20.お見舞い禁止令

 最近、友達がみんな優しくて泣きそうになります。

 元々優しいけどさ。みんな。本当。私と友達でいてくれるなんて、なんていい人たちなんだろうって毎回感動します。ありがとう。好き。らぶだよ。

 涙腺弱ってんのかな。おい、やめろ。加齢とか言うな。頼む。みのがしてくれ。いのちだけは。

 大人になってできた友達って、本当に貴重だし大切にしたいなと思うことが増えました。

 人は孤独だけれど、自分が誰かのことを思う限り、それはひとりではないのだなと。ぼんやり。

 自分勝手で他人を常におもんばかれる丁寧な人間ではないので、人に迷惑をかけたり傷つけたりすることは多々あるのですが。

 そんな私にも友人と呼べる人がいてくれることのありがたみを、日々ひしひしと痛感しています。


 お見舞いは、基本的にできません。

 そう伝えると、私の数少ない友人たちが皆一様に「行こうと思ってたのに!」とリアクションしてくれました。

 生きてるとこんな嬉しいことってあるんだなぁと、そう聞く度に思います。

 そんな風に言ってくれる優しい友人たちを、全員抱きしめてまわりたい。

 ラブだよ。


 科特有のものかもしれませんが、基本的にお見舞いはできないと伝えられました。

 家族であっても、医師の通達以外での面会は基本禁止。

 スタッフを通じての一方通行の差し入れはある程度できるようですが、それも厳しく制限されているみたいです。

 こちらから物を外に出すこともできないみたいなので、そういう意味でもレンタルパジャマやレンタルタオルの積極的な利用を呼びかけているみたいです。なるほどね。

 私は余計なものを取るだけですが、新しい命を生み出す専門の部署でもあります。

 そもそも通常の待合室も、お子様の入室禁止とか厳しめのルールが設けられているので。

 こういった配慮は必要なのだなぁと、改めて医療の現場へ思いを馳せました。

 あまり縁がなかった場所ですが、こうして命を預かる現場で患者ひとりひとりに向き合って下さる先生をはじめ、対応して下さってるスタッフの皆様には感謝しかないです。お世話になります。

 よろしくお願いします。うちの腫瘍、ちょっと大きいみたいなんですけど、多分そんな悪いやつでもないっぽいんで。

 いや、嘘。悪いので取ります。いらないです。よろしくお願いします。


 眉毛も書かずパジャマ姿のしなしなの私より、元気になった私と遊んでもらえたら嬉しいなって思います。

 絶対元気になってやっからな! まあ見てろって!


(続)

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