第2話 魔法の音楽
目が覚めた日の夜、突然鳴り響いた音でボクは目を覚ました。
この音は・・・フルートの音色?
でもいったいどこから。外からかな。
窓の外を見てみるとアリアさんとヨハンさんの姿が見えた。
気になって外に出るとヨハンさんがボクに気づいた。
「ああ、すまん。起こしちまったか?」
「なにか音がしたんですけど、何かあったんですか?」
「師匠に修行をつけてもらっていたんです」
離れたところにいたアリアさんがそう言いながら近づいてきた。
修行?武術か何かだろうか。
でも二人とも何か持っている様子はない。そもそも武術でフルートの音なんてしないよね。
ボクが疑問に思っていると、ヨハンさんが「もしかして」と口を開いた。
「カナデは魔法を知らないないのか?」
魔法?ファンタジーに出てくるあの魔法のこと?。
作品の中でなら見たことはあるけど現実ではないなー。てかそもそも実在するものだっけ?
「見たことないです。どういうものなんですか」
「あー・・・口で言うよりも直接見たほうがわかりやすいだろう。アリア、今やったことをもう一度やってみろ」
「はい!師匠」
アリアさんは少し離れたところに移動した。
そして右手を掲げたかと思うと・・・突然音が鳴りだした。さっきと同じだ!でもいったいどうして・・・
さらに驚いたことに急に風が彼女のほうに集まりだした。
これが・・魔法?
「どうだカナデ。これが魔法だ。魔法は各々のイメージを体にある魔力と音楽を媒介にすることによって具現化するものだ。そして魔法を使うことを生業とする者を魔曲師と呼ぶんだ。ちなみにカナデが寝ていた部屋にも魔法が使われてたぞ」
あのピアノの音色って魔法だったんだ。どうりでなんだか癒されると思ったわけだ。
「そして師匠は元魔曲師で私はその師匠から魔法を学ぶ魔曲師見習いというわけです」
戻ってきたアリアさんそう付け足した。
「お疲れさん。さっきのはなかなかよかったぞ」
「ありがとうございます、師匠」
「それから、最初にあったとき言い忘れていたが、もしかしたらカナデは別の世界から来たのかもしれない」
別の世界⁉ここは異世界ってこと?そんなまさか⁉
でも確かにそれなら今までの疑問も理解できる。
ヨハンさんは話を続ける。
「実は大昔の魔曲師が別世界とつながる魔法を使用し、世界間を移動したという伝承があるんだ。いまでこそただの伝承に過ぎないが、その魔術師の功績などから本当の話とする人も多いんだ」
「ヨハンさんはその話を信じているんですか」
「信じるも何も今こうして目の前に別の世界から来ただろうカナデがいるわけだしなぁ」
それにしても異世界か。そんなものが本当にあるなんで思わなかったなぁ。
これからどうしよう。といっても戻る方法は分からないし。
どうであれ生きていくしかないもんな。
ボクは一つの決意を固めた。
「あの、ボクでも魔曲師になることはできますか?」
ヨハンさんは面を食らった顔をした。
「カナデも魔曲師になりたいのか?・・・まぁいいか。これも何かの縁だ。よし!アリアと一緒に教えてやるよ。これからカナデも俺の弟子だな!」
「はい!よろしくお願いします師匠」
アリアさんがうれしそうな顔をしてボクのほうを見た。
「カナデくんも魔法を学ぶんですか?じゃあ私とおそろいですね!」
アリアさんは右手をボクに差し出した。
握手ってことかな
ボクはアリアさんの手を取って握手をした。
「そうなるのかな。よろしく、アリアさん」
「私のことはアリアでいいですよ」
「じゃあボクのこともカナデでいいよ」
「よろしくおねがいします、カナデ」
こうしてボクは師匠から魔法を教えてもらうことになった。
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