第44話
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十月。
それは後期授業が始まる月である。
瑠衣も九月中には無事回復し、ミシェルさんの経過観察のもと退院した。
そんな瑠衣と大学で落ち合って楽しい時間を過ごすのも悪くないけど、心のどこかではケイオスがいないと思うと少し寂しい。
それもそうだ、ここ二ヶ月ほとんど一緒にいたんだから。
それでも頭を切り替えて授業に集中しないとな、と鞄から教材と筆記具を取り出していると声をかけられる。
「隣、良いだろうか」
あ、どうぞ。と返そうとして聞き覚えのある声にふと上を見た。
「!!?」
そこにはやっぱり見知った顔があって反射的に体が跳ねる。
一先ず手招きして相手を引き寄せて、耳元でひそりと声を出した。
「ちょっとどう言うこと? “ケイオス”」
私の言葉にケイオスは嬉しそうな笑顔で返してくる。
「教員に知り合いがいてな」
「だからってそんな融通効くもの?」
「でなければここにはいない」
ご満悦な彼に私は一つため息を着く。
まだまだ問題は山積みだっていうのに、と素直にこれからの大学生活に波乱を感じた。
続
君を召喚させない異世界魔法 三日月深和 @mikadukimiwa
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