとはともかくアマデルとはほとんど連携が取れないだろうし、それはほかの班も同じだろうから、最初に班での連携アップを求めるのはあっているかもしれない。

「場所は学校の裏にある森で行います。詳しい説明は向こうでするので皆さんは移動してください」

 先生の話は終わり、ボクたちは授業の場所に移動した。

 ほかのクラスとの合同授業らしく、クラスメイトの人以外の人も多くいた。

「はいはーい、皆さんちゅうもーく。今からルールを説明しまーす。といってもルールはシンプル。班員と協力してメルミ花とホルル草を採取してくるだけです。ただし、生徒への攻撃は禁止です。早かった上位三班は表彰されます。ここまでで何か質問がある人はいますか?」

 手が上がった。

「魔物の危険性はないんですか?」

「この辺りは魔物がほとんどいません。また事前に私たちが点検しているのでその心配はないです」

 魔物か。師匠に教わった内容だと確か人類とは違う生き物が魔力を帯びたことによって生まれた生物だったはず。

 ただの魔物ならまだいいけど、知恵を持ち独自に進化した魔物は、魔曲師でも命を落とすことあるって言っていた。

 まぁこの授業は毎年行っているみたいだし、そこで先生たちが魔物の危険はないというのなら大丈夫だろう。

 また別の人が質問をした。

「範囲はどこまでなんですか?」

「この森一体、と言ってもわかりにくいので、森には事前に魔法で結界が貼られています。これをこえたら警告が出るでこえないようにしてください」

 ほかに質問がある人はいないようだった。

「それでは今から誰か一人班長を決めてください。決まった班長は担任の先生から地図と回復薬を受け取りに来てください」

 ボクたちの班からはアマデルが「私が行ってきますわ!」といって受け取りに行った。

 たしかに彼女は人を引っ張るのが好きみたいだし、班長にはあっているかもしれない。

「では皆さん、スタートです!」

 いよいよ始まった。さてボクたちの班はどれだけ早く戻ってこれるかな。

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