29.渋谷、混乱、午後一時。

 この日記は、基本的にリアルタイムの日付では更新されていません。

 メモに書き溜めたもので、少し間を空けて投稿しています。

 あまりにも薄暗すぎてボツにしたものもたくさんあります。

 そんな感じで、お楽しみいただけると幸いです。


 明日は、土曜日。

 ニジュウサンクにも雪の予報が出て、前日の夜から電車の一部運休が発表される緊張感をほんのりと見せていましたが、幸いにも予想は外れ大きな事故もなく世界はいつもの週末を迎えようとしています。

 警戒をして下さった皆様のおかげで、今日という当たり前の平穏を迎えることができてほっとしています。社会に感謝。


 今日は、朝から歯医者に行って買い物をしに渋谷へ行きました。

 ぬいぐるみとラインマーカーを三本買って、ついでに甘い期間限定のラテを飲んで、帰路に。

 実に平穏、充実した時間の使い方。

 この時は確かに、そう思っていました。

 昼過ぎのバスは人の気配もまばらで、一番後ろの席に腰を下ろし息を吐いた瞬間、それは突然やって来ました。

 待機中のバスのエンジン音、規則的な振動、ぽつぽつと見える乗客の後ろ姿、信号の切り替えと同時に動き出した渋谷の町を横切る大勢の気配に、街頭の鮮やかなアナウンスが混じって呼吸が乱れます。

 耳の奥で鳴り響く心臓の音が、やけに大きく膨らんで。

 一瞬視界が歪んだようにぼやけると、世界から音が完全に消えました。

 ああ、息が吸えなくなる。

 そう思った瞬間、イヤホンを耳に突っ込んで目を閉じることになんとか成功しました。

 ノイズキャンセリングイヤホンは、入院時の耳栓代わりに買った気の抜けたカフェオレみたいな色の一万円。

 そんなものでも、この瞬間のリズムを生み出すきっかけになってくれたのだから買って良かった以外の何ものでもありません。

 ありがとうSONY。愛してるよ。

 なんかしらの奇跡と偶然が重なってNW-E507復刻したりしないっすかね?(強欲)


 昔はもっとひどい症状が出ていたのですが、最近はほんのりとした混乱と少しの休憩でなんとか人間の形を保つことに成功できるようになりました。

 当たり前のように上手に息ができないことが、少しだけ悔しい、どうしようもない午後一時。

 コントロールできないけど、一旦手を伸ばして、操ろうとする意思だけは諦めたくない。

 そんな時間でした。まだまだこれからよ。もがくぞもがくぞ。

 環境、ホルモンバランス、加齢、その他もろもろ。自分ではどうしようもないことが、身に降りかかることもある。

 そんな当たり前のことを、改めて実感した日。

 皆様もどうか無理をせず、お体にはお気をつけてお過ごし下さいね。


 さて、この恐ろしいほどの情緒の狂いと三半規管の終わりが、次の最悪の伏線につながるのですが。それはまた、別の話。


(続)

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