第18話 地図の場所

「何だろう……」

 朝食をみんなでとっていた時だ。

 サチちゃんのサーチが自動で反応した。

 大きな魔物か人間かが現れた時、自動で反応する……のだが、

 どちらでも無い……?

 しかも、この家の2階を示している??

 滅多に行かない2階だが、布団等を取りに、何度か足は運んでいる。

「危険は無さそう……」

 サチちゃんは言うが、

 護衛の亜美さん、家を知るソノちゃんを連れ、気になるモノを探しにサチちゃんが調べに上がった。

 ……すぐに降りて来た。

 白い箱を持っている。菓子折りサイズだ。

 すぐ開けようとしたのを亜美さんが制し、中庭に置き、慎重に開けた。

 びっくり箱?玉手箱?

 害のない、その中間のような演出だった。

 煙が少し舞い、中に入る大きさよりデカいモノが広がった。

 地図?

 まあ、折り畳めば、余裕で入る。勝手に広がった地図。

「港区、白金台……?」

 住所が、番地まで表記されている。

 個人の邸宅を示す地図、豪邸を指している。

「……ここへ行けってこと?」

 その時、

 着信だ。

 スマホが使えない異世界で着信があった。

 俺のでは無い。姉ちゃんのスマホだ。

❝彼女を助けろ!❞

 1行だけのメッセージ。

「何、これ?」

 アイツだ。俺たちの『所有者』と名乗ったアイツだ。

 俺は、以前もあったと、みんなに話した。

 LIMEのメッセージは消されている。でも俺ではなく姉ちゃんに送信したということは、話していいと言うことだろう。

 もちろんみんな戸惑ってはいたが、思ったよりあっさり受け入れた?みたいだ。

 今まで連絡が無かっただけで、意図的な誘導は感じていた。

「行きましょ。」

 ここから、展開が大きく変わる。

 俺たちはまだ知らない。

「白金、初めてだわ。」

「セレブ?彼女ってセレブかな?」

 別の意味で盛り上がる姉ちゃん達。


「防衛大臣?!」

 現実世界と交信できたので、住所の情報を調べてもらった。

「彼女って、防衛大臣?」

 何か、何となくだが、テンションが上がらない。

「防衛大臣は男性、加賀美よし…よし……加賀美よし太郎だったかな?」

 亜美さんの所属のトップ、名字と顔は分かるようだが、フルネームが出て来ない。

「じゃあ❝彼女❞って?」

 誰を❝助けろ!❞なのかは、ヒナタさんの父親が調べてくれている。


 加賀美防衛大臣宅へ向かう赤井一佐。

 異世界組も車で向かっている。異世界との通信は、場所が近い方がいい。通信機を積んだ車両で部下とともに移動する。

 防衛大臣、一応は直属の上司、一目見た程度の存在だが、他の大臣よりは接触しやすい。

 幕僚長経由でアポを取る。

 意外と早く許可が下りた。すぐ会えるという。

 何故かは、現地へ行って分かった。

 赤井一佐1人だけ屋敷へ通された。

 中には、警視庁のチームがいた。

 娘が行方不明だという。誘拐も考え、警察が待機していた。

 しかし、未だに連絡がない。消えた原因も足取りも掴めない。

 そこへ、陸自幕僚長から連絡、藁をも掴む気持ちで面会。

「その異世界とは、本当なのか?」

 赤井一佐に問い詰めるのは、防衛大臣よりさらに大物、大物中の大物、元総理大臣『国木田 大善』。政界のドン。

 消えたのは、大物の娘、そして、超大物の孫娘だった。

「はっきりしたことは分かりません。お嬢様も向こうにいるかも不明です。

 ……しかし、向こうで得た住所の情報がこちらの邸宅でした。偶然とは思えません。」

「そうだったとして、孫を救い出せるのかね?」

「……それも分かりません。

 向こういる者たちに任せるしかありません。」

 希望となったかは分からないが、事実が伝えられた。

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