孤独死を願った

仮面の兎

生死の境を彷徨う少女

≁Prologue≁

独り屋根の上で



別に、虐めや虐待を受けているわけではない。                     

無視や暴行を受けているわけでもない。

ただ、必要性のない私に、誰からも必要とされていない私に、無性に腹が立っただけ。


そんな私にも、声を掛ける者は世界に何百もいる。


『 この世で必要とされていない人なんて、いない 』

『 人生は長い。生き続ければ、何か見つかるに違いないだろう 』

『 人には個性が有る。君の個性を好きになる人だって、いつか現れる 』


世の中で流れる励ましの数々。

正確に言えば、綺麗言。


『 生きて 』


その気持ちは本当かもしれない。

だけれど、それは本当に相手の為なのだろうか?


もう一度じっくりと考えてほしい。

例えば、


「死にたい」


親しい友達、あるいは血の繋がりのある家族にそう言われたならば、


「私的には生きて欲しい。だけど、それは、自分自身が決めることだと思う。だか

ら、もう一度じっくり考えるといいんじゃないかな」


自分が死ぬか死なないかは、自分自身が決めることであって、他人が指図することではない。


それこそが、相手の為になるのではないのか?


"死にたければ、死ねばいい"


言葉を悪くすればそうなるのだが、実際、人とは難しい。

自分の考えが良く分かっていない者や、本当は助けを求めている者。


様々な感情がある人間全員が、ハッピーエンドで助かる……ということは、夢のまた夢に近いのだ。


「ふぅ……っ」


どうしても溢れ出てしまう胸の圧迫感を抑える為、喉元から深く息を吸う。


「この通り、私には、孤独死が一番似合ってるんだ」


満天の星空に手を伸ばし、私は宙へと飛び立った。

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