IAPダンス力チェックwithうらら④ #うららを本気にさせる方法 【後半ガチ回】
「ここからは後半戦!
なんだけど、不安なメンバーが続きます……」
「残ってるメンバーは!!…………あ、あぁ…………」
「まずは不安要素その1。
病弱な身体でよくこのダンス企画受けてくれましたね、無理しちゃだめですからね!?
感情ボルケーノ、若村つぐみ!!」
「大丈夫?倒れたりしない?」
「曲は―――『アイドルラ◯フスターターパック』…………数年前にTikT◯kで流行ったやつですね……」
「サビで振りコピ!めっちゃ振りコピっ!!」
《つぐみ、セーラー服で全力オタ活ダンス中》
「すっごく楽しそうだ……」
「オタ芸にガチみを感じた!!制服も似合ってて、文化祭で踊ってそう!!息があがらないように省エネに努めてて、その点も偉い!!」
「あー……確かにこの人は文化祭でこういうのやってそうだけどさ……」
「ん?」
「この人アラサーだし、学生時代は相当昔なわけ」
「そーだね!年の功ってやつだ!」
「しょーじき言っていい?
―――無理して若ぶってんのキツい……。どこぞの船長とかポニーテールの四十とかと同じ匂いがするのよ……」
コメント
・草
・制服で草
・30オーバーがセーラー服着んな
・若作りすんな、見苦しいぞ
・そういうの着るのは旦那とのエッチだけにしろ
・オタ芸上手いの何
・あー、こういう変なジャンルにハマった過去あるんやろなぁ……
・まぁ想像はつく
・楽しそうだからまぁセーフ
・年増キャラ出すなよwww
・船長出したの草、反則やろ
・の◯りんとか何年前やねん
・の◯りんじゃなくて、り◯うおうのおしごとパロれよ
・アレは現実が創作超えてるから…………
「次。不安要素その2。
ヒキニートがダンスなど踊れるはずもなく。けど生態がぼ◯ちちゃん寄りだからワンチャン秘めた才能とかないかなぁ……?
リアルぼ◯ちちゃん、辰海珠姫!!」
「たまちゃん!!ぶっ倒れちゃダメだよ!!」
「曲は―――『One N◯ght Carnival』…………っておい!!なにやっとんねんあんた!!」
「氣◯團だ!!ヤンキーだ!!」
「マイクの前でパラパラするだけじゃん!!ヤンキーキャラを生贄にするくらいダンス嫌なの!?」
「愛璃、私んとこ来ないか?」
《たまちゃん、マイクの前でガチ熱唱。ダンスは二の次、まるでカラオケ》
「フリーダムだ…………。この事務所ほんとフリーダムだ…………」
「愛璃は私のエンジェルだよ!」
「ダンス企画って言ってるのに、まともに踊ったのグミちゃんるる姉若奥様で、半分もいない…………」
「恋しているのさ!愛璃に恋してるのーさー!!」
「ラップ、ミュージカル、カラオケ…………ほんとどうなってんのよ!?」
「行こうぜ!!2人で、ピリオドの向こうへ!!」
「あと隣で愛を叫んでる女は今夜抱く」
「ふー!!」
コメント
・草
・氣◯團チョイスで草
・どう見てもヤンキーで草
・そんなに踊るの嫌ですか……
・感情ガチガチに籠もってて草
・一応パラパラはちゃんと踊れてるの笑う
・踊るのが嫌いなだけで苦手ではないんやなと……
・おい歌うの集中して踊りを放棄するな
・目的履き違えんなって……
・ほんとこの事務所終わってますわ……
・何?自由人しか居ないの?
・踊ったまとも組ですら、るる姉と若奥様はネタ曲な模様
・うらら、さっきからお前ずっと告白してんな
・いい加減恥を覚えろ
・てぇてぇの過剰供給
・江戸川、お前配信で抱く宣言すんのかよ
・はいはい、結果報告よろ
「ねくすと!!不安要素その3!
社畜陰キャゲーマー…………というより運動習慣つけようね!!
