第5話 地球2

「さてとっ」

 サファイアがモニターの前に椅子を二つ並べた。

 スターバックが不安気な表情でそれを見つめている。


「投稿の修正は後でいいからさ、『地球2』の方をサポートしましょうよ」 


 サファイアはリンやカイルの事が心配なのだ。


「あ、ああ」


 スターバックも同意する。エキストラとして動かしているドール達はある程度コントロールしてやらないといけない。カイル達に違和感が無いように。


「どうやってドール達をコントロールしているの? 難しいはずだけど」

「えっと、リン達の周りの人達の情報を全て吸い上げてドールの脳内メモリに入れ、基本的にはAIに行動を管理させてる」

「それだけじゃ不十分でしょ」


「あとはこちらから適当にコントロールして……」

「もう、本当に適当ね。そんなんじゃすぐおかしいって気が付かれるでしょうに」

「そうかな?」


「しょうがない。手伝ってあげるから二日間フルにサポートしましょう」

「それはありがたいけど、サファイヤ、明後日までずっとここに居続けるってこと?」


「まさか、嫌なの?」

「僕に手は出さないよね?」

「私に手を出されるのが嫌なの?」

「いや、そういう訳じゃ……」


「じゃあ、いいじゃない。本当にいいご身分だわ、こんな美人と2日間ずっと一緒にいられるなんて」

 サファイアが椅子をポンポンと叩いて、彼に座るように促す。


「お手柔らかにお願いします」

 スターバックは隣に静かに座った。サファイアからなるべく離れるようにおしりが半分ずれて逃げている。


**********


 時間を少し遡る。

 地球2にコピーされたカイルとリン。

 彼らは自分では気が付いていないが、地球そっくりの別の惑星にダウンロードされたのだった。

 

「あれ、なんか変だな」


 地球2での生活が始まったその時から(コピーされた)カイルはそう感じていた。

 リンは比較的違和感が無かったが、それでもやがて恐ろしい事実に直面することになる。

 そして第3の地球人、ジェフ・ブリッジズは10年ぶりに復活したのが地球ではなく地球2であり、色々と訳が分からない状態で当面、地球2内を彷徨さまようことになるのであった。当分、彼は出てこない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る