4.入院決定
昔住んでいた町にある巨大な病院は数年前に建て替えられたらしく、どこもかしこもつるつるピカピカのホテルみたいな佇まいだった。
いくつかの手続きを経て呼ばれた四八三番こと私は、マインクラフトのブランチマイニング場みたいにずらりと並んだ診察室の扉のひとつをくぐる。
中に居たのは、メガネをかけた厳しそうな塾講師みたいな雰囲気の男性医師だった。
インテリジェンスと品性を感じるシャープな雰囲気の先生は、大層言葉を選びながらもほんのりと苛立ちを滲ませた声で告げる。
「二年前の検査の段階でも、来て良かったくらいですよこれは」
大きく表示されたMRIを見せながら、初対面の先生はそう説明してくれました。
「もう上の内臓を押し上げちゃってるので、切るしかないですね」
子宮はどうやら無事っぽいのですが、周りにいる連中がとにかくやばいっぽいです。
「そうですかーーーーーーwwwwwwww」
思った以上にお腹の中で何かが育ってるらしくて、笑うしかない。
先生もなんか、ずっとほんのりとパチ切れてるのを随所に感じる。
私にっていうか、多分二年前に経過観察を決めた検査所の眼鏡の先生に。
「二年前の段階で来てくれてたら……」
ってほんのりちっさい声で漏らしてたの、聞き逃してませんよ私。
レビュー見たらぼろくそ書いてる人もいてちょっと心配だったけど、この先生なら安心できるかもなって思いました。
今日診てくれたのが、先生で良かったよ。サンキューパチ先生(仮)。
「痛いですか? このへんにあるんですよ」
って先生がぐりぐりぐりぐり押してくるとこに、確かに何かある感じはするけど、若干痛いのが腫瘍の痛みなのかパチ先のぐりぐりの強さのせいなのかももうわからない。
流れるように股を開かされて、問答無用で子宮がん健診も受けました。
普通に痛い。いてって普通に言っちゃった。
「痛いですか。もう少しで終わりますから」
もう少しで終わるなら我慢できます。ありがとう、パチ先。
てか、世の健診受けてる全女性を全員本気で尊敬しました。
これ受けてるの本当にすごいよ。みんな労わって。最高。素晴らしい。ごじあい。
大病院は色々なところがしっかりシステム化されてて、あっちこっちと出たり入ったりしてるうちに検査が終わっていました。
採血されなかったことだけは幸運だったけれど、結果的にちくっとはしたので痛みカウンターはプラマイゼロです。へなへなです。不意打ちでくると、本当にびっくりするなぁ。痛いですよ痛いですよ痛いですよって言われる方が怖いか。不意打ちでよかった。
しかもあとから友達に聞いたら、本来はもっとゴリゴリのずるずるに痛い検査だったらしくて、今回のは比較的痛くない方だったみたいです。
ごめん、私があまちゃんでした。反省。あと友人、すごいわそれを乗り越えてるの。まじで尊敬する。本当すごい。ゴールデンすごいやばい尊敬賞2024ノミネートです。
とりあえず上手なパチ先生がいる病院でよかった。できればもう二度とやりたくない。
「三ヶ月後くらい、十日ほどの入院になります」
さくさく診察を終えたパチ先が、スケジュールを伝えてくれました。
かしこそうでしごできそうなパチ先に、知性の欠片もないアホの極みの素人がへらへら質問をします。
「ちなみに、これって死んだりする手術ですか?」
「死なない手術です」
「やったー!! じゃあお願いします!!」
たくさんたくさん勉強されてここにいらっしゃるであろうインテリジェンスの塊みたいなパチ先に、アホは元気に返事をすることしかできない。
死なないならまあ、じゃあ生きるために捌いてもらいますか!
入院なんてしたことないので、なんもわからないけれどよろしくお願いします!
というわけで、なんだかでっけー腫瘍を丹精込めて育ててしまったらしいので、そいつを取り除くことになりました。
子宮には今のところ影響なさそうだけど、普通に怖いよね。割腹。
日記は、残念ながらまだまだ続きそう。
次回、手術日決定!
「ねじれてお腹痛くなることもあるんで、そうしたら連絡下さい」
デュエルスタンバイ!!!!!!!!!!
(続)
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