働く女の味方、井ノ内まもり!!」
「私も1番心配してるよ!」
「踊るのは…………………マジ?この娘ぶっこんできたね……」
「ん?なんだなんだ!?」
「曲は―――
『最強!あたしらツイキュア』」
《まもり、ツイキュアダンスを披露》
「…………やるじゃんまもり」
「え!!すごいよまもり!!カラオケの時と全然違う!!」
「うらら的にはどう見える?」
「うーんと……もちろんダンス歴が浅い分の技術の拙さは見えるけど、練習量でカバーできてる!!努力の証だ!!」
「…………ちなみに、どのくらい努力したと思う?」
「とんでもないよ!!
カラオケの時のダンススキルから考えると……この間のレッスン開始から、毎日4時間しても足りないくらい!」
「そっか。
…………ほんっと、あの子馬鹿だよ。馬鹿すぎんのよどんだけ努力に取り憑かれてんのよ…………」
コメント
・1番心配ですね
・カラオケでも下手くそ&体力ゴミカスって分かってるからなぁ
・ツイキュアで草
・激熱展開
・ここで伏線回収!?
・いや踊れてますやん
・ちゃんと上手い
・いや勿論るる姉やグミちゃんには負けるけどさ。ヒキゲーマーがここまで持ってきてるのがヤバい
・数ヶ月前から以上に進歩してやがる……
・努力の証
・いい顔してんねぇ!!
・うらら先生大感激で草
・モ◯エナ確定演出
・愛璃先生とのコントラストよ
・なんで江戸川は少しブルーなの?
・自分よりモテそうな相手を見つけたから
・草
「じゃあ最後。若旦那は今回お休みなので、トリはあたしだよ」
「やったー!!愛璃のダンス見れる!!」
「ちなみに、あたしは5曲をメドレーにして踊ってます。
それでは、ご覧あれ」
「どんどん!!ぱふぱふ!!」
《1曲目、スマイル動画で流行った有名ボカロ曲》
「懐かしい!!昔よく聴いてた!!」
「だよね」
「ダンスも上手い!!めっちゃうまい私より上手いんじゃない!?」
「そんなことはないよ」
《2曲目、9年前に流行っていたアイドルソング》
「これもよく踊ってた!!懐かしい!!」
「あたしも何回も見たから慣れてんのよ」
《3曲目、8年前にバズったアニメ映画のオープニング曲》
「うっわー!!これも映画見たし、いっぱい練習して踊ったよ!!昔思い出すなぁ!!」
「そりゃそうだよね」
「てかさ、愛璃」
「ん?なに?」
「―――これ、わざとやってる?」
「…………」
《4曲目、高校生の恋愛ソング制作集団が通学風景での恋愛模様を歌った一曲》
「あのさ愛璃」
「…………なに?」
「曲目、私が踊った曲から選んでるよね。私の再生数トップ5で縛ってるよね。
何より、踊り方も振り付けも細かいアレンジも何もかも、全部私と一緒だ。
絶対に、わざとやってるよね」
コメント
・うっわバチクソうめぇ
・何こいつクッソ踊れるやん
・急に魅力見せつけないでもろて
・これはガチ恋してしまう……嫌だ嫌だ…………
・時々見せる愛璃のガチ感、普段を見てなきゃ惚れちゃいますよ
・とんでもない練習量誇ってそう
・見るからに才能じゃなく努力で積み上げるタイプだもんな
・愛璃が持ってんのはクソ男を引き寄せる才能とカリスマになれる才能くらいなんで
・なんで全部懐かしチョイスやねん
・スマイル動画でバズった曲で固めてやがる
・木曜日のやっほーとか久しぶりに聴いたわ
・なーんか匂うなぁ…………
・若旦那のあの感じみたいな…………
・そもそもなんでダンス企画をうららじゃなくて江戸川が持ってきてんだよ
・おい、うららの声が完全に冷えてるぞ
・バチバチになってる
・見るからに出したことない声色になってるぞ
・愛璃が絡まなきゃ普段クソ温厚なうららが突然……
・え?一触即発?
…………コメント欄でもついに囁かれ始めた考察。
そしてそれ以上に、目の前の女は勘づいている。
この場に持ち込んだ、あたしの意図に。
そして、その疑惑は次の曲で確信へと変わる。
《5曲目、『最強!あたしらツイキュア』》
コメント
・ツイキュア!?
