転生したら種でした〜スローライフを送ろうと思った俺はやがて野となり山となり世界樹となりなんやかんやでTSロリとなる〜
まっしろたまご
一章 目覚め、育ち、旅立ち。
俺氏、大樹となる。
吾輩は種である。
名前はまだない。
運悪く交差点に突っ込んできた黒塗りの高級車にはねられ、クソラノベみたいな転生のしかたをした。
なんか、『あー。死んだなー』って思ってると、神を自称する存在に話しかけられたから、せっかくだしなんかファンタジーな世界で鳥とか小動物とかに囲まれてスローライフを送りたいって願っておいた。
次に目を覚ますと……いや、目っていうか目はないんだけど、物を考えられるようになった時にはもう種だった。
ご丁寧に三人称視点から自分を観察できる能力的なのまでセットで。
動けません。
しゃべれません。
いや確かに小動物とか鳥とかには囲まれてるんだけどさ。
時間ゆっくり進んでいってるスローなライフだけどさ。
違うと思うんだよ。
もっとなんか田舎に転生して、ケモ耳美少女とかテイムしながら無自覚チートする感じのアレじゃん。あまりにもスロー。流石にあんまりなわけだよ。
そんなわけで俺は頑張って神を自称する何かしら(これを存在Xと仮定はしない)にコンタクトを取ろうとしてみた。
さながら宇宙人に念力を送るあやしい超能力者のように。
すると、なんと俺が埋まったはずの場所から芽が出た。
すっごい可愛い双葉。いや馬鹿か。木としての一歩を踏み出してるんじゃないよ。立派に若々しく光合成しやがって結構気持ちいいなこれ。いや馬鹿か。
そんなこんなで俺は気づいた。こう、『うおおおお』って感じで背を伸ばすと、面白いぐらいニョキニョキ伸びていくのだ。
暇で暇でしょうがなかった俺はとにかく伸びた。伸びて伸びて伸びまくった。
幸いそれ以外にすることもなかったし、雨が降って太陽が出てを繰り返すだけで幸せになれた俺は安心して成長を続けた。
好きなだけ寝て、気の向くままにニョキニョキして、光合成してまた昼寝。なかなかに悪くない生活じゃないか。特に現代日本で荒み切った心にはよく沁みる……なんだか心が温かくなるな。
毎日毎日飽きもせず葉を伸ばし続けた俺は、いつしか森の中でも一番の大樹へと成長していた。枝の間には鳥さんが住み着き、小動物もよく見かける。ただ一つだけ気になることがあるとすれば、せっかく美味しそうな実をつけてやったのに誰も食べようとしないこと。
いやー悲しいなー。誰か食べてくれないかなー。お、猿よ。その木の実を手に取るとはお目が高い。それは俺的にもかなりの力作で———って、投げるなーー!!捨てるなーー!!取ったならちゃんと食べろよーー!!
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