入院初心者。
初心者
1.バズってた検査をノリで受けたらお腹になんかいた。
来週の金曜日、A病院に行くことになりました。
うんじゅうねん前に一度だけ救急でかかったことがある(らしい当時のカルテが残ってて本当にびっくりした)、それなりに大きな病院です。
画数がやたら多くて、かしこそう。
この発言がもう私のかしこくなさを露呈しているのだけれど、かしこくないわりには色々なことを考えてしまったので逃げるようにして筆を取っています。
ここもかっこよく書こうとしたけど、実際はスマホぽちぽちで書いています。
かしこさって難しいね。
腫瘤があります。
そう言われたのは、2022年3月。
たまたまインターネットでバズっていた、痛くない乳がん検診。MRIによる画像診断を受けてみようとふと思い立った時でした。
元々自営業で、よくないとわかっていながら健康診断もろくすっぽ受けず、区から来ていた乳がんだの子宮がんだのの無料検診もわざわざ予約して待って「お前は不健康やで」と言われに行く時間が嫌で嫌でたまらなくてスルーしていた私に、インターネットのバズは強かった。
口がやたらとぷりぷりになるリップだとか、デートの一軍服だとか言われるとすぐ飛びつくインターネット大好きSNSおまたゆるゆるマンにとって「痛くなく検査できる」のワードは、何よりも魅力的でした。
実費でそれなりにお金がかかるけれど、人生は時間か金のどちらかは必要経費として支払わなければならないという風にできているらしいです。
何より、せっかくだし一回くらいMRIとかいうものを体験してみたかった気持ちもありました。
MRIについては、何も知らない。私の知識など映画『チーム・バチスタの栄光』で、竹内唯子さん演じる主人公がわたついていた時と同じ程度のものかそれ以下です。
それでも、バズに踊らされようと腹をくくった私を止めるものはいませんでした。(むしろ病院嫌いを知る私の周りの人たちは、大手を振って応援してくれました。有難いね)
採血が大嫌いの私でも、自分のためにすっかりいいことをするような気持ちになって気が大きくなるのにそう時間はかからなかったです。
わりと秒だった。決断。
心の中の唯子も呟く。「いいんじゃないですか……」と。サンキュー唯子。ずっとずっと大好きだぜ。
MIRの感想は、狭いところって案外苦手なんだなと気付かされました。です。
押入れが好きな子供だったはずなんですけど、あそこまで無機質で狭いとちょっと怖いもんなんですね。あるいはエイリアン2が好きな子供時代を送ったせいでしょうか。冷凍カプセルってなんか、あれだよね。うん。この話ここでやめとこっか。なんか、ごめん。
知らない自分を知って、またひとつ大人になっちゃったみたいです。ありがとうMIR、今後お前に向き合う時は基本的に目を瞑る。絶対だ。
「腫瘤があります」
検査所のイケめな眼鏡のおじさま医師は、どう見るのかもわからない白黒の画像を見せながら丁寧に説明してくれました。
文字通り腫れ物みたいな白い影の塊が、子宮の周りにぽつぽつと点在していました。
これが良性なのか悪性なのかをみるために、経過を定期的に観察したいという真面目な話をされていたはずなのですが、私はどう考えても厚すぎる己の腹の脂肪ばかり見ていました。
半年に一度ほどの割合で、私はMIRに通いました。
都会のど真ん中にそびえ立つ大層綺麗な検査所で、指定された検査着に着替えてノーブラでへらへら徘徊するのにも慣れてきた頃、届いた三回目の検査結果にその文字列は記載されていました。
『前回MRIと比べ、多発腫瘤はやや増大傾向がみられ、内容物の信号変化が一部みられます。子宮に異常所見はありません。腹水はみられません。明らかな悪性所見はみられませんが、念のため婦人科受診をお勧めします』
最初の検査から、約二年。
私はようやく『腫瘍』みたいな字だけど「しゅよう」じゃ変換できない、お医者様が仰ってたけどなんて読むんだっけ程度の認識しかなかった『腫瘤』というこの文字が「しゅりゅう」と読むらしいことをGoogleで知ったのでした。
(続)
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