・ここで被りか
・一番気合入ってる
・アバターの表情から明らかに数段ギア変えてるのが分かる
・ほぼ完璧やん。文句ねぇよ
・てかさ、この選曲さ…………
・昔いた踊り手の女の子が踊った曲
・具体的に言えば、蓮本って踊り手の再生回数上位5曲
・ってことはまさか………
・うらら=蓮本はほぼ確定か
・うらら覚醒イベント!?
・だからこんなガチでダンス動画撮ったのか
・てか昨日までボクモンもやって予選全勝だぞコイツ
・どんだけ時間とバイタリティとエネルギーあんねん
・ハイスペックにも程がある
「愛璃、聞きたいことが2つ」
うららは、表情の消えた瞳で、顔で、あたしを見つめる。
「1つ。なんでこんなことしたの?」
普段の熱さを殺した声音、涙さえ乾いてしまいそうな渇いた声で、彼女は尋ねてくる。
「うららを挑発して、本気にさせて、皆の前で踊らせるため」
その氷の刃に、あたしは中に秘めし炎で応える。
「なんで私が本気じゃないって分かるの?
なんで私が皆の前で踊りたいって分かるの?」
うららは、また尋ねる。
「分かるの」なんて言ってる時点で、ほぼ答えは分かるようなものだが…………
あたしは、さらに核心をつきに行く。
「隠しても分かるよ。この家には、ダンスを撮る為だけに整備された部屋があるから」
そう。あたしが何度もうららの家に来たからこそ分かった事実。
この家には、隠された1つの部屋があり。
そこには、明らかにダンスを撮るためにカメラやマットが整備されている。
―――つまり、うららは最初から、皆の前で踊りたかったということ。
けれど、彼女の心には、どうしてもその熱を邪魔する過去が存在する。
皆の前で踊ることを、今の今まで拒ませていたものがある。
だからあたしは、その過去という氷を、炎の情熱で溶かしに来た。
「もう1つ。これは単純に踊り手として聞きたいこと。
この動画撮るために、どれだけ練習したの?」
けれどうららは、踊り手の本能もある様子で。
好奇の興味で、そんな事を尋ねてくる。
あたしはその質問に、何の気なしに返す。
「この前の格付け配信の夜から準備始めたから、だいたい1週間くらいかな」
うららは、驚いたようにさらに聞き返す。
「…………そうなの?1週間だと練習時間は限られてくるし、あのクオリティはプロじゃないと無理な気がするけど…………」
それに対しあたしは、うららの困惑に答えを出すように、当然のように答える。
「1日10時間くらい練習すれば誰でもあのクオリティになるって。
仕事を定時で上がって17時、ボクモンの大会に向けた練習が20時すぎまで。そこから翌朝6時までノンストップでダンス練習。睡眠は毎日1時間半。
うららを本気にさせたいなら、それくらいやって当然じゃない?」
そんなあたしの当たり前の回答に。
うららはマイクのスイッチを切り。
『少し話し合いの時間を貰います』とだけコメントを打ち。
あたしの目の前に迫り。
怒りの籠もった、それでいて泣きそうな顔をして。
―――思い切り、あたしの頬を叩いた。
「なんなのなんなのなんなのなんなの!?愛璃はなんでそうやって自分のこと簡単に犠牲にするの!?意味わかんない!!ほんっとに意味わかんない!!
アイドルの時からそうだった!!なんで自分の身を犠牲にして誰かの希望であろうとするの!?自分はどこにあるのさ!!愛璃の本当の気持ちはどこにあるの!?
いや分かるよ、確かに愛璃は皆のこと大好きな優しい人間だって分かるよ。けどさ、それは自分の身を犠牲にすることへの免罪符にはなんない!!
なんで睡眠時間1時間半なんて無茶すんの!?なんで仕事しながらそれ以上に練習するなんて無茶すんの!?他にも方法あるじゃん!!ボクモンに勝ちたいなら練習以外にもやり方はあるよ!!私を踊らせたいならダンス動画以外にも方法はあるよ!!なんで自傷行為しかやり方知らないの!?なんで自分を傷つけて危険にさらす方法しか選べないの!?
私はもう嫌なんだよ!!
愛璃が、花桜莉が、居なくなることが。
目の前の大切な人が、居なくなることが。
もう、嫌なのッ!!!!!!!!」
――――
以降数話、コメディ要素は一旦お休みです。
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