K-9
強面紳士
猟犬
#0
灰と煙が立ち込める広々とした大地。
辺り一面に灰が雪のように舞う。
焦げついた衣服が所々に散乱し、灰塵が積もる。
灰の中には人の形に見えるようなものもある。
そして、焼け焦げた匂いが鼻を刺す。
灰と煙の中に銀色の眼をした大柄な男が膝をついているのが垣間見えた。
彼は、横たわる女性を抱き抱えている。
女性の身体は灰に塗れ、グッタリしていた。
男の隣には、寄り添うように片膝をついて彼の肩に手を置くスキンヘッドの巨漢。
煙を払いながら目元を抑えている。
女性を抱き抱える銀眼の男は、力無く肩を落とし項垂れていた。
不意に、銀眼の男が顔を上げる。
彼の瞳は鋭く光り一点を見つめていた。
それは諦めと決意が入り混じったような力強い眼差しであった。
その直後、二人は背後に何者かの気配を感じる。
気配の方へ振り返ると、黒い影が二人に向かって襲い掛かって来た......。
--
「......!......ボス!!」
「!?」
男はハッと我に返る。
「大丈夫?」
彼の後ろから女性が声を掛ける。
「ああ、何でもない......」
男の名は
ゆるやかな癖のかかった黒い髪と整えられた顎髭、銀色の眼に彫りの深い強面が特徴的な色男。
ブルゾンを羽織っていても分かる程、鍛え上げられた筋骨隆々な肉体を持つ。
黒い服で身を包んだ彼は、左手に手斧らしき得物を構えている。
「遅れて来た割りには余裕だな」
スキンヘッドの巨漢が紫乃介の隣に立つ。
肩からアサルトライフルを提げている。
彼は
スキンヘッドは言わずもがな、浅黒い肌に二メートルはあろう長身体躯と、紫乃介以上の筋骨隆々な身体を持つ巨漢だ。
二人の後ろの影から三人の男女が現れた。
全身黒い服に身を包み、手に武器を構える。
「さっさと終わらせようぜ、ボス」
紫乃介に声を掛けた彼は
プラチナブロンドの短髪に爽やかで整った顔立ちと均整の取れた身体付きをした青年。
両手にトンファーを構えている。
彼の隣には小柄な女性が立っていた。
「斥候は......任せて」
彼女は
プラチナブロンドのボブで、整っているがあどけなさの残る童顔をした華奢に見える小柄な女性。
物静かな印象だが、携えた二本の釵をジャグリングのように扱っている。
「トオルさん、武器で遊んじゃダメですよ」
透を注意しながら付いて行く精悍な女性。
注意された透はすかさず釵を隠した。
彼女は
艶やかなブラウンの髪を結い上げた、背が高くスラッと引き締まったスタイルで目鼻立ちのハッキリした精悍な顔立ちの美女。
背丈ほどの棍棒を携えている。
全員がビルの屋上の縁に並び立ち街を見下ろす。
夜の街はネオンが煌々と輝き喧騒が聞こえる。
『通信です』
不意に聞こえて来る女性の声。
全員が片耳のイヤホンを抑える。
声の主はS.A.R.A.。
正式名称はStrategic Autonomous Response Assistant。
自律型の人工知能である。
『状況を報告してくれ』
トーンの低い渋めの声色の男性が尋ねる。
紫乃介がそれに応えた。
「K-9、現着」
K-9 強面紳士 @kowashinRG91
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