強力施錠

シーフの極意

　あれ？

　この鍵、魔法がかかってる。

　困ったな。

　ピッキングでは開かない。

　ねえ、魔法使い。

　鍵開けの魔法をかけて？

「また？」

　えー。

　この扉開けたくないの？

「魔力節約したいのよ」

　はあ。

　あのさ。

　私に鍵開けの魔法だけ教えてくれない？

「駄目」

　なんでよ。

「金貨８０万枚」

　えー？

　仲間から金取るの？

「６年かかるからよ」

　はー。

　あっそ。

　私は努力してると言いたいわけか。

　何様よ。

「あのね。魔法って魔法文字を覚えるところから始めるの」

　ふーん。

　あー。

　この扉の向こうに何があるか分かる？

「透視の魔法は、もっと魔力を使う」

　ふーん。

　壁をぶち壊せない？

「遺跡の柱を壊す阿呆がおるか」

　そう。

　まあね。死にたくない。

　あー。どうしよう。

　うん。

　良く考えれば、おかしいのよね。

　遺跡の部屋の扉に鍵？

　全ての部屋に違う鍵を用意するの？

　普通使い回すでしょう。

　てか、入口にかければ充分でしょう。

　一度鍵の仕組みが分かったら、全部の鍵を開けられるはずなんだけど。

　うん。

　あのさ。魔法使い。

「何よ」

　天井に、私たちの様子を監視する魔法とかかかってない？

「え」（第１部完）