大平和 幸福之助
権俵権助(ごんだわら ごんすけ)
第一話
彼の名前は
日本に一人しかいない、珍しい名前です。その名に反して、彼は平凡なサラリーマンでした。まじめに働き、ほどほどの年齢で結婚し、小学生の男の子をひとり育てています。
人からよく「名前負けしているな」と馬鹿にされますが、彼は自分の名前が好きでした。両親がつけてくれた大切な名前だからです。
ある朝、家を出た幸福之助は電信柱に黒いシールが貼ってあるのを見つけました。よくある光景なのにどうして目に留まったかというと、シールには白い大きな文字で「大平和 幸福之助」と書いてあったからです。不思議に思いましたが、会社に遅刻してはいけないので、無視して通り過ぎました。
仕事を終えて駅まで戻ってくると、家までの道のりすべての電信柱に同じシールが貼ってありました。驚いて一枚一枚剥がして回りました。翌朝になると倍の枚数が貼り直されていました。
誰がやったのか見当もつきません。そんなことをされる心当たりもありません。もう一度すべてのシールを剥がしましたが、翌日、三倍になって戻ってきたことで、幸福之助は諦めました。
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