第16話 最終バトル
全員が疲れを癒やし、それどころか体が丈夫になっていくのを感じる。
剣を試しに振って自分がどれだけ強くなったのかを確認する人が出てくる。
「速い!早く剣が振れる様になってる!この短時間で体が生まれ変わったんだ!」
全員が食べ終えると、戦利品を担いで地上への帰路へ着く。
そろそろ地上に着く頃だ。
ゲコリーヌは自分の持っているクイーンデーモンフルヒトスパイダーの卵にいわかんを抱いた。
なんか動いている様な…。
ピキピキ
「卵にヒビが入っていく!?」
中からクイーンデーモンフルヒトスパイダーの子供が出て来た。
「何!?孵化しやがったんか!?さっきは液状だったのに!」
上条拳もあまりのことに驚く。
そこにみぃさんの声が響く。
「油断するな!クイーンの子供だ!冷静に対処しろ!」
皆油断しているわけではなかった。クイーンの卵を食べて強くなって自惚れているわけでもなかった。決して。
だがSランク冒険者が次々と生まれたての蜘蛛に倒されていく。
「速い!クイーンデーモンフルヒトスパイダーよりも速い!」
異常事態だ。まさか生まれたての子供がクイーンよりも強いなんて誰も思っていなかった。
研究者から通信が入る。
「それはもしかするとクイーンデーモンフルヒトスパイダーの意思を受け継いだ分身なのかも知れぬ。死ぬ直前に意識を卵に移動したんじゃ」
「なんてめちゃくちゃなんだ!」
「出産前のクイーンは全力が出せていなかった。つまりこれがクイーンの全力ということなのか!?」
子蜘蛛は剣士の剣を、蜘蛛の脚の鎌で両断していく。
「剣が切られた!?」
自分の正面の冒険者がそう叫んだ。次は俺の番だ。
ゲコリーヌは剣を振って子蜘蛛に斬りかかる。その刃は蜘蛛に触れると剣の方が斬れてしまった。
そのままゲコリーヌまで斬られるかのように思われた。だがゲコリーヌは蜘蛛を騙していた。剣が本命かのように見せかけて実は手から剣を離し、拳を突き出していた。
その拳は見事蜘蛛の頭に命中し、潰れて動かなくなった。
「ゲコリーヌ!やったのか!?ついにクイーンデーモンフルヒトスパイダーを完全に倒したぞ!」
「うおおおおおお!!」
息を呑む戦いだった。
視聴者も研究者もやっと一息つくことができる。
終わった。世界最強同士の戦いが。
ゲコリーヌ達が地上へ着くと、大勢の人達が出迎えてくれた。
「おめでとーー!」
「かっこよかったー!」
「ゲコリーヌ様ー」
歓声を聞いてやっとこの長い戦いが終わったのだと実感する。
この戦いを世界は忘れない。歴史に残り、多くの人類が語り継ぐことになるだろう。
フォロワーはすでに3億人を突破していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます