悪役令嬢アレグリアの本望
望月燈
婚約破棄
第1話 婚約破棄 前編 絶望
つい
敵意をむき出しにする婚約者、婚約者にエスコートされている見知らぬ少女、そして貴族たちの視線がアレグリアを苦しめる。
貴族学園の大広間で開かれている、このきらびやかな卒業パーティーの主役、
「聞いているのか、アレグリア」
「…なんでしょう、アルフォード
「私はお前との
アルフォード王太子は鋭い目つきでアレグリアを睨みつける。
「すがって見せれば少しは
見慣れた冷たい視線で息が詰まりそうになりながら、アレグリアは違うと言いたかった。
好きで澄ました顔をしているわけではない。
アレグリアはただ、今にも
本当は感情のままに泣きわめき、今すぐに逃げ出したかった。
しかし、令嬢としての
アレグリアは震える喉で息を吸い、
「わたくしと殿下の婚約は、我がディアマンテ
「ふん、謝罪などするはずがないだろう。たとえ父上の思いを
アルフォードは
「真実の愛を諦めたくはないのだ」
真っすぐな瞳で青臭いことを言い放つアルフォードを、アレグリアはひどく憎らしく思った。
アルフォードの婚約者にされてからというもの、アレグリアはこの国の王妃としてふさわしく育つことを求められ、初恋も夢も諦めざるを得なかった。
多くの時間を王妃教育に捧げてきた。
それなのに、アルフォードは真実の愛を諦めたくないと
少女と迎える明るい未来を信じていられる
少女はと言えば、
少女の髪は特徴的なピンク色で、瞳は小動物のようにつぶらだ。
侍女の口からよく聞いていた“ひろいん”、リリーシェとやらは彼女なのだろう、とアレグリアは見当を付ける。
どうやら、彼女の
彼女は“王太子るーと”とやらを攻略中なのだろう、とアレグリアは思う。
身勝手なまでに自分に正直なアルフォードと、アレグリアが王妃になるためにしてきた努力を水の泡にしたリリーシェ。
二人を見つめるアレグリアの顔は
この二人はわたくしの人生を踏みにじって笑っているのに、どうしてわたくしは我慢しなくてはいけないの?
アレグリアは心の中で叫んでいる。
初恋の人と描く未来も、なりたい夢も諦めて我慢したのに、わたくしの我慢はどうして報われないの?
そう思ったとき、アレグリアはあることに気づいた。
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