【求】幸せ【譲】常識

@yuzukarin2022

第1話 俺がアニメを求めた理由

アニメ会社に、ちんまい竜人としか言いようがない生物が来ていた。

ざわざわと人々は様子を伺っている。

突如として現れた竜人は、受付へとテチテチと歩みを進めた。


「いっいらっしゃいませ!」

「我が名はソラ。偉大なる竜人である」

「はい」

「我が名はソラ。偉大なる竜人である」

「はい」

「名乗られたら名乗り返すのが礼儀では?」

「すっすみません! 私は受付の涼宮 可憐です!」

「うむ、可憐。我は求め訴える。あらゆる人々がひれ伏すような、我が主人の偉大さが即座にわかるようなアニメと映写機を。代価としてこれを捧げよう」


 ソラが空中に手を突っ込むと、ゴロリ、と凶悪に光る紅い石を転がせる。


「ピャッ ええと、アニメですか?」

「うむ。偉大なる我が主人は魔法学校の校長をする事となっている。その魔法学校の入学式で流すのだ。来年8月を目処にしてほしい。一月は字幕を入れるゆえ」

「ええと、一年後という事ですね。資料はありますか? ご主人様の写真とか、どんなアニメにしたいとか」

「うむ。我が偉大なる主人の絵を描いてきた」


 そして出された絵は、幼稚園児の絵だった。とりあえず、赤毛で竜頭ではなく、人間らしい事はわかったがそれだけだ。後、得意魔法は炎らしい事もかろうじてわかった。


「ううん……」

「そなたら、イケメンとえっちな美少女を描かせたら右に出るものはいないプロだろう。なんとかならぬのか。日本語で良いのだ。字幕を入れるゆえ。ああ、文字はこちらで書くゆえ、字幕を入れる作業は頼む」


 なんとかなるわけがない。しかし、受付嬢の可憐は機転が効いた。


「入学案内なんですよね? ならば、ご主人様の偉大さを示すより、ご主人様が生徒に何を望んでいるかを示した方がいいのでは?」

「ほほう?」

「色々な生徒が、魔法を学んでいる所とか……」

「なるほど……ならば、宮廷魔術師っぽいのが良かろう。我が主人が指導するのだ。それぐらい成り上がって貰わねば困る。魔法! 有能! イケメン! 美少女! えっち! 派手! 国と王子への忠義! 感動! こんな感じで1時間ほどのサーガが良い」

「えっち必要ですか」

「全年齢で頼む」

「それがいいですね」

「では、頼んだぞ、成功報酬は弾むゆえ。また来る」


 そうして、竜人は消えてしまった。


「ひゃっ」


 後には、ありえないくらい大粒のルビーが残されていた。












気がつけば、俺は転生していた。後、ちんちんついていた。

同メーカーの三つのゲームの能力を持って転生していた。これが俺のチートである。

エネルギーをコインにして、燃料化。船を運用する方舟オンライン。

魔法の研究をする、魔女魔女オンライン。

竜の力で冒険する、ドラゴンオンライン。


魔核と船核、竜核の三つを持っており、これで生成したエネルギーを船核でコインに変換。それで船を建造したり、魔法を使ったり、体を強化したり出来るのだ。


コインには複数あり、純粋なエネルギーのコインはロスが多く、例えば炎属性の魔力コインなどの特殊コインは使い道が限られる分、ロスが低い。


それぞれの世界に行ける上、基礎知識も刷り込まれているのが嬉しい。

おまけとばかりにいろんな種類のコインや核のセットまでプレゼントとして貰ったから、大喜びだ。


チートもチート、超チート。


……とはいえ、赤子のうちに捨てられてはどうしようもない。


とりあえず、転移で一番なんとかなりそうな魔女魔女オンラインの世界に行って泣いてみようか。










 ということで、新たな家族を紹介するぜ!

 カイル様! イケメンの色気たっぷりのおにーさんだ! まるで炎の妖精と言われても信じそうなぐらい、イケメンで線が細くて見事な赤毛で炎の魔法を美しく使うのだ! 完全に男であることを受け入れている俺だが、イケメンを喜ぶ心はまだ残っている。

 20歳の時に冒険者ギルド床で泣き喚いていた俺を拾ってくれた。大好きな俺のご主人様だ!

 魔力過多症だったのだが、俺が一才の時、魔力を船核を埋め込んで元気にした。

 船核は余分なエネルギーをコインに変換できるからな。

 小さい頃は戦場に行かされていたが、今はコインを生み出す商業神の聖人的扱いだ。もちろん、同じ魔力過多症で戦わされていたカイル様の友人達も皆助けた。

 こんな事で救われた恩を返せるとは思わないが、それでも親孝行できたと思うと嬉しい。

 そんなカイル様だが、無事戦争が終わった為、魔法学校の校長先生になる事になった! 若いのにすごいぞ、さすがだ!! 短命だが武門の名家の貴族だからな、カイル様は!


「カイルしゃま! 凄いの!!」

「カイルでいいって言ってるだろ? でも、僕が何かを人に教えるなんて……。人前での演説も苦手だな」

「ソラに任せるの!! カイルしゃまの偉大さを知らしめるの!」


 俺は張り切って準備をする事にした。

 人間の姿でいくと、現代世界にお忍びで旅行出来なくなるかもだからな。

 竜核コインを使って、竜人の姿で行くとしよう。

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